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絶望老人が異世界転生をしたら、99年間で最強無双になってしまった!  作者: 賭博士郎C賢厳
E.デュラルリダス王国編
162/329

158、前夜祭:3

前回からの続きです。


  ●【No.158】●



 ―デュラルリダス王国―


  ◎「王族の街」◎


 その大きなお城の『アロトリス』のある広大な某フロアを使用して、そこを前夜祭のパーティー会場にしている。


 そのパーティー会場の中央では、ヴァグドーとデュラルン女王様が向き合って、演奏に合わせて一緒に踊っている。


 ざわざわ、ざわざわ


 やっぱり周囲が少しざわついている。


 しばらくは踊り続ける二人だが、やがて演奏が終わると二人共に踊りを終えて、デュラルンがヴァグドーにお辞儀して、


「どうもありがとうございますわ。 ヴァグドー様」

「ふむ、どうもじゃな」


 そう言うと、彼女が踵を返して振り返り、そのまま母親の『アロトリス』の所まで戻っていった。





 それを見ていたワシも踵を返して振り返り、皆の所まで戻っていったんじゃが、


「……ん?」


 その戻る途中で、丁度ワシと大魔王エリュドルスの目が合ったんじゃ。 それでもワシも彼も軽く少し会釈するだけで、あとはまた目をそらし、また皆の所へ目を向けたのじゃ。





 このパーティー会場の中央では、ある程度の人数が踊れるスペースがあり、その周囲に広がる、沢山の丸いテーブルや四角いテーブルなどに白いテーブルクロスが敷かれており、その上には、それぞれ肉料理や魚料理や野菜料理や色んな飲み物などが置かれており、好きな料理があるテーブルまで取りに行く、立食パーティーのバイキングスタイルになっている。


 そこにヴァグドーたち一行や、その知り合いたちが、ある場所に一ヶ所に集合していて、そこで立ちながら飲食している。


 一方の大魔王エリュドルスたちは、相変わらずパーティー会場の一番端の隅の方に立っていて、赤ワインを飲んでいる。


 ざわざわ、ざわざわ


 あと周囲には、見慣れない貴族や王族たちが参加していて、うるさくない程度にざわついている。 そこにデュラルン女王様と母親の『アロトリス』が、その貴族や王族たちに挨拶や談笑などをしており、とてもなごやかな雰囲気になっている。



 それとワシは大魔王とは、反対側のパーティー会場の一番端の隅の方で、壁に背を付けて腕組みしながら立っておったんじゃが―――どうにも場違いな場所に来たもんじゃな。


 また周囲を見回しても、ある違和感を感じておる。 最初は大魔王がここにおることや、ワシたちがこの場違いな場所におることへの違和感じゃと思っておったんじゃが、どうやら…それだけではないようじゃな。


 ……おかしい……何かがおかしい……一体何なんじゃあ……っ!?






 やがて夜も更け―――


 するとなんと突如として、このパーティー会場のあちこちから、何処からともなく…妖しげな… "黒い煙" がモクモクと大量に発生しており、会場全体を(おお)っていた。


 ざわざわ、ざわざわ


「うわぁ!? な…なんだこれはぁ!?」

「か、火事か!? 何処かで火事でも起きているのか!?」

「火元は何処だ!? すぐに消火しなければ!!」

「ひぃぃぃ、た…助けてくれぇーーっ!!」


 既に周囲は大混乱であり、無用にあわてふためく貴族や王族たちに、一体何が起きたのか…理解出来ずに、凄く動揺しているニーグルン姫やメルルスクリム姫やルドルス将軍たち。


「…遂に…来たか…」

「くそっ! なんだ…この黒い煙はぁ…っ!?」

「この煙は…以前の白い煙では…ないのか…?」

「この煙は……ヤバい!」


 一方では、デュラルン女王様や母親の『アロトリス』の周囲には、黒服を着た屈強のボディーガードたちがしっかりと固めており、二人を安全な場所まで誘導・避難させようとするのだが―――


「早く、女王様とアロトリス様を安全な場所まで避難させるのだぁ!」


 ざわざわ、ざわざわ


 その周囲が大混乱なので、なかなか思うようにいかずにいて、なにやらデュラルンとアロトリスが小声で話し合っている。


「お、お母様……これは一体……っ!?」

「……どうやら…遂に始まったらしいわね。 でも、まさか…本当に起きるとは……っ!」

「お母様! 私はこれから一体どうすれば……っ!?」

「あなたも私の娘なら、"覚悟" を決めなさい! あとは…ヴァグドー様に()()()()()()()のです!」

「は…はい、判りました。 お母様もどうかご無事で!」

「あぁ、あなた……どうか娘をお守りください……」


「…な…なんだ…これは…?」


 どうやらデイラルスも困惑して、かなり動揺している。


 ドサッ、ドサッ、ドササッ!


 するとなんと突如として、そこにいた貴族や王族たちをはじめ、デュラルンやアロトリスに、それとカグツチやニーグルン姫やテミラルスたち、さらには勇者アドーレや大魔女シャニルやレイドルノたち、そして…遂には、勇者アクナルスやデイラルスまでもが、その場に倒れて気絶した。


 ただし、未だに平然と立っていて、無言でまったく微動だにしていない、このヴァグドーと大魔王エリュドルスの二人を除いては―――






「おい、生きているのか?」


 やがてしばらくしてから、うつ伏せで倒れて気絶しているデイラルスを起こすギロリルス。


「ハッ!!」


 そこでデイラルスが起き上がり、すぐに周囲を見渡すと、皆はまだ倒れて気絶しており、そこにヴァグドーと大魔王エリュドルスとデュラルン女王様の三人の姿だけが無くなっていた。


「こ…これは一体…っ!? 何が起こったのぉ!?」

「…どうやら…デュラルン女王様が…何者かに誘拐されたようだな…」

「…えぇっ!? な…何ですってぇ!?」


 それを聞いたデイラルスがかなり驚愕していた。


 なんということなのか! 現在(いま)何かとんでもないことが起きているようだぞ!


やっぱり、ただの前夜祭で終わることはなかったようだな。

さぁ…果たして、今までの伏線を少しでも回収できるのか…?


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