198、憧れの準決勝戦第二試合:1
●【No.198】●
大会三日目の昼前、準決勝戦第二試合
大型円形闘技場2にて
こちらの闘技場でも、既に一般観客席は満員御礼であり、もう既に沢山の人で賑わっていて、大変な盛り上がりを見せている。
またニーグルン姫やルドルス将軍に、大魔女シャニルやアルベルスやアルラトスたちも、既に一般観客席に座っていて、今か今かと試合開始を待っている。
さらにアテナも、既に大型円形闘技場2の特別観戦席に座っていて、こちらも今か今かと試合開始を待っている。
なんとここからは、あの勇者アクナルスも一般観客席の一番後ろの方に立っていて、今か今かと試合開始を待っている。
この勇者アクナルスとは、あのデュラルリダス王国から、このロートアンリルス連合国まで強行スケジュールでやって来て、つい先日昨夜入国してきたばかりである。
その為、会場入りが遅れてしまい、既に開始していた準決勝戦第一試合のヴァグドーの活躍は見ることができず、この準決勝戦第二試合に照準を合わせてきた。
ちなみに今回の…この視察・偵察? は、[ヴァグドーたちがエネルギー武闘台の大会に参加していることを聞きつけた]、デュラルン女王様とアロトリスの指示であるようだが、当の本人はなんだか渋々命令で来た感じがする。
このまま決勝戦まで見ていく予定ではあるものの―――
「やれやれ、なんだか疲れたぜ。 昨夜ようやく到着したと思ったら、もう大会三日目の最終日で、既に準決勝戦までいってたようだなぁ~。 まったく!」
勿論、勇者アクナルスはまるで一人言のように小声で愚痴を言って、相変わらず不満を爆発させているようだ。
「それにしても、伝説の勇者と勇者見習いの対決とはなぁ~。 これも運命なのか…? まったく!」
自分も勇者であることを差し引いても、この対決カードは避けられないものなのか? と思っている勇者アクナルス。
まぁ…当然の思惑なのだろう。
たとえ試合といえども、勇者同士が闘うことなど、勇者に敵対する者たちに、利や益があるだけなのだ。
「……ふん……」
散々愚痴を言うだけ言って、あとは腕組みして、無言のままで、試合開始を今か今かと待っている勇者アクナルス。
ここでようやく勇者アドーレと勇者見習いモモネと審判が闘技場の中央まで出て来ていた。
「宜しくお願いします。 アドーレ先輩」
「はい、宜しくお願いします。」
ここで勇者アドーレと勇者見習いモモネの二人がお互いに距離をとって、それぞれが戦闘準備をしている。
勇者アドーレは八本の黄金の剣を黄金の鎧から分離、それぞれが勇者アドーレの周囲を浮かんでいる。
そして、今度は伝説の皇剣【磨羯龍の剣】を最初から取り出して構えた。
どうやら今回は最初から本気モードである。
勇者見習いモモネは右手に黄金の剣を、左手には白銀の剣を、それぞれ持って構えている。
また今回では、腰の後側に "大型の特殊なナイフ" も装備しており、武装を強化してきている。
どうやら今回も二刀流でくるようだ。
審判が両者を見てから「始め!」の合図で試合開始である。
「でぇい!」
タッ!
審判の合図と同時に、かけ声と共に地面を蹴って、素早く勇者アドーレのところまで近づく勇者見習いモモネ。
モモネが黄金の剣で勇者アドーレの左肩を斬りかかろうとするが、勇者アドーレが素早く伝説の皇剣【磨羯龍の剣】でガッチリ防御する。
ガッキィーーッ!
「くぅっ!」
今度は白銀の剣で勇者アドーレの右肩を斬りかかろうとするが、一瞬早く勇者アドーレがモモネの腹部を軽く蹴って、またお互いに距離をとって間合いをはかろうとする。
ガァッ!
「うわぁっ!?」
思わず少し後退するモモネ。
「……」
今度は勇者アドーレが、自身の周囲に浮かんでいる八本の黄金の剣を、モモネを取り囲むように全方位同時に移動させて、剣先から稲妻レーザービームを、モモネめがけて一斉に発射させた。
【ストリンガー・ドラグーンソード】
「くぅっ!」
だがしかし、ここでモモネが黄金の剣と白銀の剣を、まるで刀身を盾のように巧みに使用して、全部の攻撃を素早くしっかり防御して、なんとか辛くも防いでいる。
ピキィッ!
「…っ!?」
だけど、さすがに今の攻撃で白銀の剣の刀身に、ピキピキとヒビができていた。
勇者アドーレの強力な攻撃に、白銀の剣の方は耐えきれなくなったようだ。
「どうやら、その白銀の剣では、ボクの攻撃には耐えきれなかったようですね。」
「……」
「さて、これ以上…その白銀の剣で攻撃や防御をしたら、その白銀の剣が折れて使い物になりませんよね?」
「ご心配には及びません。 こんなこともあろうかと、既に対策はしております。」
「……?」
「少しお待ち下さい」
「はい、判りました」
すると勇者見習いモモネが、自分の目の前に黄金の剣と白銀の剣の剣先を、それぞれ地面に付けて立たせていて、腰の後側に装備していた大型の特殊なナイフを取り出して、不思議な構えをしている。
「……」
一方の勇者アドーレは、その様子をただ黙って見ている。
勿論、勇者アドーレに待つ意味も義理もなく、そのままモモネに攻撃しても構わないのだが、正義を貫き紳士的な勇者アドーレには、そんな卑怯な真似はしない。
ここでモモネが不思議な言葉(呪文?)を言い始めた。
「古の剣よ! 力の剣よ! 我の声に応えよ! 金と銀の力が混ざりて、古の力を我が下に集え! 【神納覇・融合剣】!」
そこでモモネが謎の言葉(呪文?)を言い終わると―――
ピッカァーーン!
ここで大型の特殊なナイフが突然光輝き、黄金の剣と白銀の剣が「古の力」でひとつに融合して、新たな剣が誕生した。
そして、モモネがそれを手にした。
「遂にできた」
そこで勇者見習いモモネは伝説の皇剣【神納覇の剣】を完成させた。
こちらの試合もまだまだ続きます。
一応は前回の試合同様に3話ぐらいで収まればいい方ですけどね。
でも頑張っていきますので、これからも宜しくお願いします。




