222、遂に大魔王デスゴラグションが動く!
●【No.222】●
ここは、とある大陸の北側にある小さな孤島。
この孤島の某所には、大きなお城が建っていて、これが『大魔王城』であり、別名・俗名を『デスゴラグション城』とも言われており、当然ながら、あの大魔王デスゴラグションが居城している。
この大魔王城の城内の奥の方に『玉座の間』があって、その玉座の間の奥の方にある玉座に座る大魔王デスゴラグション。
さらに大魔王デスゴラグションのすぐ左側には、あの〈地球神アクナディオス〉が少し浮いて立っている。
今現在も大魔王デスゴラグションは俯いたままの状態で玉座に座っている。
その無言のままの大魔王デスゴラグションになり代わって、大魔王を操作している〈地球神アクナディオス〉が、まるで独り言のように語りかけてきた。
『ヒヒヒ、遂に始まったか。 これでもう後戻りは出来ない。 しかし、まさか海上からの戦闘になるとはね。 ヒヒヒ』
この〈地球神アクナディオス〉は、既に事の顛末を承知してるようだ。
『ヒヒヒ、さすがは大魔王エリュドルスといったところか。 あらかじめ部下共に後方支援・殿軍だけをさせておき、自分だけが最前線で戦うとは、軍と軍・隊と隊、この団体戦での戦い方をよく知る男よな。 ヒヒヒ』
『ヒヒヒ、この戦い方には、三つの利点がある。 まずひとつめが自分の大魔王としての力を他の大陸の魔族や魔物共に見せつけること。 自分の力の方がはるかに強いことを見せつければ、もう二度と自分が支配する大陸への侵攻は出来ないハズ。 否、する気すら起こさないハズ。 ヒヒヒ』
『ヒヒヒ、ふたつめに自分が最前線に出て敵を撃滅させれば、味方・部下の被害が最小限に防げるハズ。 みっつめは海上で大魔王が最前線で率先して戦うことで、自分の支配する大陸自体の被害も最小限に防げるハズ。 なんとも優しい大魔王だこと。 本来の大魔王ならば、天使や人間や妖精など他の種族たちに、恐怖や絶望や征服などをもたらす危険な存在のハズなんだけどね。 ヒヒヒ』
『ヒヒヒ、思えば大魔王エリュドルスも大魔王イザベリュータも大魔王ゼンも、真の大魔王にあらず、やっぱり真の大魔王は、このデスゴラグションだけ………ここに大魔王は四人も必要ない。 この世界の真の大魔王は………大魔王デスゴラグション………ただ一人のみ。 ヒヒヒ』
『ヒヒヒ、この世界に恐怖や絶望や征服を与える必要がある。 ヒヒヒ』
『ヒヒヒ、そして……この世界を支配するのは、この〈地球神アクナディオス〉……ただ一人のみ。 ヒヒヒ』
『…………』
『ヒヒヒ、だけど問題なのは、あの "悪股の大蛇" の存在だよね。 あの凶悪な魔物は色々と厄介な存在なんだよね。 特に悪魔神オリンデルスが狙っている獲物のひとつだろ。 一体何なんだ? あの "悪股の大蛇" とは………? ヒヒヒ』
『…………』
ここに〈地球神アクナディオス〉も急に黙ってしまい、俯いて何かを考え込んでる。
この〈地球神アクナディオス〉には、あの "悪股の大蛇" の事を何か知っているのか?
◎悪股の大蛇・・・この世界に存在すると言われる伝説の魔物。
この世界の何処かに居ると言われていて、その居場所を知る者は、少数で限られた選ばれし者のみ。
その存在を知る者も少ない。 また色んな情報も半ば都市伝説化して伝わっている。 性格は残酷非道で獰猛、人々を襲い狂い喰い殺しているだとか、また頭が複数個に分かれており、かなり不気味であるだとか、それと身体が頑丈で特殊な鱗に守られていて、その鱗を手に入れると強力な武器や防具が作れるだとか、とにかく色々と噂が流れている。
だがしかし、実際にその "悪股の大蛇" の姿を見た者はほとんどいない。 何故なら実際にその姿を見て、生きて帰った者がほとんどいないからである。
それほどのヤツがこの世界にいるのだ。
今のところ、この "悪股の大蛇" に興味を持っているのが、あの悪魔神オリンデルスのみである。
するとここで〈地球神アクナディオス〉が顔を上げて、また独り言のように語りかけてきた。
『ヒヒヒ、よーし、こうなったらアレを使うか。 とりあえずアレを使用して、しばらく時間を稼ぎ、その間に自分がこの大魔王デスゴラグションを伴って、自分もヤツらと同じく最前線で戦ってやるぞ。 待っていろよ、他の大魔王共よ。 ヒヒヒ』
するとなんと、今までずぅーっと俯いたまま座っていた大魔王デスゴラグションが突如として立ち上がった。
『ヒィーヒッヒッヒィーーッ!!』
そして不気味な笑い声をさせながら、そのまま大魔王デスゴラグションと〈地球神アクナディオス〉の姿がすぅーっと消えていった。
その事に一瞬早く気づいた大魔王エリュドルスや大魔王イザベリュータや大魔王ゼンや悪魔神オリンデルスが、既に大魔王デスゴラグション自らが動き出したことを知る。
さらに『冥道郷』で待機している大魔公ギロリルスや『東の岬』と『冥道郷』の中間地点にある森林小道で伏兵している大魔公ウエルルスも、その事に気づいた。
そこで―――
大魔王エリュドルス
大魔公ギロリルス
大魔公ウエルルス
悪魔神オリンデルス
この四人が、それぞれ反応を示していた。
「遂に動くか。 大魔王デスゴラグションよ。 余はいつでも相手になってやるぞ。」
「ま、まさか……エリュドルス様の他にも大魔王が動くというのか……?」
「………大魔王デスゴラグションよ。 あなたは本当に………これを望んでいるのか………?」
「ちっ、少し厄介な事になってきたね。 果たして、このまま無事に、この大陸から離脱して、あの "悪股の大蛇" を見つけ出すことが出来るのか?」
それぞれの思い・戦略が交錯する波乱の事態になっていくのか?
一体どうなる?
遂にあの大魔王デスゴラグションが動くのか?
でも、この大魔王デスゴラグションは一体何を考えているの?
まったくよく解らない。
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