211、女神ハーディス:7
●【No.211】●
ロートアンリルス連合国の森の奥の方にある "混浴露天風呂" の温泉に、温泉好きなヴァグドーたち一行が入ろうとした時に、既に先に誰かが入浴しており、その誰かとは、なんと冥界の女神ハーディスだった。
しばらく入浴していて、だいぶ出来上がっているのか、呑気にお気楽極楽に、ワシらに声をかける全裸のハーディス。
「ハロー、ヴァグドーちゃん♪ 元気してたぁ~♪」
「お前さんも温泉に入るのか? 否、入れるのか?」
「まぁね♪ それにしても、相当出来上がってるようだねぇ~♪ ヴァグドーちゃんも♪」
「出来上がってる……?」
「そうよぉ♪ ヴァグドーちゃん、あなたは精神的にも肉体的にも人間的にも相当出来上がってるのよぉ~♪」
「……言ってる意味がよく解らんのじゃが……?」
「………」
「それよりハーディスよ、何故ここにいるのじゃ?」
「………」
ハーディスはワシの質問には答えんかったが、ワシらの身体をよく見ていた。
全裸で立ってるヴァグドーの卓越して鍛えぬかれた鋼の肉体美、そのヴァグドーを取り囲むようにして、全裸のカグツチやロンギルスやエクリバやニーグルン姫や大魔女シャニルたちが立っている。
それらを温泉に肩まで浸かりながら見つめるハーディス。
「うふふ、突っ立ってないで、温泉に浸かったらぁ♪ ヴァグドーちゃん♪」
「ふむ、そうじゃな」
ここでワシらが、ハーディスの近くで肩まで温泉に浸かっていた。
そのワシの隣に悪魔神オリンデルスが、温泉に浸かりながらやって来た。
「久しぶりだね。 ハーディスよ」
「あら、あなたは悪魔神オリンデルスね。 まさか、あなたも温泉に浸かりに来たの?」
「まぁね、だけど女神でも温泉に入るとは思わなかったよ。」
「それを言うなら、悪魔神だって温泉に入るとは思わなかったわぁ♪」
「ふっ、一応はこの身体が、人間の肉体というのもあるからね。」
「あなたの本当に身体は……」
「ふっ、女神イフレアはお元気かな?」
「ええ、相変わらず元気よ」
「……そうか……」
「あなたはイフレア様を恨んでいるの?」
「……恨む……? ははは、仮にもボクは悪魔神オリンデルス……人間や魔族や女神などを恨むなど、三流の悪魔神のすることだよ。 そもそも自分の力が足りないからこそ、封印されたのさ。 恨むんだったら、自分の無力さを恨むだろうね。」
「な、なるほどね」
「それに今はボクにも妻子がいてね。 不思議なものだよ。 永く生きていると、こういうことも起こるものさ。」
「ホント変わった悪魔神ねぇ♪」
「それよりも聞きたいことがある。
ハーディスよ、君は "悪股の大蛇" を知っているかな?」
「えっ!? "悪股の大蛇" っ!?」
「……知っているね。 この大陸にはいないのかな?」
「……いないわ。 でもこの大陸より遥か南にも大きな大陸があって、その大陸の東側に、蛇の化物がいると噂で聞いたことがあるわ。 悪いけど、私が知ってることは、この程度よ。」
「いや、それだけわかれば、十分だよ。 なるほど、やっぱりあの大陸か……」
「………」
ここでオリンデルスとモモネは、考え込むように黙ってしまい、その様子をワシも黙って見ていた。
すると今度はニーグルン姫が―――
「はい、私も聞きたいことがあります。
ヴァグドー殿の今現在のレベルを教えて下さい。 実はもうヴァグドー殿たちのレベルを測定出来る装置が、この大陸にはないんです。 女神ハーディス様のお力で、ヴァグドー殿のレベルがおわかり出来ないでしょうか?」
「いいわ、見せてあげる。 ヴァグドーちゃんだけでいいの?」
「それなら、あとは勇者アドーレ殿や大魔女シャニル殿のレベルも見れますか?」
「ええ、いいわよ。 じゃあ、三人まとめて見せてあげるわ。」
えぇーーい!!
ステータス、オープンッ!!
なんと何もない空間に、ヴァグドーと勇者アドーレと大魔女シャニルのステータスが表示された。
ピッピッピッ!
勇者アドーレのステータスが表示された。
●・●・●
アドーレ : 勇者
レベル : 666
耐久力 :5220
魔法力 : 0
―――――――――――
攻撃力 :2770
守備力 :2800
機動力 :2980
叡知力 :1550
幸運力 :2090
―――――――――――
絶望力 : 100
装備品 :【黄金の剣】【黄金の鎧】
特殊剣 :【磨羯龍の剣】
能力 :【ストリンガー・ドラグーンソード】【幻爆神魔眼】【電光石火】【肉体固定】
●・●・●
ピッピッピッ!
ヴァグドーのステータスが表示された。
●・●・●
ヴァグドー: 剛魂
レベル : 666
耐久力 :5220
魔法力 : 0
―――――――――――
攻撃力 :2770
守備力 :2800
機動力 :3060
叡知力 :1720
幸運力 :2040
―――――――――――
絶望力 : 100
特殊剣 :【消滅罪の剣】【八魔蛇の剣】
能力 :【ストリンガー・デスロック】【カリスマボディ】【悪魔神の魂・心臓】【肉体固定】
●・●・●
ピッピッピッ!
大魔女シャニルのステータスが表示された。
●・●・●
シャニル : 魔女
レベル : 666
耐久力 :4930
魔法力 :6830
―――――――――――
攻撃力 :2500
守備力 :2550
機動力 :2960
叡知力 :1990
幸運力 :2340
―――――――――――
絶望力 : 100
装備品 :【ブラックジェミニローブ】【魔法の虹色水着】【獄蓮の杖】
攻撃魔法 :【焔王砲】【凍王砲】【嵐王砲】【響王砲】
能力 :【ストリンガー・エネルギーコントロール】【マスタークイーンスピリット】【魅了鈴音】【肉体固定】
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何もない空間、ヴァグドーたちの上空に、三人のステータスが表示されており、温泉にいる一同は、これを確認できる。
「上がりがよくないのう」
「仕方ないのよ、ヴァグドーちゃん。 あなたたちのレベルは、もう600を超えてるわ。 レベルは上がるほどに経験値も多く必要になる。 残念だけど、この大陸にいても、あまり強くはなれないわよ」
「………」
「相変わらず凄いですね、師匠」
「もうこの大陸で、ヴァグドー様たちに敵う者などいないでしょうね」
「ダーリン、ステキ♪」
「もうこの大陸では無敵ですか、ヴァグドー殿たちは」
「ちっ、マジかよ。 これじゃあ、大魔王様でも勝てるどうか解らないぞ」
「へぇ~ なかなかやるねぇ~ ヴァグドーたちも」
「これは本当に普通じゃないわ」
「あら、もうこんな時間。 私はこれで失礼するわ。 皆さんはどうぞごゆっくり♪」
そう言うとハーディスが立ち上がって、そのまま女性用脱衣場まで歩いていった。
またまた冥界の女神ハーディスが、今度は温泉に浸かって登場した。
いつもどこにいるのか、よく解らない女神である。




