107、大魔王たる者のユエン:1
※主人公と大魔王エリュドルスの奇蹟と夢のコラボは必見です。
●【No.107】●
大魔王エリュドルス!
「さぁー、行くぞ!!」
猛然とオブリルスの方に向かって素早く急接近している。
《オブリルス》
褐色の肌に屈強な大柄の男で上位魔族である。 レベル:260
「ひぃっ、大魔王様…!?」
大魔王が右手の掌をオブリルスの胸に当てており、危険を察知したオブリルスが慌てて上空に跳んで回避するのだが…。
「な、なにっ!?」
「……くらえ!!」
いつの間にか、ヴァグドーがオブリルスの頭上まで跳んでおり、右拳で素早くオブリルスの後頭部を鉄拳強打!
ズドォン!
「ぐはぁっ!?」
「愚かめが!!」
さらに大魔王が落下してくるオブリルスの腹部に、素早く右肘を鉄肘強打!
ズドォン!
「うごぉっ!?」
「……ちぃっ!!」
続けて、すぐさま大魔王が右足でオブリルスの左頬(アゴ寄り)を蹴り飛ばす。
バァキィッ!
「ぐぶぅっ!?」
「とどめじゃぁ!!」
オブリルスが蹴り飛ばされた先には、またしてもいつの間にか、ヴァグドーが待ち構えており、左拳で素早くオブリルスの右頬(アゴ寄り)を鉄拳強打!
バァギィッ!
「…うぅ…」
「ふふふ、やはり余のもとに戻ってきたか。」
なんとオブリルスは、この時点で既に意識がなく、再び大魔王の所まで飛ばされてしまい、大魔王がオブリルスの首筋をガシッと右手でワシ掴み、そのまま持ち上げている。
「…あ…あ…あ…」
この一連の動作、ヴァグドーと大魔王のあまりの物凄い速度に、デイラルスは最早、彼らの動きを見る事さえ出来ずに、ただただ唖然としていて絶句している。
本来ならば、このオブリルスと言う上位魔族も、相当な実力の持ち主であり、大抵の相手にそう容易く負けるはずがないのだが、今回の相手は最強のヴァグドーと大魔王エリュドルスの二人なので、最早…勝負にすらならず…赤子も同然なのだ。
オブリルスは既に気絶しているけど、それでもあえて大魔王が言った。
「ふん、わかったか! 貴様ごときにヴァグドーや勇者アドーレの相手がつとまるか! まったく! 余に余計な仕事を増やしおって! バカめが!」
「……殺さんのか?」
「ああ、城に連れ帰ってから、もっときついお仕置きをせねば、余の気がすまぬ。」
「それにしても、お前さんの部下たちは、お前さんをよく裏切るのう。」
「ふふふ、こいつらはな、余の "真" と "信" を司る本当の部下共ではないからな。」
「ほーう、それでは本当の部下たちは他にいるのか? お前さんの自慢の実力組織が…?」
「おう、その通りだな。」
「そう言えば、魔族と言うモノは、それぞれ階級や爵位によって決まっておるのう。」
「ふふふ、魔族に少し興味あるのか? 確かに魔族には階級や爵位があるがな。」
大魔王エリュドルスの説明では、魔族・魔物の階級・爵位とは次のようになる。
階級 爵位 役職
①最高位(Sクラス)…大魔王
②上位 (Aクラス)…大魔王の親衛騎士団隊
③高級 (Bクラス)…幹部魔族、理事長、戦闘員総隊長
④中級 (Cクラス)…名門魔族、理事/幹事長、ボス級モンスター
⑤低級 (Dクラス)…一般魔族、幹事、戦闘員部隊長、狂暴/凶悪モンスター
⑥最下位(Eクラス)…クズ魔族、使用人、通常戦闘員、通常モンスター
なかなかしっかりとした階級・爵位制度であり、魔族の世界ではある意味…人間の世界よりも進んでいるのではないのか? しかも、大魔王もこの人間の世界に平然と居るようだし…な。
「まぁー、高級魔族…Bクラスまで上がれば、上出来であろうな。 そして、皆がそのように頑張っておる。」
「ほーう、それは素晴らしいことだのう。 向上心はとても良いことじゃな。」
「余にも質問させてもらおうか。 そなたたちはこれから伝説の皇剣【磨羯龍の剣】を手に入れるつもりなのか…?」
「おう、無論そのつもりじゃが、それが何か!?」
「そうか、なるほど…な」
「…?」
「……やはり手に入れるのか。 まぁー、当然であろうな。 勇者アドーレの実力ならば、さして問題なかろうしな。 これで余の計画通りだな…。」
「……」
「いや、このまま…うまく行けば、仮に封印が解除されて復活したとしても…いけるか…?」
すると、そこで大魔王が少し考え込むのだが―――
「まぁー、よいよい。 デイラルスよ! いつまでもそこで突っ立ってないで、我々もそろそろ撤収するぞ!」
「…は、はい…! た、ただちに…!」
「ん? もう行くのか? 大魔王エリュドルスよ。」
「ふふふ、生憎と余も忙しい身でな。 では邪魔したな、ヴァグドーよ。」
「…ど、どうも…です…」
「おう、さらばじゃ!」
そう言うと、大魔王はそのまま気絶しているオブリルスの首筋を持ったまま、デイラルスを引き連れて、森の奥深くまで立ち去って姿を消していき、ヴァグドーがそれを見送った。
※魔族の世界の仕組みを少しだけ紹介しました。
※「スーパーダブルコンビネーション」
大魔王と主人公の協力連続攻撃で、とても強力だけど通常攻撃である。




