09、道中での出来事
目的地に向かう途中で…?
●【No.009】●
ワシは次なる目的地であるアーサンティラル王国の第9の都市、カーナベルトの町に向かって歩いていたのじゃ。
この王国の街から街へ道が繋がっていて、よく舗装されており公共事業と治安維持に関しては、比較的になかなか良く進んでいるのではないかの?
まぁ、他の国にはまだ行った事がないので、断定はできないがの。
ワシが道を歩いている、その間もたいして強いモンスターも出てこずに、人々の往来もスムーズに行っているようじゃ。
まぁ、この間のドラゴンの件は、本当に特殊なケースであろうな。
ワシがしばらく道を歩いていると先の道の方で、人だかりが出来ており道が通れなくなっておった。(場所はアーラントの町とカーナベルトの町との中間の道である)
どうやら何人かが、何かで揉めているようじゃ。
ワシがその人だかりを掻き分けて原因となっている中心に行ってみると、そこに数人の男が見るからにガラの悪い格好をしていて、いかにもチンピラ風情共であり剣や槍を持っていて道を塞いでいたのじゃ。
「おいおい! この道を通りたければ、通行料を払いな!」
なんと、本当にチンピラ共じゃないかの!?
「何? おい! この王国には道を通るのに、通行料なんていらないはずだぞ!」
人だかりの中の一人の男がそう反論していた。
「へっ 国なんざぁ関係ねぇ! ここじゃぁ、俺たちが法律だぜ!」
「な、なんだと!?」
ほほう、こいつは驚いたの!
この世界でも、あんな台詞を吐く輩がいたとはの。
それにしても、やれやれじゃのう、何処の世界にも居るものだの、ああいうの。
さて、このまま野次馬に混じってやり過ごす、という手もあるのだが、あいにくとワシは先を急いでいるのじゃ。
「なんだぁ!? やるっていうのかぁ!?」
チンピラ共がその男と言い争っているうちに、ワシはチンピラ共の目の前に現れたのじゃ。
「あ? なんだ? テメェは?」
「ほれ、そこをどけ! 邪魔じゃよ!」
そう言うとチンピラ共が剣や槍を、ワシの方に向けて構えてきたのじゃ。
…やれやれじゃな…
《山路賊》
ガラの悪い男たちが剣や槍で攻撃してくる。 レベル:35
山路賊の一人がなんの予告もなく、突然ヴァグトーの頭を斬り裂くのに剣を振り下ろした。
ガッキィン!
だが、逆に山路賊の剣の方が折れてしまった。
「……えっ!?」
その山路賊は動揺していた。
無傷のヴァグドーはすかさず、その山路賊の腹部に右拳を喰らわせた。
ズドォッ!
「あぁっ がぁっ」
殴られた山路賊は、ヨダレを垂らしながら、その場に倒れてしまった。
当然だ、ドラゴンをも一撃で倒したこの拳を、人間が耐えられる訳がない。
その現状を見ていたその他の山路賊たちが呆然としていて、ヴァグドーがこの隙に一瞬でその他の山路賊たちに急接近して、ほとんどが一撃で倒されてしまった。
ヴァグドーは山路賊に見事、勝利した。
「おお! やったぞ!」
野次馬たちから歓声や称賛の声を上がった。
「ふっ では通らせてもらうかの!」
ワシは地面に倒れている山路賊たちを退かしながら、先を急ぐ為に再び目的地に向かって道を歩き始めたのじゃ。
そのあと、山路賊たちがどうなったかは、知らない……というよりも興味も関係もないのう。
絶望老人、強し!!!




