191、エネルギー武闘台・B決勝戦
【ベスト8】
第一試合 (Aブロック決勝戦)
◎ヴァグドー
V.S.
◎ガルマン
(パートB)
●【No.191】●
大会二日目の昼前、Aブロック決勝戦
今度はヴァグドーがガルマンにゆっくりと歩いて近づく。
そこで恐怖を覚えたガルマンが、慌ててまた剣を構えて、自分に近づこうとするヴァグドーを牽制する。
「くっ!」
「………」
ヴァグドーは無言のまま、ゆっくりと焦るガルマンのすぐ側まで近づき、静かに攻撃射程距離の中まで入っていく。
「ひぃぃっ! ラ―――」
ここでガルマンがたまらず両手を広げて、ガルマンを中心にして、周囲を光のエネルギーの球体のバリアで張り巡らしており、ヴァグドーの接近と攻撃を防ごうとしている。
ブァアアアァーーン!
「【ライトニング・サークル・ディフェンス】」
「………」
これで光のエネルギーのバリアがガルマンを守ってくれていて、ヴァグドーは接近も攻撃もできないはずなのだが、それでもヴァグドーはそんなこと構わずに、このままガルマンのところまで歩いて近づく。
「―――ふふふ」
「……えっ!?」
さらに慌てるガルマン。
スゥーーーッ!
なんと突然、ヴァグドーがガルマンの目の前で、その姿が消えてしまった。
次にガルマンがヴァグドーの姿を視認できたのは、自分のすぐ左隣である。
なんと一瞬にして、【ライトニング・サークル・ディフェンス】の中まで入ってきて、ガルマンのすぐ側まで来ていた。
「……【ストリンガー・デスロック】か……ヴァグドーご自慢の最強無双の能力……か……」
またしても悪魔神オリンデルスが、なにやらニヤリと笑いながら、そっと呟く。
まさにこの世界から、その存在を消し去る特典能力【ストリンガー・デスロック】、いかに光のエネルギーのバリアである【ライトニング・サークル・ディフェンス】といえど、最早何も問題も関係もない。 そう、彼には全く通用しないのだ。
「……っ!!?」
ヴァグドーは禍々しい邪悪な漆黒の闘気を右手の手刀に集中させていて、それをガルマンの首筋に鋭く素早く叩きつけた。
それはまさに一瞬の出来事だった。
シュッ、ドン、ドサッ!
そのままガルマンは無言のまま、前のめりに倒れて気絶して、もう戦闘不能である。
「―――っ!!?」
「【神納覇・右忖】」
倒れたままのガルマンを見て、慌てて駆け寄る審判。 しばらくガルマンを見ていた審判が両腕を交差させてから、「そこまで!」と試合終了の合図を出した。
「勝者・ヴァグドー!」
ここでようやくヴァグドーが勝ち名乗りを受けた。
一足早くヴァグドーが準決勝進出である。
一般観客席からは歓声・どよめきが鳴り響き、特別観戦席からは驚愕している声が鳴り響く。
「あ、あのガルマンが……負けた……??」
試合を見ていたアテナも言葉にできない声で、とてもビックリしている。
一方で悪魔神オリンデルスは、「ふん、当然の結果だな」と、淡々と無表情で小さく呟く。
倒れたままのガルマンは、複数の関係者によって運ばれていった。
それを見ていたヴァグドーが参加選手の控え室まで戻ってきて、控え室の中には、次の試合に出る予定のカグツチが待っていた。
「お疲れ様です。 師匠」
「おう、お前さんの次の相手はかなりの強敵じゃから、十分に気をつけるんじゃぞ。」
「はい、よく判りました。 師匠」
そこで少しの休憩の時間を入れてから、Bブロック決勝戦が行われる。 Bブロック決勝戦もAブロック決勝戦と同じ大型円形闘技場で行われる。
そして、休憩時間も終わり、次の試合の参加選手の二人が大型円形闘技場の中央に現れた。
大会二日目の昼前、Bブロック決勝戦
カグツチ対悪魔神オリンデルス
今回のカグツチはかなりの重装備をしており、まずは『激焔の牙』と呼ばれる剣を右手に持ち、『射熱の盾』を左手に持ち、『紅鋼の鎧』を装備した状態で、これで攻守完璧である。
一方の悪魔神オリンデルスは身軽な格好で、しかも手ぶら。
カグツチが攻撃力と防御力を重視しており、オリンデルスが機動力と俊敏性を重視した、対照的な二人である。
カグツチは盾で前を防ぎ、剣を右横に構えた状態であり、オリンデルスはヴァグドー同様に、特に何も構えずに突っ立ってた。
「始め!」
審判の「始め!」の合図と同時に、カグツチが「参る!」と掛け声をかけて、そのままの態勢でオリンデルスの目の前まで突っ込む。
「でりゃあああぁーーーっ!!」
このままの勢いでカグツチは、『激焔の牙』でオリンデルスの身体を連続して斬りかかる。
ザァン、ザァン、ザァン、ザァン!
このカグツチの連続斬撃に、オリンデルスは身体全体を使って、巧みに全て避けていく。 だがしかし、ここに違和感を覚える。
「お、同じだ……師匠の動きと……これは一体……??」
そう、悪魔神オリンデルスとヴァグドーの動きが重なって見えるのだ。
「くっ!」
ここでカグツチが慌てて、後方にジャンプして距離をとった。
「………」
オリンデルスは無言のまま、今いる場所から動かずに、ニヤリと笑っている。
「くっ、お前は一体何者なんだっ!!」
「ん? もうとっくにご存じのはずだが、ボクの名前は悪魔神オリンデルスだよ。」
「そうではない! 何故、師匠と……ヴァグドー師匠と同じ動きができるんだっ!」
「ふふふ、たまたま……だろ?」
「そ……そんなはずは……あの不可思議な動きは……師匠にしか……できないはず……??」
「ふふふ、この世には、色々と都合や運命や偶然などが沢山ある。 ヴァグドーとヴァグドゥルスの顔が似ているのと同じように、たまたま彼の動きと同じなのだろ? ふふふ」
「……えっ!?」
「な、何っ!!?」
あのオリンデルスの発言に、ヴァグドーが強烈に驚愕している。
ば……バカな……なんで……あやつはあの事を知っておるのじゃ……っ!!?
【ベスト8】
第二試合 (Bブロック決勝戦)
◎カグツチ
V.S.
◎オリンデルス
(パートA)
今年の投稿はこれで最後です。
今年もお付き合いして頂き、ありがとうございました。
次回の続きは令和二年からとなります。
来年も宜しくお願いします。
では皆さん、よいお年を!




