10、第二の街に入る
カーナベルトの町に到着して、まずは情報収集だな。
●【No.010】●
ワシはアーサンティラル王国の第9の都市、カーナベルトの町に入ったのじゃ。
この町もアーラントの町に勝るとも劣らない活気溢れる街であり、人の数も結構多いようじゃのう。
早速だが、前にアリナが言っておった "地獄の洞窟" とやらの場所や詳細な情報を聞く為にギルド冒険商に入っていった。
ほほう、ここも沢山の冒険者がいるのう。
ギルドを仕切っている今度の主人は男性で50代のようじゃ。
ワシはここの主人に話しかけたのじゃ。
「おう、いらっしゃい」
「ちと尋ねるが、この街の近くに "地獄の洞窟" とやらがあると聞いて来たのじゃが、何処にあるのかのう?」
「はぁ!? "地獄の洞窟" だと? アンタ、まさか、あそこに行くつもりなのか!?」
「ふむ、そうだが?」
「おいおい! 冗談はよしてくれよ! あそこはとてもじゃないが、人間が行ける所じゃないんだぜ!」
「何故じゃ? 危険な所なのかの?」
「……この街を出ると北に凄く高くて大きな山があるのを、アンタは知っているか?」
「ああ、街に入る時に見たのう。 なんだが不気味な山じゃったな。」
「あの山は "デルトロハーディスト山脈" と言って、結構凄い難所でな。 腕のたつ冒険者でもなかなか近寄らない遭難必至の山だよ。 その山頂にアンタの言っている "地獄の洞窟" があるんだよ。」
「ほう、そうなのか?」
ほほう、森の次は山かの?
こいつは面白い、このワシの肉体がさらなる究極の肉体へと、進化していく事じゃろう。
「さらに、その "地獄の洞窟" の中には、とんでもない凶悪なモンスターが住処にしているって、噂されているんだよ。」
「凶悪なモンスターじゃと?」
「ああ、これも噂なんだが命からがらで逃げ帰ってきた冒険者たちが、そのモンスターを見たって言うんだよ。」
ほほう、オマケに凶悪なモンスターとはの。
そいつがこのワシよりも強いとよいが、…でないとこの肉体が喜ばないのう。
「だからさ、アンタも行かない方がいいと思うんだがよ。」
「ふむ、忠告ありがとう。 心に留めておこう。」
そう言うとワシはギルド冒険商を出ていったのじゃ。
次にワシが何をなすか、これで決定したのじゃ。
ワシはカーナベルトの町中を散策していて、食料品売場を見つけて中に入ると、食料品と飲料水を買って、ストックを増やしたのじゃ。
今のところは、まだお金に困っておらぬが、出来るだけ安い物だけを買っていたのじゃ。
ちなみに今のワシの姿は上下共に青色の服で、緑色の大きなリュックを背負って、銀製の剣を腰の左側に装備している状態じゃの。
そして、旅の疲れを癒して身体を休める為に2~3日間、宿屋に泊まっていて、山登りの準備をしていた。
ワシはカーナベルトの町を出て、北にある "デルトロハーディスト山脈" の頂上にある "地獄の洞窟" を目指して歩き始めたのじゃ。
山脈に到着すると確かに非常に高くて、しかも不気味な紫色の山であり、山道は螺旋階段のような崖道であり、大人一人が辛うじて通れる程度の道である。
そして、何よりもこの山は非常に気温が低くて、北風が物凄い勢いで吹いていて、並み冒険者では近寄れない雰囲気を醸し出しているようだ。
ワシはその崖道を歩き始めたのじゃ。
崖道を歩きながら山道を登り、しかも異常に低い気温や非常に強い北風に耐えながら歩いていくのは、まさに特訓の一環であろう。
崖道を3~4日は歩き続けていたが、その間に人間と出会っていないようで、やはりここまで来る物好きはいないようだ。
そして、遂にワシは頂上に到着した。
「ふん、全然たいした事はないのう。」
普通の冒険者では相当な難所であり、遭難したであるだろうが、ワシにとっては別にたいした事ではなく、普通の山登りじゃったよ。
山頂には大きな洞窟が情報通りにあった。
確かにこの洞窟も不気味な雰囲気を醸し出しており、何よりも異常に寒い。
「さて、鬼が出るか、邪が出るか? 楽しみじゃな ふふふ、腕がなるのう。」
ワシはまるで子供がハイキングでウキウキと楽しんでいるがごとくの気分で、その洞窟内に入っていったのじゃ。
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次回からは不定期投稿による、不定期更新です。




