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 八月二十九日。午後十一時。

 今日あったことを、ワタシはベッドの上で思い返す。すぐ隣の、彼の顔を見ながら。

 実結に、去り際、ワタシはこう訊ねた。


『もしそれが本当だったとしたら、どうして彼は、ワタシにそれを黙ってたんだろう。言ってくれた方が、ワタシも疑ったりなんてしなかったのに』

 実結は微笑んだ。

 きらきらな、幼さと力強さを、その小さな顔に携えて。

『それはもちろん――』


「心配させたくなかったんだ。麻衣のことが、大好きだから」

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