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俺の友達の話シリーズ

カタン

作者: 尚文産商堂

その音に気付いたのは、誰もいなかったからだろう。

それほど些細な音だった。

カタン、というおとだ。

郵便受けに新聞が投げ込まれるような音がしたとおもったら、すぐにやんだ。

反響も何もない、まるで水に飲み込まれるかのような感じだ。

一人暮しをして半年。

そんな音を、実は初めて聞いた。

だから好奇心から覗いてみようと思ったのだ。


家はアパート、8畳ほどのリビングにキッチン、トイレ、風呂がある。

ちなみにベランダも小さいながらもある。

外をのぞくと誰もいない。

というよりも人の気配がない。

隣人はいるはずだ。

重度のゲームオタクで、四六時中さわいでいる。

そういえば、その音も聞こえない。

カタン。また音が聞こえた。

どこから聞こえてくるのか耳を澄ます。

カタン。階段だ。

まるで鉄でできた階段を上がってくるという感じの足音だ。

カタン。カタン。徐々に速くなる。

その瞬間気付いた。

これは覗いてはいけないものだと。

幸いにもまだ外には出ていない。

玄関のノブに手を駆ける直前だ。

だから慌てて引っ込めて部屋の真ん中にこもる。

塩をまき散らし、お祓いをする。

カタタン、カタタタタン。

そして、足音はピタリと家の前で止まった。


朝、全く眠れないままに日の光を浴びている。

隣からのゲームの音も、気付けば聞こえるようになった。

外では雀の声が聞こえる。

おそるおそる外を見ると、濡れた跡が道路から家の前まで来ていた。

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