12、雑魚共の執念
サブタイトルだけで察した読者は、とても凄い!
●【No.012】●
……巨蒼龍がぐったりと倒れている。
すると突然、巨蒼龍の身体が光始めていた。
「ん? なんじゃ!?」
やがて光が消えると、そこに見慣れない蒼色の剣が現れた。
「お? なんじゃ? 突然……剣が現れた……?」
ワシは両手で地面に刺さっているその剣を抜いた。
「おお! なかなか良い剣じゃな! よし 今度はこれを装備しようかの!」
どうやら、巨蒼龍が蒼色の剣【氷結の剣】に変化していて、自分を倒したヴァグドーだけが装備できる様になっていた。
ヴァグドーは【氷結の剣】を手に入れた。
ワシはそのまま "地獄の洞窟" から外に出た。
外に出ると複数の人間が、ワシが来るのを待ち構えておった。
ここに来る道の途中で出会ったガラの悪そうな格好の、いかにもチンピラ風情共の山路賊が、前の倍の人数でワシが外に出てくるのを待っておった様じゃ。
どうやら、以前の報復の為に来た様じゃが、よくもまぁ、ここまで来れたものじゃな。
……ご苦労さん。
「てめえ、見つけたぞ!! この間は、よくもヤってくれたなぁ~!!」
「てめえ、この間のカリを返させてもらうぜ!!」
「やれやれじゃな、よくもまぁ、また痛い目に遭いに来た様なものじゃな。」
「なんだと!? てめえ!!」
「待ちな!!」
そこにチンピラ共の山路賊の中から、一際大きな男がワシの前に現れたのじゃ。
「ほう、お前…なかなか良い剣を持っているな! どうだ? その剣を俺に渡せば、命だけは助けてやるぞ!?」
「……はぁ~~…」
ワシは思わず、ため息が漏れてしまった。
何故、雑魚敵はこうも根拠のない、強がりが出来るのか?
前にワシと戦ってほとんど何も出来ずに、地面に転がっていく様を味わったはずじゃ!
なのに、また性懲りもなく、今度は親分らしき者も連れて、ワシの前に現れるとはの……。
いや、それ以前にソイツを連れてくれば、ワシに勝てるという発想自体、壊れておる。
……間抜けじゃ……
「それで…断ったら…どうなるのじゃ?」
「断る…? ガハハハ、それなら、お前を死体にしてからじっくりと、奪い取ってやる。」
「……はぁ~~…」
またワシはため息を漏らしてしまった。
もう間抜けにはこれ以上何を言っても、仕方あるまい……。
正直、もうウンザリじゃ。
「ならば! お前が死ね!」
そう言うとワシはその山路賊の親分らしき男の顔面に、眼にも止まらないほどの強烈な右拳を喰らわした。
ドゴォン!
「……え? ぶほぉっ」
その山路賊の親分らしき男は、何が起きたのか理解できずに、そのまま遠くの方まで勢いよく、まっすぐ吹っ飛ばされてしまった。
「…えっ!? 親分…?」
「嘘? そんなバカな!?」
「………」
山路賊の子分共が、ひどく動揺しているその隙に、一瞬でソイツらを全員、一撃で再び地面に転がしてやった。
「今回までは、まだ生かしておいてやる…だが、次は本当に殺すぞ!」
だが、山路賊子分全員は既に意識を失っていて、ワシの話しを聞いていない。
ワシはまるで何事もなかった様に、そのまま下山していった。
あの連中……面白いからワシの所に来たら、またからかってやろう。
……暇潰しにもなるしの……
絶望老人ヴァグドー、留まるところを知らず!




