139、深淵なる者:2
前回の続きだよ。
●【No.139】●
その《ブラック.エルフニア.ノヴァドラゴン》の漆黒の鱗は、鋼鉄よりもさらに硬く、いかなる武器や魔法も通さない。
さらにそこに、また《ブラック.エルフニア.ノヴァドラゴン》が、口からドス黒い突風砲を吐いて、上位魔族の二人や勇者アクナルスを牽制する。
『くらえぇぇっ!!』
ズババババァーーッ!
上位魔族のオブリルスとクノシルスの二人は、先程の "真紅のバリヤー" で、なんとか…辛うじて防いでいる。
「…くっ!」「…うっ!」
バチバチバチ……バチ
だがしかし、その防盾 "真紅のバリヤー" の効力・威力が、だんだんと弱まってきている。
「………」
一方の勇者アクナルスは、右手を身体の前方に突き出して、掌でドス黒い突風砲の効力・威力を抑えている。
(その時、何かを吸収した?)
『さすがに思ったよりも、かなり強いようだな。』
「ああ、とにかく…あの硬い鱗が邪魔だな。 勇者アドーレは白い方を、一体どうやって倒したのだ?」
『ああ、アヤツには…伝説の皇剣【磨羯龍の剣】を所有・装備していた。 そいつを使って倒したのだよ。』
「ちっ、やっぱり…カギとなるのが、伝説の皇剣なのか…。」
その勇者アクナルスが小声で、〈地球神アクナディオス〉と話し合っている。
「さっきから…疑問に思っていたんだが、もしかして…あのドラゴンは、お前のことが見えてるんじゃないのか…?」
『………わからん。 だが…そんな感じはする。』
「もし…見えてるんなら、アレが使えるんじゃないのか…?」
『……アレを使うのか……っ!?』
「このまま俺がただ黙って殺られるつもりはない。 この俺がアイツを倒さなければならないんだからな。」
『………』
その勇者アクナルスと〈地球神アクナディオス〉が、小声で作戦会議をしていると、また上位魔族の二人が先に仕掛けてきた。
「くっ、このままでは、殺られてしまう。 アレを使う他にない。」
「ちっ、ここは仕方がない。 このままただ黙って死ぬ訳にはいかないからな。」
するとオブリルスとクノシルスの二人が、お互いに背中合わせになり、オブリルスが左手を、クノシルスが右手を、それぞれ前方に突き出した。
【上位魔族融合魔法】
上位魔族の二人が協力して、お互いの攻撃魔法と魔法力を融合させる、超必殺の融合攻撃魔法である。 この瞬間だけ、レベルが500まで跳ね上がる。
「「くらえっ!! 《ドレッドノート・バイオレンス・シュート》ッ!!」」
ズゥゴオオオォーーッ!
その上位魔族の二人が、同時に咆哮して、それぞれ前方に突き出した、二人の掌から、一気に紫色の極大光線が放出されて、《ブラック.エルフニア.ノヴァドラゴン》の方に向けて発射された。
『フフフ、そいつがお前たちの奥の手か? ならば、私の方も奥の手を出すとしよう。』
ピカァッ!
「「っ!!?」」
ズゥゴオオオォーーッ!
今度は《ブラック.エルフニア.ノヴァドラゴン》の額にある角から、突然…凄く妖しく光り輝き、漆黒エネルギーが収束されていき、一気に漆黒の極大光線が放出されて、向かってくる《ドレッドノート・バイオレンス・シュート》の方に向けて発射された。
「…何ぃっ!? くそっ!!」
「まだ…あんな攻撃がっ!?」
ズゥドォーーン!
両者の中央で漆黒の極大光線と紫色の極大光線が激突する。
『…フフフ…』
「…くっ!」「…うっ!」
両者の攻撃が拮抗する。
シュウウウ……ン!
一方の勇者アクナルスが、右手を頭上に挙げていて、灰色の聖剣の刀身でもある、あの灰を掌に集めている。
『まさか…ここで、あの剣を失うとは……っ!』
「ああ、だが仕方がない。 ここが…まさに使いどころだ。」
ブゥウウウ……ン!
なんと…あの灰が灰色エネルギーを収束された、強力な灰色の巨大光球へと、姿を変化させていった。
「さあ、《ブラック.エルフニア.ノヴァドラゴン》とやらよ。 あの状態で……コイツをくらったら、一体どうなる…?」
『………』
「うけてみろ!!」
ズゥドォーーッ!
そして、遂に勇者アクナルスが、その掌から造り出した、強力な灰色の巨大光球を、《ブラック.エルフニア.ノヴァドラゴン》の方に向けて、投げつけて発射された。
今回はまだまだ戦闘が続くようなのだが、まだまだ三つ巴戦は終わらない。




