143、「最初の街」
ここで遂に主人公の登場です。
●【No.143】●
※伝説の皇剣 (現在六本)
◎『大魔王エリュドルス』→【終焉殺の剣】
◎『神光聖者エリュニウス』→【絶望神の剣】【失望帝の剣】
◎『ヴァグドー』→【消滅罪の剣】
◎『勇者アドーレ』→【磨羯龍の剣】
◎『勇者アクナルス』→【宝瓶龍の剣】
その後は、目的を果たした神光聖者エリュニウスが、その役目を終えて再び天高く舞い上がり、はるか上空へと、その姿を消していった。
一方の勇者アクナルス側も、神光聖者エリュニウスと別れた後は、入手した伝説の皇剣【宝瓶龍の剣】を持って、そのまま何処かへ飛び去っていった。
その同時刻にヴァグドーたち一行は、遂にデュラルリダス王国に到着していた。
この王国の「最初の街」の入口には、あの臨王国の高将軍・妄唇将軍が、部下の臨軍の兵士たちを引き連れて、ヴァグドーたち一行を出迎えていた。
「おお、お待ちしておりました。 勇者アドーレ様、ヴァグドー殿、大魔女シャニル殿」
早速だが、妄唇将軍が話しかけてきた。
「おや、これは妄唇将軍。 あなたもこちらに来ておりましたか。 お久しぶりですね。」
「おう、お前さんは…確か臨王国にいた将軍か……それで臨王は元気じゃったか?」
「ヤッホー♪ 元気ぃ~~♪ 妄唇ちゃん♪」
まるで久しぶりに友人・知人に会った学校の同窓会のように話し込むヴァグドーたち。
「さあ、それでは早速宿屋まで、ご案内しましょう。」
「おう、そうかい。 それではよろしく頼むぞ。」
「はい、どうもありがとうございます。」
「はぁ~いぃ、サンキューねぇ~~♪」
早速だが、妄唇将軍の案内でヴァグドーたち一行は、これまで乗ってきた大型の馬車を所定の場所に停めて、そのまま街の中に入っていった。
その街の中では、沢山の人間が行き来していて、大変賑わっている。 この街のあちこちでは、沢山の垂れ幕や横断幕などが架かってあって、その文字の内容が、「女王様、お誕生日おめでとうございます!」や「デュラルン様、おめでとう!!」などと書かれていた。
どうやら話しを聞く限りでは、まだお誕生日パーティーは始まっておらず、一度始まると数日間連続のぶっ通しで行うらしい。 また運良く、その前の日に来れた訳だ。
それにしても、この街では、面倒臭い手続きや取り締まりなどがかなり緩いようで、特に何もせずに簡単に入れてしまった。
「それはですね、ここが「最初の街」と呼ばれるところで、特に冒険者や観光客などの宿泊・滞在が許可されてる街だからです。」
妄唇将軍がワシらの疑問・質問に答えてくれている。
「…「最初の街」…?」
「はい、この街の正式名称はよく解りませんが、この街の者たちがそう呼んでいました。 どうやらここの他にも、いくつか街があるようですな。」
「ほーう、まだいくつも街があるのか?」
「あとは、この街には "ギルド冒険商" もありますけど、今から行きますかな?」
「今はよい。 それよりも今は宿屋に行って休みたいのう。」
「はい、ボクも賛成です。」
「はぁ~ 私も疲れたわぁ。 宿屋で休みたいぃ~~♪」
「はい、判りました。 それでは宿屋に向かいましょう。 ちなみに、この街には酒場もありますが…行かれますかな?」
「ワシは酒は呑まん」
「ボクもお酒は呑みませんね。」
「私もお酒は呑まないわよぉ~~♪」
※あとは、未成年や職務中の将軍や魔族なので、お酒は基本的に誰も呑まない…?
「はい、判りました。」
などと話しながら歩いていると、ワシらがこれからしばらく宿泊・滞在することになる宿屋に到着した。
「ほーう、これはなかなか豪華じゃのう。」
まだ外見の見た目だけなのだが、緑色の大きな建物の五階建てで、凄く豪華な観光客向けの大型宿屋が目の前に現れた。
「この街で一番いい宿屋を予約しました。 勇者様が宿泊するのに、質素で小さな宿屋では、とても失礼ですからな。」
「……」
「……そうかい、まあ…泊まれれば…何処でもよいがのう。」
ふふふ、ワシは素っ気ない態度で応えており、アドーレも苦笑いをしていた。
それからワシらは、そのまま大型宿屋の中に入っていった。
「…ふーう、とても緊張したな…」
「お疲れ様です、将軍」
「否、まだまだ…これからが本番だぞ! よし皆、気合いを入れ直すぞ!」
「はいっ、将軍!」
続いて、妄唇将軍や臨軍の兵士たちも、その大型宿屋の中に入っていった。
それはまるで、上司や得意先などに接待や商談をする担当社員のように、多少の緊張や疲労をしている妄唇将軍が、その疲れ気味の身体に気合いを入れ直していた。 ……さすがは軍人である。
さすがのヴァグドーも長旅で少しお疲れ気味です。




