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新王宮騎士団  作者: まめ
新しく王宮騎士団
17/19

王宮騎士団17(リンが事件を解く)

慌てたのは、ヒジリだった。

「これはまだ使う資料だからダメ」

リンから奪うと、それをテーブルの上に置いた。

「今ので分かったでしょう。私が問答無用に捨てるって。だから、分けて」

「ハイ」

ヒジリはシズシズ、リンの言葉に従うのだった。

でも、その資料以外は全部ゴミ行きだった。

そして、午後には綺麗になった部屋のお目見えとなった。

「おお~、床が見える。何年ぶりだ?」

ヒジリは目をキラキラさせて言う。

一つだけ、リンはヒジリが取っておいた、さっきの資料が気になった。

だから、リンは聞いた。

「何の資料なの、それ?」

「これか? これはお前はまだ生まれてないな。今から、十年ぐらい前に起きた、年齢も職業も性別もバラバラの人間が殺されるという事件があったんだ」

「そんなバラバラで、何で逆に同一犯だと、ヒジリ達は思ったの?」

「その犯人には、被害者に対して同じ共通項(キョウツウコウ)があったんだ?」

「それは何?」

「まるで、神に捧げるように、遺体の回りには、他の供物が添えられてたんだ」

「何でヒジリは未だにそんな事件追ってるの?」

「その当時、俺の上司だった人が、そいつの第四の被害者になった」

「殺されちゃったの?」

「ああ、子供が生まれた日にな」

「そんな」

「だから、犯人捕まえて、奥さんのところへ報告に行きたいんだけど、さっぱり分からねぇ。お前は何か気付かねぇか? 案外事件に無知な者の方が意外な事件の真相に近付くかもな」

「う~ん、犯行が合ってから、見付かるまでどんどん時間早くなってないって、犯人特定と何の関係もないかもしれないけどさ」

「それは、俺も思った。たぶん、犯人は見付からないことで、気が大きくなって行ったと俺は思う」

「あと、気のせいかもしれないけど」

「何だ?」

「亡くなっている人、みんな神様に関係ある場所で、亡くなってるね」

ヒジリは感心したように、リンを見る。

「意外だな、お前。意外と信仰心あついんだな。なかなか俺そっちには疎くてな。って、ちょっと待てよ」

ヒジリは町の地図を引き出しから出すと、さらにその事件の資料と、にらめっこする。

「そうだったんだ」

ヒジリが言うと、リンはブスッとしたまま、答える。

「何がよ?」

ヒジリはそれに笑うと、

「ごめん、ごめん。言いか? 第一の被害者の発見場所はここだ」

と言って数字を書く。

「で、第二の人はここ」

と、言って地図に数字を書いて行く。

これまでの事件を全部書き起こす。

「やはりな」

ヒジリはにんまりと笑う。

リンはブスッとしている。

「悪い悪い。ちょっとこっち来い。良いか」

リンを抱き寄せると、自分の膝にリンを乗っけて、ヒジリは数字を書いた地図の前で、説明を始める。

「第一の被害者はここで亡くなっている」

リンはそれに頷く。

「で、第二の被害者はここだ」

「うん」

リンは頷くと、ヒジリは説明を続けた。

「で、第三、第四と続くわけだ」

「全部違うのね」

「そう一見何の繋がりもなさそうに見え、そこが、騎士団員を惑わせるきっかけになった。でも、繋がりはあったんだ」

「どういうこと?」

「良いか、こうやって全部を印付けて、近くにある協会を見る」

「全部、アーチェアー協会だね」

「俺はあまりこういうことに詳しくないが、司教様は協会を巡回するものじゃないか?」

「するね。ということは、犯人は司教様ってこと?」

「分からんが、追っかけとかはいないのか?」

「司教の追っかけか? あんま、聞かないな」

「そうか。そうだよな、協会だもんな。そう言った奴等は、叩き出されそうだもんな。そう考えると、司教が一番怪しいな。この時の司教さんは?」

「全部同じ人?」

「ああ、凄い慕われている司教だったって」

「知ってるの?」

「俺は知らん。でも、確か違う隊の者が話を聞きに言ってたなぁ」

「それどの隊?」

「えっと、7番隊だ」

「その人と殺された人は仲良くなかった」

「友達だと聞いたことがある」

「じゃあ、その人に斬りかかられたら、油断してるんじゃない?」

「これはそうでも、他は違うだろう」

「犯人が違うとしたら?」

リンは何でもないことのように言う。

それに、ヒジリは驚いたように聞く。

「つまり、どういうことだ?」

「つまりは、司教様にお布施として人の命を捧げよとか言われたら、信者さん達はどうするのかな?」

「たぶん、捧げるな。そうか、毎回犯人が違う以上、犯人を特定するのは無理ってわけか?」

「でも、場所は分かってるんでしょ? だったら、帝国騎士団員の手を借りれば。そうすれば、7番隊の人にも気付かれずにすむしね」

「そうだな。でも、やはり流石だな」

「ご褒美上げたくなるよね」

目を瞑って、口をつき出す。ヒジリは苦笑いしながら、チュッとすると、ヒジリが口を離そうとした時、リンはヒジリに舌を付きだしてきた。ヒジリは驚いてしまう。だが、ヒジリも立ち直りが早く、その舌を絡めとる。絡めとると、リンはビックリしたように固まった。

ヒジリは笑って、すぐに口を離すと、

「大人をからかうのは、まだ早い」

「ごめんなさい。だって、気持ち良いって聞いたから?」

「誰から?」

「アオちゃんから」

「アオちゃんって誰?」

「前の家の7つ上のお姉ちゃん。凄い物知りなんだよ」

それを聞き、ヒジリは頭を掻く。

「たち悪いな。で、どうだった?」

「自分でやったけど、ビックリしてなんか良く分かんなかった」

リンが正直な感想を言う。

「だろうな。お前にはまだ早い。もう少ししたらな。今はこれだけで、我慢しろ」

そう言って、ヒジリはフレンチキスをする。

そうしたら、リンはやはりこっちの方が嬉しそうだった。

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