199、憧れの準決勝戦第二試合:2
●【No.199】●
「でぇい!」
ダッ!
新たに伝説の皇剣【神納覇の剣】を造り出した、勇者見習いモモネが剣を前方に構えて、そのまま勇者アドーレの所まで地面を蹴って、走って近づく。
一方の勇者アドーレも、伝説の皇剣【磨羯龍の剣】を前方に構えて、勇者見習いモモネが向かってくるのを待ち構えていた。
ガァキィーン!
そこで勇者見習いモモネが、伝説の皇剣【神納覇の剣】を振りかざし、勇者アドーレに斬りかかろうとするけど、勇者アドーレも伝説の皇剣【磨羯龍の剣】でしっかり防御する。
さらにモモネが、続けて勇者アドーレに斬りかかろうとするけど、勇者アドーレが巧みに防御・防いでいて、それを双方が繰り返している状態である。
ガァキィン、ガァキィン、ガァキィーン!
「でぇい!」
もの凄い攻防を見せるモモネと勇者アドーレの二人。
その素早い攻防に両者共に互角の実力に見える。
確かに一見して、互角の実力に見えるモモネと勇者アドーレの二人なのだが、あきらかに勇者アドーレの方が手加減しており、モモネは全力に近い状態で闘っている。
「でぇい!」
ガァキィン、ガァキィン、ガァキィーン!
二人共に素早く動く為に、お互いの剣と剣が交わってる音だけが聞こえてくる。
モモネも勇者アドーレも、二人共に白熱したバトルを繰り広げている。
そして、あの勇者アクナルスも、一般観客席の一番後ろの方に立っていて、現在の試合の様子を眺めている。
「ふん、互角だと!? バカめ、あきらかに勇者アドーレ先輩の方が手加減してるに決まっているだろうがっ!!」
相変わらず勇者アクナルスが、一人言で現在の試合の感想を述べている。
大会三日目の昼前、準決勝戦第二試合
大型円形闘技場2にて
勇者アドーレ対勇者見習いのモモネ
ここからは、ようやくヴァグドーと悪魔神オリンデルスの二人も、この大型円形闘技場2まで来て、一般観客席の一番後ろの方に立っていて、現在の試合の様子を眺めている。
「ほーう、なかなかやりおるものじゃな? あのモモネと言う娘も」
「ああ、そうだね」
「やれやれアドーレの奴、てこずってるようじゃのう」
「おや、あの勇者アドーレは手加減しているように見えるけど、これは一体どういうことなのだ?」
「さぁのう、ワシゃぁよくわからんのう」
「…そ、そうか…」
そこでヴァグドーと悪魔神オリンデルスの二人も、現在の試合の感想を述べている。
「―――ん? アレは…?」
そこにヴァグドーが、近くにいた勇者アクナルスの存在に気がついて、ヴァグドーが勇者アクナルスに声をかけた。
「おう、アクナルスよ。 久しぶりじゃのう。」
「どうも、これはヴァグドー先輩に……悪魔神オリンデルスさん……ですか?」
「うん、キミも勇者なのか? いや、ただの勇者ではないようだな? キミの後ろにいる大きな黒い人影は……もしかして…〈地球神アクナディオス〉……だね?」
「ふふふ、さすがは悪魔神だな」
ここで勇者アクナルスの背後から、大きな黒い人影がモクモクと現れ出していた。
『ヒヒヒ、珍しいな。 悪魔神ともあろう者が、こんなところにいるなんてなぁ~。』
「相変わらずキミも口が悪いようだね。 地球では "護り神" などと言われてるクセに。」
『ヒヒヒ、自分はもともとこういう性格なのさ。 ハハハ』
「これは悪かったね、悪魔神オリンデルスさんよ。 まったくしょうがない偉大なる地球神様だよねぇ。」
「……」
「なるほど、確かに面白そうな勇者だね? だけど、それでも…あの勇者アドーレには、まだまだ実力でかなわないようだね。 勇者アクナルスよ」
「ふふふ、まぁね」
『ヒヒヒ、まあまあ…それはそうと、とりあえずは勇者同士の対決を見てみようではないか?』
「ああ、そうだね」
「ふん、ったく!」
そう言うと、ヴァグドーと勇者アクナルスと悪魔神オリンデルスの異色の三人が、一般観客席の一番後ろの方に並んで静かに立っていた。
肝心の試合の方は―――
相変わらず勇者アドーレと勇者見習いのモモネが、剣での攻防を繰り広げていた。
その勇者アドーレもモモネも、あまりの素早い攻防に、一般の普通の人間たちでは、とても目で追いきれない感じである。
「くぅ、やっぱり強いな。 伝説の勇者アドーレさんはぁ。 このまま普通に闘っていたのでは、とてもじゃないけど、まだ勝てないわね。」
若干劣勢気味のモモネが、これまでの闘い方をしていては、まだ勝てないと悟っていて、今の戦法を変更せざるを得ない状況に陥っていた。
「くぅ、仕方ない。 もうアレを使用するしかないわね。」
ブゥーンブゥーン、ボォーウ!
そこにモモネが、伝説の皇剣【神納覇の剣】を振りかざしていて、上下左右に円を描くように、光る刀身をグルグル振り回している。
その刀身に大量のエネルギーが集まり、刀身が蒼白く光輝いている。
さらにモモネが、伝説の皇剣【神納覇の剣】を横に水平に左右に振っていて、大型の蒼白いエネルギーの光刃をふたつ発射させて、勇者アドーレの方に向かって勢いよく飛んでいった。
ブゥンブゥン、ズバシュッ!
【ストリンガー・デスティネーション・ソーサリー】
「くらえ必殺―――!!」
「どうやら前回の試合で見せた、あの能力技をもう使用してきましたか? おそらくは、かなりの威力があると思われますね。」
さて、どうしたものかな?
などと思いながらも、今のところは防御も回避も反撃もせずに、伝説の皇剣【磨羯龍の剣】を前方に構えて、待ち構える勇者アドーレ。
まだまだ勇者対決の試合は続くけど、別の所でもなにやら騒ぎて賑わってるようだが・・・あの三人は確かに異色である。




