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ロリジジィは去年世界を救いました  作者: タイロン
序章
4/5

第3話 ジジィとお泊まり

久方ぶりのこちらでの投稿。

 「ほれ、まずは風呂でも入ってこんか。汗とか泥とかで汚いからの。サッパリした方が良いじゃろうて」


 私たちは、あの『勇者』エーミールこと、エミィの家にお邪魔することになった。私たち、というのは私、ルイスと連れのヘタレ・・・ではなく、アストラだ。

 ここでふと気付いたのが、地味にアストラ1人しか男性がいないということだ。彼は少なくとも表向き理性的な人物なので心配は無いと思うが、先の戦闘でそのまさかな一面を発掘してしまった事を考えると少しだけ心配になる。まぁ、エミィが一緒なので滅多なこともないとは思うけれど。


 そういうわけで、半ば強制的に勇者様との夜を過ごすこととなったのだが、そこでの最初のイベントはどうやらお風呂のようだった。それもそうか、と私は思った。落ち着いて見てみれば私もアストラも結構汚れてしまっている。臭いもなかなかで、なるほど確かに早く温かいお湯に浸かってキレイサッパリ、リフレッシュしたいところだ。


 「それでは、お言葉に甘えてお風呂お借りしますね」


 「うむ!だんだん聞き分けが良くなってきたのう。儂、嬉しい」


 可愛らしく微笑むエミィに、思わずキュンとしてしまう。女である私でもこう簡単に陥落させる愛らしさは、さすが勇者様といった感じだ。何がさすがなのか良く分からないけれど。とりあえず何でも凄いのが勇者という人物、というのが私のイメージだ。


 「あ、アストラさんはもうちょっと待っててくださいね、分かってると思いますけど。まぁ、早めに上がるんであまりお待たせはしないつもりですが」


 「あぁ、もちろん分かっているとも。それに、そこまで急かすつもりもないさ。せっかくのご厚意なんだ、心ゆくままに寛がせてもらうと良いよ」


 爽やかイケメン台詞乙、と言いかけて私は口を押さえる。アストラが何か言うたびに、目の前の爽やかな青年と魔物に襲われて頭を抱えて蹲るヘタレが対比されて仕方がない。

 いや、私も本当は彼が普通にいい人だっていうことは分かっているつもりだ。事実、彼と出会ってから彼の言動に助けられたことも・・・・・・


 「あれ、無くないです?」


 別に孤独で寂しくなかったわけでもないが、道中声をかけてくれた程度のことで救われたと感じるようなメンタルコンディションでもなかったし、それにそもそも王都に着けば遅かれ早かれたくさんの人たちと出会うことになったわけで。

 そうして、私の中でのアストラの価値は、本人に悟られることなくさらに下がった。


          ●


 「あー、気持ちいいー!そういえばシャワー浴びるのも3日前の雨以来だよー」


 久方ぶりのシャワーを浴びる私は、その温もりに思わず感嘆の吐息を漏らす。最後に体を流したのは3日前に降ったちょっと強い雨と、たまたま貰っていた石鹸を使いこなした時だった。夜にこっそり人目が無いのを確認して、平原の真ん中で素っ裸になったのは今思うとゾッとする。

 それにしても、ここに来てすぐに感じたことがあったのだが、


 「エミィのお家って、意外と普通・・・?王都基準とは言え、その中で見れば結構庶民派なような気がするなぁ。立地も立地だし」


 エミィの家は、端的に言って超普通だった。収入とかもそこらで店をやっている人たちと変わらないのではないだろうか、と思わせるような2階建ての小さな一軒家。お風呂も、普通。安めの宿屋とかで使った物と同じくらいの設備だった。


 「そりゃあそうじゃろうて」


 「わひゃあ!?」


 唐突にひとりごとに返事が返ってきて、私は心臓が止まった。もちろん比喩だが。でもさっきは割と本当に比喩抜きで心臓が止まるところだったことを考えるとゾッとする。さっきからゾッとしてばっかりの私にも、ゾッとする。


 声のした方を見やると、真っ白な湯気に紛れてしまいそうな白い髪が揺れていた。私はすぐに、しゃべり口調や声、その綺麗な白髪から、その声の主がエミィだと分かった。いつの間に入ってきたのか分からなかった。さすが勇者様。いや、何がさすがなのか分からないが。ともすれば泥棒にも応用できるし、これがエミィの技術で良かった。


 「もう、エミィったら。びっくりさせないでくださいよ」


 「うへへ、すまんのう、ルイス」


 そう言って、エミィは軽く背伸びをした。背伸びをしても私の肩の高さに、上に伸ばした手の先がやっと届くくらいの身長。私は未だにこんなに小さな女の子が世界を救ったというのが信じがたかった。しかし、見せつけられたあの実力は本物だ。そう思えば、やはり彼女は生ける伝説、『勇者』だったのだと、確信せざるを得なかった。


 ていうか、「うへへ」って。変な笑い方をするエミィに私は苦笑した。可愛らしいエミィがやるからそう見えるだけで、歳もいいところのおじさまにやらせたらその場で騎士団を呼んで職質するところだ。・・・そういえば私がその騎士団なのだが。いや、それもまだ希望なだけで、正式に入団ではないのだけれど。


 私は一通り体を洗って、浴槽に浸かった。いい香りがする。木の香りだ。浴槽が『フィノキィ』の木で出来ていたようだ。独特の芳醇な香りが優しく鼻の奥まで伝わってくる。お湯に溶かした入浴剤も『フィノキィ』の香りに良く合っていて、気持ちから体まで疲れがスゥッと消えていくのが分かる。

 私と入れ替わりに椅子に座ってシャワーを手に取るエミィを、私はまじまじと見つめてみた。霧のように儚くて美しい白髪、雪のような白い肌、深い紺碧の瞳。ここまでは今までも見てきたところ。何度見ても飽きないけれど。

 さて、さらに詳しく見ていく。ちょっとイヤラシイことでもしている気がしなくもないのだが、まぁきっとエミィなら笑って許してくれる。柔らかそうなほっぺたは、温まって紅潮している。円らな瞳を包む瞼からは、ツンと長い睫毛が生えている。睫毛は黒だったが、眉毛はちゃんと白だ。案外、子供体型の割にお湯に濡れて大人っぽい色気があるのは、きっと勇者様だからだろう。なんだか、「なんでも勇者様だから」で通用しそうなのが恐いけれど。

 少し視線を下に落としていく。子供らしい短い首。整った鎖骨。薄っぺらな胸。まだ幼いから当然か。成長が楽しみだ。そしてさらに下へ。滑らかな柔肌を目で追い下ると、小さなおへそがチョコンと付いていて、当たり前なのになぜか愛らしい。寸胴体型なりに微妙な腰のくびれが微笑ましい。


 「それにしても、エミィの体って綺麗ですね」


 「ん?そうかの、自分では良く分からんが」


 「そうですよ。ほら、歴戦の猛者ーって感じの方々って総じて体中に傷があるイメージが」


 「あー、まぁ確かに言われてみればそうじゃな。セイゲルとかルビーは腹なり背中なり、剣で切られた痕とか矢が刺さった痕とか、まぁすごかったの」


 「へ、へー・・・」


 エミィにそんな傷がなくて良かったと本気で安堵した。傷物幼女とか、痛々しくて私は手放しにかっこいいと褒めることが出来ない気がする。

 と、そんな会話をしながら私はさらにエミィの体を目で舐め回す。背中にも目を向ければ、やはり傷もなくて安心する。おなか周りはプニプニしていたので気が付かなかったが、背中を見れば良く分かる。なるほど、しっかりした体幹だった。綺麗に背中の中心を通る筋はくっきりと。やはり基礎的な肉体作りは一般人も勇者も変わらないということか。

 そして、さらに下へ。


 「うへへ・・・」


 「ルイス」


 「うへへ・・・」


 「ルーイースー」


 「あひゃい!?」


 「さっきからジロジロと、なんだかヤラシイ目つきじゃのう。見るのは良いが、ちとばかしエロいぞ?」


 おっといけない。私自身、自分にこんな趣味が眠っていたことに気付かなかった。まさか同性の、しかも小さな少女の裸をチャンスとばかりに視姦するとは。これが世に言う『ユリ』、とか言うやつなのだろうか。そういうのには疎いので、あまり深く切り込んだワードには詳しくないのだが、確かそんな感じのがあった気がする。あれ、違かったか?『レズ』?『ホモ』?あー、やっぱり良く分からない。聞きかじりの言葉は頭の中で反芻するだけでも疲れる。

 私は誤魔化し気味に謝って、しかしなおエミィを視姦することにした。今度は少しばかり見方に気を付けながら。

 プリッとしたお尻。椅子に座るエミィの体重を受けて柔らかく変形したお尻。ちょっと触ってみたい。何を考えているんだろう、私は。やっぱり変態なのかもしれない。認めたくないけれど。

 認めなくはないけれど・・・・・・目は正直で、視線はまた照準を動かしてしまう。今度は尻から高さを変えずに、エミィの体の全面へ。あぁ、イケナイっ!これ以上は何かの規制に引っかかるっ!でも、止められないっ!何かの魔力だ、これは。もう止まらない止まれない。


 「ちらっ・・・」


 せめてもの抵抗か、控えめに視線だけをエミィの股間部に向けた私の目に飛び込んできたモノはーーー


 「・・・」


 「ん?どうした、ルイス?」


 「ピギャァァァァァアァァァァ!?あっ・・・ごぼっ!?ぼぼごぼ・・・」


 女性にはないはずの、突起物だった。

 私は予想を遥かに超えた緊急事態に、風呂の中でひっくり返った。お湯が私の中に入ってきて、なんかヤバイ。でも今見たモノの方が、なんかヤバかった気がする。

 ひっくり返った勢いのまま、私はさらに半回転して元の体勢に戻る。それから、もう一度あのイチモツを眺めるワケなのだが、気のせいではない、やっぱり付いている。おかしい。エミィは見た目で分かるとおり幼女だ。9歳くらいの女の子だ。だというのに、え?いやいや、実はあれは悪戯用の玩具で、私をびっくりさせるためだけの物かもしれない。


 私の意図に気が付いたのか、エミィは自分のソレを軽く引っ張って見せた。


 取れない。


 いや、当然だけれども。取れたら取れたで困るけれども。

 かくしてソレが本物であることが証明されたワケなのだが、q.e.d.しちゃったワケなのだが、ならあれはなんだ?

 

 「はっ、そうか!?例の『勇者様だから』現象ですね!?」


 「いや、何が言いたいのか分からんが、分かった。さっきから言う機会が無かったが」


 ダメだ、そこから先を聞いてしまったらもうオワリな気がする。全ての英雄譚は廃れて、彼女(・・)に憧れた全ての人々が裏切られ、そしてこの状況がなかなかアレなことになる気がする。まだ私は物心ついてから異性とお風呂に入ったこともないのに。

 思わず、耳を塞ぐ。しかし、エミィの口が止まることはなかった。

 もういいや。言ってしまえ。自分は男なのだと。いいさ、少年でも私は愛してみせるっーーーーー!!


 「儂は、ジジィじゃよ?」


 その一言は、全てを超えて世界を駆け抜けて、私の脳髄すら突き抜けて虚空へと霧散した。

 暫しの呆然。呆然して呆然。止めどなく呆然。

 予想を斜め上に駆け上がり続けるエミィの発言。私の脳みそで山登りでもしているのだろうか。


 「ルイス」


 「・・・はい?」


 「おっぱいとかお尻とか、色々ご馳走様じゃな」


 「わああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 その後のことは良く覚えていない。ただ、ギリギリ裸で家の外に飛び出しそうになったのをアストラに引き留められて、着替えながら裸を見た彼を殴り倒した気がした。そういえば、彼を殴る前からめっちゃ拳がヒリヒリしていた気がする。もしかしたら・・・

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