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絶望老人が異世界転生をしたら、99年間で最強無双になってしまった!  作者: 賭博士郎C賢厳
F.ロートアンリルス連合国・前編
186/329

182、悪魔たちとの戦い?:1

  ●【No.182】●



 ヴァグドーたち一行が『ロートアンリルス連合国』の最初の街の "ギルド冒険商" に立ち寄っていた。


 そこでヴァグドーたちが「エネルギー武闘台」という大会・イベントを見つけて、面白そうに思ったヴァグドーが早速参加しようとしていた。


 だが現在(いま)は、エントリーしようにも、カウンターの中にいるはずの主人が不在のようだぞ。 一体何処に行ったのか?


 おい、なんだ…? これは職場放棄なのか…?


 ヴァグドーたちが誰もいないカウンターの前まで近づいた。


「なんだよ、誰もいないじゃん?」

「師匠、ここの "ギルド冒険商" の主人がいませんね。」

「ふむ、これは困ったのう。 さて、どうしたものかの…?」


「ヴァグドーさん、これを見てください。」


 そこで勇者アドーレの指差す方のカウンターの上には、"白い置き手紙" と "黒く平らな装置" が置いてあった。



 その手紙の内容とは―――


 ━ 急用につき、本日は休業する。 なお、エネルギー武闘台に参加・エントリーしたい者は、冒険者カードや身分証明カードなどを、そこの黒い装置の上にかざせば、エントリー完了となる。 ご協力お願いしたい ━


 ―――と書いてあった。



 どうやら今日は主人が急用でいないらしい。


「なんだよ、マジかよ?」

「なんじゃ? セルフサービスじゃな?」

「あら~? 急用ってなんだろうねぇ~?」

「……とにかく急用なんじゃないんですか? シャニル様」

「…ふーん…」

「ですが、エネルギー武闘台の受付はまだやっているようですので、それだけでも済ませてしまいましょうか?」

「ふむ、そうだの。 この大会に出たい者はエントリーを済ませた方がよいのう。」

「はい、そうですね」


 まずヴァグドーは当然参加するのだが、そこで勇者アドーレも参加することにした。

 さらにカグツチとルドルス将軍も参加することにした。

 つまりヴァグドーたち一行からは四人、この大会に出場するみたいなのだが―――


「ほーう、やはりお前さんも出るのか? アドーレよ」

「はい、ヴァグドーさんの一人勝ち優勝では、あまり盛り上がらないでしょうから、及ばずながらボクも参加しますよ。」

「師匠、私も参加することにしました。」

「ほーう、そうかい。 まぁ…せいぜい頑張るんじゃな。」

「はい、師匠!」

「はい、判りました。」


「えっ、将軍も出るのですか?」

「はい、自分の力がどこまで通用するのか、ぜひ確かめておきたいのです。 勿論、ヴァグドー殿や勇者アドーレ殿には(かな)わないでしょうけど、武人としては確認しておきたいのです。」

「そ、そうですか。では…気をつけてくださいね。 将軍」

「はい、姫様。我が力、とくとご覧下さい!」

「………」


 ここでヴァグドーと勇者アドーレとカグツチとルドルス将軍の四人が、エネルギー武闘台出場の受付エントリーの手続きを済ませて、無事参加可能となった。


 そこに彼ら四人の共通点としては、どちらかと言えば、接近戦が得意な方である。

 中でも最も接近戦において、このヴァグドーに(かな)う者が、この世界にいるのか、どうかは(はなは)だ疑問である。 まず普通に戦って勝てるとは思えない。



 他に "ギルド冒険商" の中を見渡してみたけど、特に何もないようなので、ヴァグドーたち一行は外に出ようとしていた。


 結局、ヴァグドーたち一行のことを誰も気づかなかった。



 その時―――


「きゃぁっ!!?」

「きゃぁあああああああああああああぁーーーーっ!!!」


 突如として、外の方で女性の悲鳴が、この "ギルド冒険商" の中まで鳴り響いていた。


 外では、街の上空に "異形の悪魔の使者" が三体、人間の若い女性と少女を、それぞれ一人ずつ()(かか)えて浮いていた。


「やめろ! 俺の妻子を返してくれ! 頼む!」

「この化物! 降りてきて戦え!」


 その下では、中年の男性が何やら大声で騒いでいて、その男性の周囲には、槍や剣を持った複数の兵士たちが上空を見上げて、この "異形の悪魔の使者" のことを(にら)()けている。


「おぉっ!?」

「むむむっ!」


 外に出た勇者アドーレやヴァグドーが高速で高くジャンプして、そのまま "異形の悪魔の使者" たちがいる方へ飛んでいった。



 一瞬にして、ヴァグドーが "異形の悪魔の使者" の所まで近づき、若い女性を()(かか)えてる "異形の悪魔の使者" の頭の左側に向かって、強烈で鋭い右足の蹴りを()らわせる。


 ガァギィーーン!


 なんと… "異形の悪魔の使者" が左腕で、ヴァグドーの右足の蹴りを防御(ガード)した。 ほんの少しだけ信じられないことだけど、この "異形の悪魔の使者" がヴァグドーの凄い蹴りを受け止めたのだ。


「ほほーう、なかなかやるのう。」


『なんだ…お前は…??』


 なんと… "異形の悪魔の使者" が "謎の声" を出して、ヴァグドーに話しかけてきた。


「ほーう、お前さん、話せるのか?」


『………』


「ワシの名はヴァグドー、ただの冒険者じゃよ。」


『……ただの冒険者だと……お前がか……??』


 よく見ると、若い女性を()(かか)えてる、この "異形の悪魔の使者" が、確かにヴァグドーの攻撃を受けきったけど、その左腕が痺れて動けないようだ。


『……お前……本当に人間なのか……??』


「ほっほっほっ、()()はの……」


『………』


 上空に浮かんでいるヴァグドーと "異形の悪魔の使者" たちが、お互いに目の前で(にら)()っている。

一体何者なんだっ!!? コイツらはっ!!?

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