17、残念、否定できず
カグツチ、ヴァグドーの弟子入り志願!?
●【No.017】●
何だか、おかしなコトになってきた様じゃな。
本来ならば、ワシはまだ弟子をとれる身分でもないし、またその器でもない。
ワシ自身もまだまだ修行中の身であり、他人のコトをかまってやる程の自信や余裕などもないのじゃ。
だが、このカグツチという娘は、たとえ「駄目だ」と言ってもついてくるだろうし、その内に飽きて諦めるだろうと思い、もう面倒臭かったので、また「勝手にせい」と言ってしまったのじゃ。
ところで……
……巨蟹黒竜がぐったりと倒れている。
すると突然、巨蟹黒竜の身体が消えてしまった。
「おや? 消えたぞ!?」
「師匠、あれを見て下さい!」
右手のハサミを切断した切断面から出てきた、黒い液体が盾へと形を変化していた。
「お? なんじゃ? 今度は盾が現れたぞ!?」
「これは特殊なアイテムですかね?」
その漆黒の盾がゴトンと地面に置いてあった。
「……盾か……」
「…何かご不満でもあるのですか? 師匠」
「ワシは盾を持たない主義でな。 この究極の肉体があれば不要だし、何より邪魔なんじゃよ。」
「そうですか? ではこの盾はこのまま置いていきますか?」
「ふむぅ、お前さんが持っていけ。 どうせ、盾とか持っていないのだろう?」
「はい、判りました。 師匠のご要望とあれば…!」
「では宜しくな」
そう言うと、カグツチはその漆黒の盾【重鋼の盾】を持って、自分の背中に背負って装備していた。
カグツチは【重鋼の盾】を手に入れた。
ヴァグドーとカグツチはそのまま、サルマンディオスの町の中に戻って来ていて、今晩は何とかカグツチを宿屋に宿泊する様に説得して、ヴァグドーは別の某所で休んでいて、夜を明かしていた。
翌朝、ヴァグドーとカグツチが一緒に、ギルド冒険商に立ち寄っていった。
早速、主人がヴァグドーに話しかけてきた。
「おお、ヴァグドーさん、本当に "地獄の沼" の化物と戦ったのかよぉー?」
「さすがはギルドの主人じゃな。 ここの情報も早いの! あの沼から現れた化物はワシが倒してきたぞ!」
「ホント? スゲエェ!」
「ああ、そうだ! 私の師匠は本当に凄かったぞ! あんな化物など、師匠の相手にもならなかったぞ!」
「……え? 師匠……?」
「ふむぅ、この娘がな、ワシの弟子になりたいと言っておってな。」
「はぁー それはまた、大変なコトだよねぇー…」
「これを見ろ! 主人!」
そう言うとカグツチは、背中に装備した戦利品【重鋼の盾】を主人に見せていた。
「へぇー それがあの有名な【重鋼の盾】かねぇー?」
「……有名……?」
ヴァグドーが不思議そうな顔をしていた。
「主人! ちなみに、この【重鋼の盾】というのは、一体どういう能力や効果があるのか、判るのか!?」
「ああ、あくまでも聞いた話しなのだが、まずは守備力が非常に高くて、次には装備者に害する魔法を全て跳ね返す能力があるらしいよねぇー!」
「ほう、そいつは凄いな!」
「師匠、この盾はなかなか使える盾ですね!」
「あっ ヴァグドーさん! 今回は巨蟹黒竜を倒したから、その報酬金が出ているよ。」
「ふむぅ、いただこうかの!」
「はい、巨蟹黒竜討伐料金の400000Rだよねぇー!」
「ふむぅ、どうもじゃ」
ワシはお金を受け取った。
「さて、それでは次の街に行こうかの? 次の第7の都市に行くには……?」
「あっ それでしたら師匠、私が次の第7の都市、タールハジャルの町に案内します。」
「…もしかして…ついてくる…つもりなのか…?」
「はい、勿論です! 私も師匠の様に強くなりたいです! その為なら何でもします!!」
「………」
やれやれ、やはりそうきたか。
さて困ったぞ… このカグツチという娘が、足手まといにならなければ、よいのじゃがな…
まったく、厄介な少女と出会ってしまったわい。
ワシの一人旅もこれで終わりかのう?
…などと、ワシが考えている内に、カグツチはちゃっかりとこのギルドの主人と、お別れの挨拶をしていたのじゃ。
「主人、世話になったな。 私は師匠と一緒に旅に出るよ。」
「まぁ、せいぜい足手まといにならない様に頑張りなぁー! それとヴァグドーさん カグツチちゃんのコト、宜しく頼むよぉー!」
「うん、頑張るよ! 主人も達者でな!」
「ふむぅ、ではさらばじゃ」
こうしてヴァグドーとカグツチはサルマンディオスの町を出ていき、次の目的地である第7の都市、タールハジャルの町の方に向かっていった。
カグツチはワシに質問してきた。
「ところで師匠… "地獄の翼" というのをご存知ですか?」
♪~カグツチはヴァグドーの仲間になった~♪




