07、残念、納得できず
…一体何が不満なのか?
絶望老人よ!
●【No.007】●
ワシは自分のカードを《フルパワーステータスカード》の上に置いた。
…ピッピッピーッ!
おっ 今度は測定できた様じゃな。
ワシのステータスが表示された。
●・●・●
ヴァグドー: 旅人
レベル : 500
耐久力 :4500
魔法力 : 0
――――――――――
攻撃力 :2450
守備力 :2450
機動力 :2700
叡知力 :1350
幸運力 :1850
――――――――――
絶望力 : 100
能力 :【ストリンガー・デスロック】【肉体固定】
●・●・●
「なんじゃ? 旅人って?」
あとで知った事だが、この世界ではどの職業にも就いていないと "旅人" と表示される。
要はニート扱いなのだ。
「えええぇぇーーーっ!!!」
主人とアリナはワシのステータスを見て、大変動揺してギルド内が響くほどの絶叫をしていた。
「そ、そんなバカな!!? レ、レベル500!!?」
「あわわわわ、ど、どうしましょう!? 神様 お母様!!」
二人共に凄く取り乱している様子をよそに、ヴァグドーは少し納得がいかない表情をしていた。
…なんじゃ、まだたったの500程度なのか?
あんなに頑張ってきたのに…この体たらくでは、なんとも不甲斐ない…。
あの程度では、まだ足りないのか…?
「…ふむ…」
「あんた! 本当に凄いな!! レベル500なんて、今まで見たこともないぞ!!」
「私、こんなステータス、生まれて初めて見ました!! 限界を超えるとこんな数値になるのですね!?」
「…ふむ、そうだな…」
「あっ そうです! ヴァグドー様!」
アリナは何かを思い出したのか、ワシに話しかけてきた。
「…なんじゃ?」
「はい、ヴァグドー様は今回、巨紅龍を倒しましたよね? その報酬金が出ています。」
「…報酬金…?」
「ヴァグドー様は先程、ギルドに登録されましたので、あの様な凶悪なモンスターを倒すと報酬金が出るのです。」
「…ほう…」
アリナはこの国の紙幣(札束)のお金を持ってきた。
このアーサンティラル王国のお金は黄緑色の紙幣で単位はRであり、貨幣価値はだいたい日本円の10円が1Rとなっていて、通貨は全て紙幣で統一されており硬貨はない。
「巨紅龍討伐料金は360000Rになります。」
「ふむ」
ワシはお金を受け取った。
別にお金が欲しくて倒した訳ではないのだが、やはりお金はこの先、必要であろうからの。
「色々な凶悪モンスターを倒していくと、その凶暴度に応じて報酬料金も変わっていきます。 詳しくはこちらを参考にして下さい。」
アリナはワシに凶悪モンスターの情報や料金が書かれた本(パンフレット?)を手渡した。
「ふむ、わかったよ」
ワシはギルド冒険商を出ていきアーラントの町も出ると、ワシが住んでいる地獄の森に戻っていった。
ワシは小屋の中にいてベッドに座っていた。
「さて、これからどうするかの。 もうここに居てもこれ以上は強くはなれないだろうな。 全てやり尽くしてしまったからのう。」
ワシは悩んでいた。
もうこの森では、これ以上のレベルアップは望めないと思われる。
99年間、頑張ってもレベル500程度までであれば、これ以上は時間と労力の無駄である。
ワシはこれを機に本拠地の移動も検討を始めていて、この森を離れる事も考えていた。
そうなってくると問題は引っ越し先を何処にするか? …である。
まぁ、大抵の場所に住める事はこの身で既に実証されているから問題はない。
ギルド冒険者として利用すれば、何処かの街の宿屋にでも泊まれるだろう。
…むっ そういえば職業をどうするかも、まだ決めておらんな。
…やれやれ…
さて、どうするかのう。
だが……それでも―――
『基礎特訓』
『ある特殊な能力・闘気を操作・制御する』
『様々な必殺技を編み出す』
―――は、これからも継続する。
絶望老人の旅立ちの予感?