202、最後の決勝戦・バスターA
遂に決勝戦が開始されます。
●【No.202】●
「ボクとモモネも君たちに同行させてもらえないだろうか?」
この悪魔神オリンデルスが、とんでもないことを言ってきた。
なんと悪魔神オリンデルスたちも、ヴァグドーたち一行に同行するつもりらしい?
これはいよいよとんでもなくヤバいパーティーになってきたんじゃないか?
ちなみに話自体はまだまだ続いている。
「ほーう、一緒に来るか?」
「………」 (沈黙する勇者アドーレ)
「あらあら、なかなかどうしてぇ~♪」
「ちょっと待って下さい。 相手は悪魔神ですよね? いいんですか、悪魔神なんかと同行しても?」
「私も疑問に思います。 そもそも勇者アドーレ様は、その悪魔神を打倒するために、旅をしている筈ですよね?」
「うわぁ~ なんだかヤバそうな展開~」
「しかし、確か……勇者アドーレが打倒を目指している悪魔神とは、あのトニトリエクルスのはずだと思うが?」
「はい、そうですけど……」
「なら、ボクはあの二人とは、全く関係ないからね。
三大悪魔神……悪魔神トニトリエクルスと悪魔神ヴォグゲロルス……歴代の勇者たちによって、封印された者たち……だからね」
「ほーう、お前さんは違うのかい?」
「あぁ、ボクが悪魔神をやってた時代では、まだ勇者なんて者は居なかったからね。
彼らとは根本的に違うのさ。」
「へぇ~ そうなのねぇ~♪」
「………」 (沈黙する勇者アドーレ)
「ほーう、そうなのか?」
「それで、どうなのか? ヴァグドーよ」
「ふふふ、おもしろい。 お前さんにはまだ聞きたいことが山ほどあるからのう。 一緒に旅をしながら、色んな話を聞く……と言うことじゃな?」
「なるほど、そういうことですか。 確かに、今のボクの目的は、この世界を狙う悪魔神トニトリエクルスですので、最強の悪魔神オリンデルス……あなたとは、まだ敵対するつもりはありません。」
「そうよねぇ~ 倒す順番としては、まず悪魔神トニトリエクルス。 次に悪魔神ヴォグゲロルス。 そして、余力があれば、悪魔神オリンデルスってトコかしらねぇ~」
「ふーん、じゃあ悪魔神オリンデルスまでもが同行を許すつもりなのか?」
「「「「………」」」」
ここでヴァグドー・勇者アドーレ・大魔女シャニル、この三人が悪魔神オリンデルス同行に否定的ではない。 この三人が否定的でなければ、ほぼ結論が出ている。
あと魔族のテミラルスは、相変わらず無関心を装っているみたいで、特に反論とかはないみたいだ。
残りのメンバーは沈黙していた。
だけど、それでも話自体はまだまだ続いているようだ。
果たして、話はまとまったのか!?
大会三日目の午後、決勝戦・バスター
ここは総合百宮殿の中央部にある最終闘技場。
この最終闘技場とは、大型円形闘技場よりも広く、勝ち残った最後の二人、まさに選ばれた者だけが立つことが許された最高の場所である。
しかも今回はいつもの選手ではなく、全く新しい選手であるヴァグドーと勇者アドーレ二人が、遂に雌雄を決することになる。
ウワァーーッ!
オオォーーッ!
ざわざわざわ
この最終闘技場の一般観客席からは、満員の観客が異様な盛り上がりを見せている。
決勝戦ということだけあって、カクヅチやニーグルン姫たちのヴァグドーたち一行も、その一般観客席に座って、じっくり観戦している。 勇者アクナルスや悪魔神オリンデルスは、後ろの方で立って見ている。
また最終闘技場の特別観戦席では、アテナが決勝戦を観戦するべく、座って今か今かと待っている。
「なんだか、今からドキドキしますね。」
いよいよクライマックスを迎える闘いに、アテナも胸躍らせている。
ここでヴァグドーと勇者アドーレが闘技場中央に、それぞれお互いに距離をとった状態で現れた。
なお、決勝戦の審判は闘技場の中に入らず、一般観客席の最前列の専用席で審判を行う。
まず勇者アドーレの方は、八本の黄金の剣を黄金の鎧から分離して、周囲に浮遊させて展開している。
次に勇者アドーレが早速、伝説の皇剣【磨羯龍の剣】を取り出して、前面に構えた。
「遂にヴァグドーさんとの対決ですか? これは最初から全力でかからないといけませんね。」
一方のヴァグドーも、最初から伝説の皇剣【消滅罪の剣】を取り出して、それを左手に持って、不思議な構えをした。
「ふむ、勇者アドーレか。 勇者と本格的に闘うのは、これが初めてじゃったかな?」
ようやく決勝戦の選手二人の戦闘準備が整った。
そして、遂に審判の「始め!」の合図で試合が開始する。
「はっ!」
まず先攻するのが、勇者アドーレからである。
八本の黄金の剣を、ヴァグドーの周囲の全方位同時に展開させており、ヴァグドーめがけて、剣先から稲妻のレーザービームを一斉に発射させた。
【ストリンガー・ドラグーンソード】
「ふん!」
だがしかし、ヴァグドーは伝説の皇剣【消滅罪の剣】を巧みに利用して、【ストリンガー・ドラグーンソード】の攻撃をことごとく防いでいく。
勇者アドーレは中距離・近距離の攻撃に精通しており、ある程度の距離が離れた場所でも攻撃可能であり、勿論接近戦でも十分に強い。
ヴァグドーは基本的に近距離接近戦型。
肉弾戦・白兵戦に特化されているので、自分の射程距離内に敵が居ないと、攻撃が届かない。
まだまだ序盤。
最後の闘いはこれからでしょう。




