110、女王デュラルン:1
※新キャラ(大物)が登場します。
●【No.110】●
―アンリールノエロン―
この大都市の中央部にある、お城『ノエロン城』に、我こそは伝説の皇剣【魔羯龍の剣】を手に入れて、自分が勇者になる…と言う冒険者が、今日も挑戦者として沢山やって来ている。 だけど、仮に本当に勇者になったとしても、それは悪魔神トニトリエクルスを打倒する、と言う使命も一緒についてくるとは、ほとんどの者が誰も知らない。 そもそも悪魔神の存在さえも、ごく一部の人間や魔族にしか知らない。 そう、だからこその勇者アドーレなのだ。
大魔王たちも既に、この街から出ていて、魔族の国に戻っており、今回もまた静観して様子を見るつもりらしい。 でも何故、大魔王はここまで勇者や人間たちに敵対しないのか…彼の計画とは、一体何なのか…ある意味、かなり不気味な言動でもある。
一方で街の北側では、"ギルド冒険商" や酒場などの他にも温泉宿があり、沢山の人で賑わっている。 その街中で一際目立つ一団が歩いている。
その一団の先頭には、紺色の腰まで伸びた綺麗な髪に、水色の瞳に、紺色のドレスに黒色のマントを身に付けて、服の上からでもわかる程の大きな胸とお尻に、とても綺麗なお顔のとても美しく若い女性がいる。 その彼女の名前が "デュラルン" と言うのだ。
その後ろには、紺色のメイド服を着ている複数人の女性が、デュラルンのあとをついて歩いていて、そのメイド服の女性の一人が歩きながらデュラルンに話しかけてきた。
「あのー、もうそろそろ宿屋に戻りませんか?」
「あら、もう疲れたの?」
「いいえ、そうではありません。 もしもデュラルン様に何かありましたら、それは凄く大変な事ですからね。」
「あら、そうなの?」
「はい、ですから……!」
「ハイハイ、判りました。 ですが、今夜も温泉には入りますわ。 だから、帰るのは明日」
「……判りました。 では明日には必ず帰国しますからね! 絶対ですよ!」
「ハイハイ、判りました。」
「でも本当に明日こそ、帰国していただけるのですかね? デュラルリダス王国に…?」
「ええ、勿論よ。 無理やりにでも、連れて帰ります! デュラルリダス王国に…!」
「はぁー、そうですか」
その女性の一団が街中の奥の方で姿が消えていった。
その日の夜、夜空に月(?)が丸く光っている。
街の北側にある温泉宿の中にある混浴露天風呂に、先程のデュラルンと、その周囲には、先程のメイド服を着ていた四人のお付きの女性がいて、全裸で入浴している。
その五人はしゃがんで、気持ち良さそうに肩まで浸かっている。
やっぱりデュラルンの裸は、他の四人と比較してみても、凄く透き通った綺麗な美肌に、とても綺麗なピンク色の先端部分がついた、たわわと実った凄く大きな膨らみのあるふたつのモノが、お湯にぷかぷかと浮いていて、エロい。
「ふふふ、月夜に入る温泉もまた格別よね♪」
「明日の午前中には、この街を発ちますからね。 いいですか、デュラルン様?」
「ハイハイ、判りました。 ベルロ、あなたにすべてお任せしますわ♪」
ベルロとは、メイド服を着ているデュラルンのお付きの女性の中では、一番偉いリーダー格であり、茶色い長髪に褐色の肌の若い女性である。
「ではそのように致します。」
「いやぁー、それにしても、とてもいいお湯ですわー♪」
しばらくの間…デュラルンたちが、気持ち良く温泉を楽しんでいると、反対側の方から誰かが、この混浴露天風呂に入浴してきた。
「っ!!?」
それを見ていた、デュラルンは静かに落ち着いているが、ベルロたちお付きの女性の方は、しゃがんだまま、とっさに身構えている。
「……誰だっ!?」
よく見ると、その者とは白髪に白眼に、よく鍛えられて沢山の傷がある肉体に、見た目は若そうな "普通の身体" をした全裸の男である。
「……男!?」
「う、嘘っ!? こんな夜遅くに…っ!?」
すると突然、しゃがんで肩までお湯に浸かっている、その男が語りだした。
「今宵もいい月だね…確かに月夜も格別だよ。」
「おい、お前は誰だ…と聞いている…?」
ベルロが高圧的な態度で、その男に質問していると、横からデュラルンが、まるで恋する乙女のような輝く瞳で質問してきた。
「ま、まさか…あなた様が…あの『ヴァグドー様』なのですかぁっ!?」
「残念だが違う。 俺は『ワールドエルフ天蝎』だよ。」
「えぇっ!!?」
デュラルンたちが、その男の『ワールドエルフ天蝎』と言う言葉に、ひどく驚愕している。
「あ、あなたが…噂の『ワールドエルフ天蝎』なの!?」
「ま、まさか…『ワールドエルフ天蝎』が…こんな所まで…っ!?」
「ふふふ、ここは混浴…男の俺が入っても、何も問題がないはずだよ。」
「いえ、別にそういう訳では―――」
「でもまさか…『ワールドエルフ天蝎』も…温泉に入るとは…っ!?」
「俺は世界中の各地を旅している『ワールドエルフ天蝎』だよ。 旅の疲れを癒すために、温泉ぐらいは入るさ。 あなたのようにね、デュラルリダス王国のデュラルン女王陛下。」
「っ!!?」
「やっぱり…私のことも知っていましたか。」
「まぁ勿論だよ。 でもあなたが明日この街を発つようで、非常に残念だよ。」
「…何が残念なのですか?」
「あなたの愛しいヴァグドーが勇者アドーレたちを伴って、もうまもなく、この街に到着するというのにね。」
「……ええぇっ!!?」
デュラルンが大声で、今夜一番の驚愕をしている。
※デュラルン女王様は何故ヴァグドーのことを知っているのか…!?




