14、剣士カグツチ:1
新キャラ登場!!
●【No.014】●
ワシはカーナベルトの町から、次の目的地であるサルマンディオスの町へ目指して歩いていたのじゃ。
人の往来はここの道でも多い様で徒歩・馬・馬車といった様々な移動手段で行き来しており、もちろん通行料などは取られない自由な往来ができ、なかなかの凄いモノだと思われる。
今度はかなり遠いので2~3日はかかるかもしれない様であり、道の途中で道から外れて林の中に入り野宿をしていてやり過ごしていた。
さらに道を間違えない様にして慎重にじっくりと歩いていき、サルマンディオスの町の近くにある異様で不気味な雰囲気を醸し出している謎の沼の所まで来ていた。
ヴァグドーはまるで、その謎の沼に引き寄せられる様に近づいていくと、
……突然!
「おい、待て!! お前、そこで何をしているっ!?」
背後から不意に女性の大声で注意を促していた。
「……?」
ワシが後ろを振り向くと、そこに赤い髪のロングヘアーの赤い瞳に赤い鎧と赤いマントと赤いミニスカートを身に付けて、赤い剣を腰の左側に装備した全身が赤い、可愛い顔立ちの美少女が厳しい顔をして、こっちの方を見ていた。
「……なんじゃ? お前さんは…!?」
「私の名前はカグツチだ! 剣士であり旅をしているが、お前は誰だ!?」
可愛い顔立ちの美少女には似合わない、怒りっぽい声で話しかけてきた。
「ワシはヴァグドーじゃ。 同じく旅をしている」
「ん? 何? ヴァグドーだと!? …ヴァグドー…」
「それでワシに何か用か?」
「え? ああ、あんたはそこで何をしているのか? …と聞いているのだ。」
「ああ、あの沼を見ていただけだが、それが何か問題でもあるのか?」
「何!? あの沼は非常に危険だぞ! あの沼は "地獄の沼" と呼ばれていて、皆からは恐れられているのだ!!」
「ほう、あれが… "地獄の沼" …と言うヤツなのか? なかなか面白そうじゃの!」
「……?」
「まぁよい、今夜は町に入って宿屋にでも泊まって、ゆっくりと身体を休めるかのう。」
ワシはカグツチと言う名前の女剣士を放っておいて、第8の都市、サルマンディオスの町の中に入っていった。
サルマンディオスの町も意外に大きな街であり、人も家も店も多くて、なかなか活気溢れる街だという印象を受けていた。
ワシは早速、今夜泊まる宿屋を探していたのじゃ。
だが、さすがに今度の街では宿屋は何処も満員御礼であり、空室はないようで、今夜泊まれる宿屋は見当たらない。
「やれやれじゃな、今夜も街の外で野宿でもするかの?」
ワシが街を出ようとすると、また背後から声をかけられた。
「おい! ちょっと待て!! 何処に行くつもりだ!?」
ワシが後ろを振り向いてみると、先程出会ったカグツチとか言う名前の少女が立っていた。
「………宿屋は何処も満室でな、今夜は外で野宿じゃよ。」
「はぁ? 外で野宿……だと!? バカな! 外にいるモンスター共は夜は活発になり、凶暴性も増している! 凄く危険なのだぞ!!」
「何も問題はない、いつものことじゃよ。 こう見えて野宿に関しては、お前さんたちとは年季が違うのでな。」
「はぁ? 何を言っているのだ!? いや、何を言っているのか、解らないが泊まるトコがないのなら…………私の部屋に一緒に泊まるか?」
カグツチの顔が少し紅くなっていた。
ほほう、これはなんじゃ?
お約束と言うべきか、それともフラグと言うべきか?
このまま彼女の部屋に一緒に泊まって、そのあとで何かハプニングでも起こるのか?
いやいや、そもそも今日出会ったばかりの初対面の男を自分の部屋に入れるなど、新手の追い剥ぎか何かか?
……怪しい……
ワシは色々と考えた結果、結局導いた言葉が、
「だが、断る!!」
ここで彼女にこの言葉を贈る。
「え!? あっ…あ!?」
ワシの言葉にカグツチがひどく動揺している様だが、ワシはそのまま街から外に出ていった。
カグツチの話しはまだまだ続く。




