224、シル・バニーオン・ズド:2
遂に彼が登場する?
●【No.224】●
とある大陸の海上では、激しい戦闘が繰り広げていた。
その海上での戦闘状況。
この大陸を支配する予定の大魔王エリュドルスと、大魔王デスゴラグションの先行精鋭部隊、謎の銀色機械人形、シル・バニーオン・ズドが一対一で戦っている。
この大魔王エリュドルスは、大魔王なので魔族最強であり、少なくてもそう簡単に倒せる相手ではない。
その相手に果敢に鋭く攻めてくる、このシル・バニーオン・ズドという妖しい奴。
このシル・バニーオン・ズドが右手甲の隠し装置から、銀色の鋼鉄の刃を突き出して、大魔王エリュドルスの方へ向かって斬りつけてくる。
一方の大魔王エリュドルスも伝説の皇剣【終焉殺の剣】を取り出して、そのシル・バニーオン・ズド相手に応戦している。
ここでもお互いの刃が激突・交差していて、大魔王エリュドルスとシル・バニーオン・ズドの実力はほぼ互角。
単純に剣術戦だけでいえば、あの大魔王エリュドルスと互角の勝負をするという事は、このシル・バニーオン・ズドの実力が大魔王エリュドルスの予想を超えてる事が窺える。
「くっ、こやつ本当にヤりおるぞ。」
―――ピピッ!
『大魔王エリュドルス……強い……データ修正』
白熱した戦闘、両者共にほぼ互角。
このままだと、ただの消耗戦になるだけである。
ガキィーン、ガキィーン、ガキィーン!
何度も何度もお互いの刃を交えて接近戦で勝負している大魔王エリュドルスとシル・バニーオン・ズドの二人。
そこで大魔王エリュドルスが、素早く左手を前方に突き出して、左掌から【獄焔魔掌】を放出させて、すぐ目の前にいるシル・バニーオン・ズドの方へ向けて砲撃する。
「これでもくらえっ!」
―――ピピッ!
『防御展開』
するとここでシル・バニーオン・ズドの前方に、また巨大な光の壁・魔法障壁を発動・展開させて、大魔王エリュドルスの攻撃から身を守る。
ブゥゥゥン、ズドォーーン!
これほど剣術戦での接近戦で両者は戦っているハズなのに、対応が早すぎるシル・バニーオン・ズドがまたとっさに巨大な光の壁・魔法障壁を発動・展開させて、大魔王エリュドルスの左掌から放たれた【獄焔魔掌】の砲撃を完璧に防御した。
「くっ、こやつめっ!?」
『………』
ダッ、ダッ!
そこで両者共に後方へジャンプして距離をとった。
ノーモーションからの突然、シル・バニーオン・ズドの真紅の瞳から "真紅の殺人レーザー光線" が高速で飛び出して、大魔王エリュドルスの方へ向けて発射された。
ビビィッ!
「何っ!?」
『くらえぇ!!』
「くっ、おのれぇぇ!!」
そこで大魔王エリュドルスが、とっさに伝説の皇剣【終焉殺の剣】の刀身を盾代わりに構えて、あのシル・バニーオン・ズドの "真紅の殺人レーザー光線" の攻撃から身を守るけど、その衝撃で大魔王エリュドルスが、さらに後方へ追いやられた。
ビビィッ、ズバァーーン!
なんとか "真紅の殺人レーザー光線" が、伝説の皇剣【終焉殺の剣】の刀身の部分に直撃して、大魔王エリュドルス自身の直撃は回避・防御に成功した。 この伝説の皇剣【終焉殺の剣】の卓越した強度で防御に成功したけど、普通の剣だったら、間違いなく剣の刀身は破壊され、大魔王エリュドルスの身体に直撃、甚大なダメージを受けていただろう。
「くっ、一体何なんだ……こいつは……?
今……目から変な光線みたいなモノを出しおったぞ……?」
『………』
「本当に一体何なんだ……?
こいつはこの余相手でも互角以上の戦いをしておるのか……?」
『………』
「むっ、あやつら……もうあそこまで……?」
『………』
「いかん! 早くこやつを倒さねば……っ!」
ここで大魔王エリュドルスとシル・バニーオン・ズドの二人が海上で戦ってる間に、大魔王デスゴラグションの先行精鋭部隊が、どんどんあの大陸の『東の岬』まで近づいている。 こんな所で余計な時間と体力を消費してる場合ではないのだ。 さっさとこの得体の知れない変な奴を破壊して、あいつらの後を追わないといけないのだ。
ノーモーションからの突然、シル・バニーオン・ズドの真紅の瞳から、あの "真紅の殺人レーザー光線" が高速で飛び出して、大魔王エリュドルスの方へ向けて発射された。
ビビィッ!
『くらえぇ、大魔王っ!!』
「お、おのれぇぇ!!」
また大魔王エリュドルスが、とっさに伝説の皇剣【終焉殺の剣】の刀身を盾代わりに構えて、シル・バニーオン・ズドのあの "真紅の殺人レーザー光線" の攻撃から身を守ろうとする。
この伝説の皇剣【終焉殺の剣】でなら、またなんとか防ぐ事はできるだろうけど、本来あまりやりたくない行為なのだ。
そもそも剣は盾として造られておらず、あの得体の知れない高速攻撃で、何度も刀身の横っ腹を傷つけられてしまうと、剣としての威力が低下してしまう。 またあの得体の知れない高速攻撃を受け止めた衝撃で、さらに後方へ追いやられてしまい、ますます『東の岬』から遠退いてしまう。
だがしかし、あの得体の知れない未知なる攻撃は、魔法からなる攻撃ではない為、巨大な闇の壁・魔法障壁は効かない。 現状では、事前に回避するか剣での防御しか思いつかなかった。
ザッ、バキィィィン!
「な、なんだっ!?」
『……えェ……ッ!?』
すると突然、大魔王エリュドルスの目の前に、何者か現れて、あの高速の "真紅の殺人レーザー光線" を一瞬で蹴り飛ばした。
「大丈夫か? エリュドルスよ、かなり苦戦しておるようじゃな?」
「おお、そなたは……ヴァグドー公!!」
この大魔王エリュドルスのピンチに、颯爽とヴァグドー推参!!
さらに大魔王エリュドルスが左側を見てみると、ヴァグドーや勇者アドーレやテミラルスたちが乗ってきた大型船も、ようやくその姿を現した。
「なんとか間に合ったようじゃな、エリュドルスよ」
「ああ、お陰で助かったよ、ヴァグドー公よ。 それとよくやったぞ、テミラルスよ」
「どうやら間に合ったみたいですね。 大魔王様」
―――ピピッ!
『………』
そこにシル・バニーオン・ズドが、無言のまま大魔王エリュドルスやヴァグドーや大型船を睨み付けていた。
なんと大魔王エリュドルスのピンチに颯爽と登場したヴァグドー。
そもそも大魔王のピンチに主人公が助けに来る作品も珍しいだろうけど、これも大魔王エリュドルスの策略なのか?




