121、エルフの災厄:2
※遂にようやく、"ヤツ" が現れたのだが、その正体がとんでもない "ヤツ" だった…!?
●【No.121】●
この『エルフの森里』では、現在…平穏で平和に暮らしていたエルフたちを、突如として、人型の狼モンスター「紅狼公鎧」や「白狼人鎧」が多数侵攻してきた。
戦うすべを持たないエルフたちは、あっという間に、あっさりと全員が捕らえられてしまい、一ヶ所に集められて監視されて自由を奪われた。
「…ち、ちくしょう…」
「…もう駄目だ…」
「…うぅっ、おしまいだ…」
ここのエルフたちは、かなり落胆・絶望しており、最早…諦めていて、既にやる気を失っていた。
なかなか極端な性格の連中であり、自分が凄く不利な状況であっても、自分からはなんとかしないで、すぐに諦めてしまう…困った性格…。
「…ふふふ…」
「はっはっはっ、泣くがいい、叫ぶがいい、わぁーはっはっはぁーーっ!!」
「その通りだぞ。 今のうちに家族や友人や恋人との別れを惜しむんだな。」
「…けっ、つまんねぇ…」
一方で…紅狼公鎧や白狼人鎧たちは、自分たちの戦利品を見事に手に入れて、かなり上機嫌である。
次の瞬間である。
紅狼公鎧の背後で、不気味な気配がして、違和感を感じた紅狼公鎧が、後ろを振り向いて見ると―――
「なんだ…? キサマは…?」
そこには、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体が、宙に浮いていて話しかけてきた。
『…コ…ロ…ス…』
それを聞いた、白狼人鎧たちの背筋が、ゾォーと凍る。
だが…紅狼公鎧だけは、猛々しく大声で、声を荒らげている。
「コロスだと!? 俺たちを殺すと言うのか!? キサマは一体何者なのだ!?」
『…地…』
「ふん! どうやら、そんなに死にたいようだな! おい、お前ら! ビビってないで、さっさとあの野郎を殺せ!」
「お、おう!!」
すると白狼人鎧たちが、剣や槍を構えて、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体の方へ走り出しているのだが、その薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体の方は、全く微動だにしない。
ドドドドドォォ―――
そこで白狼人鎧たちが、剣や槍で一斉に、その薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体に、斬り裂いたり突き刺したりして、怒涛の攻撃をしているのだが、全く通用しないし…効果もない。
ザァン、ザァン、ザァン!
「な…なんだぁ…?」
「コ…コイツゥ…?」
「剣が全く通用しない…?」
「一体どうなっている…?」
『…球…』
「な、何をしているっ!? さっさと攻撃を続けろぉ!!」
目の前の現実に動揺して、動きが止まっている白狼人鎧たちに、紅狼公鎧が攻撃続行を促している。
「はいっ!!」
「っ!!?」
「…はぁ!?」
『…ク…ラ…エ…』
すると今度は、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体が、攻撃してきた白狼人鎧たちに、早急に迎撃・反撃をしており―――
次の瞬間である。
「「「……」」」
突然…攻撃してきた白狼人鎧たちが、無言で白目を剥いて、次々と倒れて気絶していった。
ドサドサッ、ドササッ!
『…神…』
「……うぅっ!?」
「……ひぃっ!?」
「……あぁっ!?」
それを見ていた、捕らわれのエルフたちが、物凄く動揺して、ビックリしている。
「く、くそっ!!」
「この野郎ぉっ!!」
「今度こそぉっ!!」
『…ア…』
この後も残りの白狼人鎧たちが、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体に対して、怒涛の攻撃を仕掛けているのだが、効かないどころかカウンター気味に、その薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体が、白狼人鎧たちに早急に迎撃・反撃をしており、白狼人鎧たちが続々と倒されていき気絶していく。
ドササッ、ドサドサッ!
『…ク…』
「…あが…あが…そんな…バカな…!?」
そして、遂に驚愕している紅狼公鎧一人だけになった。
『…オソウジ…』
ススゥゥ~~~~…
すると今度は、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体が、倒れて気絶している白狼人鎧を、その漆黒の身体で全て吸収してしまい、あっという間に、あっさりと全員の姿が消失してしまった。
『…ナ…』
「な、なにぃっ!? そんなバカなぁっ!?」
『…ツギ…ディ…オワリ…』
「うおおおぉぉーーーっ!!」
そこで紅狼公鎧が、震えながら剣を構えて、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体の方へ走って突進していき、白狼人鎧たち同様に斬り裂いたり突き刺したりして、怒涛の攻撃をしているのだが、全く通用しないし…効果もない。
ザァン、ザァン、ザァン!
『……』
「はぁはぁはぁー…な、何なんだ…コイツは…!?」
ズドッ!
息を切らして疲労している紅狼公鎧に、今度は薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体が、何とも不思議な攻撃をして、紅狼公鎧を倒して気絶させた。
「うがあぁっ!!」
ドサッ!
『…オ…ソウジ…』
ススゥゥ~~~~…
そして、遂に最後の紅狼公鎧をも、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体の、その漆黒の身体に吸収されてしまい、その姿を消失させてしまった。
「……うぅっ!?」
「……ひぃっ!?」
「……あぁっ!?」
それを見ていて、既に解放されたエルフたちが、強烈に動揺して、またビックリしている。
『…ヒ…ヒ…ヒ…』
それを聞いた、エルフたちの背筋が、ゾォーと凍る。
『…ス…』
そのまま、薄気味悪い漆黒の人型の謎の物体…〈地球神アクナディオス〉の姿も、突如として、静かに消失していった。
◎紅狼公鎧に「何者か?」と質問されて、それにしっかりと答えている。
◎そいつは自分を〈地球神アクナディオス〉と名乗っていた?
皆さんには判りましたか?




