08、旅立ちの時
次なる地へ、別れの時。
●【No.008】●
ワシは再び、アーラントの町に来ていた。
旅立つ前に色々と準備をする為に街に来ていて、まずはハーディスから貰った銀製の鎧と盾を売るので質屋に入っていた。
店主に銀製の鎧と盾を見せた。
「あんた、本当にこれを売るのか? 結構、高価なモノだよ。 ……本当にいいのかい?」
「ふむ、構わんよ。 いくらで売れるのじゃ?」
「えー 鎧が25000R、盾が7200Rになりますね?」
「ふむ、それで構わんから売ってくれ」
「はい、判りました。」
これから旅立つのに鎧と盾は邪魔であり、基本的にはもう必要性も感じないので、お金にしたほうがまだ活用できる。
ちなみに剣はそのまま所持していくつもりじゃ。
次に装備品が売っている店に行き、服を新調した。
今度の服は耐熱性・耐寒性に優れたモノを買った。
次は食料品を売っている店に行き、肉や魚や米などの食料品と飲料水を大量に買った。
あとは必要な物があれば、そのつど買っていくつもりじゃ。
ワシは再び、ギルド冒険商に来ていた。
アリナがワシを見つけて声をかけてくれた。
「あっ ヴァグドー様、いらっしゃいませ。」
「ふむ、どうもじゃ」
アリナはワシの身なりを見て、旅に出ると思ったようで、
「旅立たれるのですか?」
「ああ、そうじゃ。 あの森に居てもこれ以上はもう強くはなれん。 これを機に新天地へ旅立つつもりじゃ。」
「……え? まだ強くなるつもりですか? いくらなんでも、それ以上はもう無理なのでは……?」
「ふふふ、まだまだ若いのう。 限界を感じたらそこで成長が止まる… 可能性という言葉はそこから生まれ始まるのじゃ。」
「……そうですか……」
アリナは半分、呆れていた。
「そこでじゃ、冒険者たちが普段、次に何処に旅立つのかを聞いておきたいのじゃ。」
「はい、それでしたら…第9の都市、カーナベルトの町がお勧めですね。 あの街の近くには "地獄の洞窟" と呼ばれる洞窟がありますから、ヴァグドー様にはうってつけだと思いますよ。」
「…ほう…」
アリナはアーサンティラル王国内の地図を取り出して、ワシに行き先を教えてくれた。
「ここが現在地で、ここより東に―――」
「なるほどのう。」
「もしよかったら、この地図を差し上げますよ。 冒険者の皆さんには無料で配布していますので。」
「ほう、そうか」
アリナはワシに地図を手渡した。
「ちなみにですが、第1の都市がアーサンティラル王国の城下町ですよ。」
「ふふふ、ワシがそこまで行けるとは、限らんぞ?」
「いえ、ヴァグドー様なら、なんだか行けそうな気がしましたから……。」
「ふむ、そうかの」
主人がワシに話しかけてきた。
「歳上のアンタに言うのも失礼だが、頑張れよ。」
「ふむ、世話になったの。 二人共」
「まぁ、達者でな」
「どうか、お元気で、ご武運をお祈りします。」
「ふむ、お前さんたちもな。」
ワシはギルド冒険商を出ていった。
ワシはアーラントの町をあとにして、次の目的地であるカーナベルトの町へ向かって歩き始めた。
……新天地を求めて……
アーサンティラル王国の第10の都市、アーラントの町、終了します。




