王宮騎士団14(ヒジリにクロウドの正体を言う)
さて、クロウドをどうやって立たせようか? 王はいるし、難しいよな。ヒジリは騎士団の部屋で頭を悩ませていた。
そこにジェイが来る。
「隊長が出された問題たぶん解けました。って違いますね。先に僕が隊長に質問したんでしたね。隊長はもうお忘れかもしれませんが、以前、僕がクロウドの素性について聞いたことを覚えてますか? その時、自分で解くように言われました」
「ああ、あれか?」
ヒジリは思い出したように頷く。
「で、どう読み解いた?」
「クロウドは王太子ですね。しかも、現在行方不明となっている第三王子ですね」
ヒジリはそれにビックリする。
「なぜ、そう思う?」
「始め隊長が私にばかり、仕事を押し付けるのは、それだけ私が無能だと言うことだと思った。でも、隊長なら自分の視界に入らないように、すれば良いだけ。現に隊長はそうしてますもんね。と、考えた時、一つの仮説に行き当たりました」
「ほぅ、どんな?」
面白そうに、ヒジリは笑う。
「クロウドに仕事を押し付けないのは、隊長でも仕事を押し付けられない相手だからでしょう? つまり、立場が隊長よりも上と言うこと」
ヒジリは感心したように、口笛を吹く。
「でもただ、無能なだけじゃないのか?」
「無能なわけ有りません。私が常に目標としている人ですよ。それをいくら隊長と言えど、無能呼ばわりは許しません」
「怖いね。でも、クロウドの評価高すぎないか?」
「いえ、全然。で、どうですか?」
「お前はこの問いに答えなど求めてはいまい」
ジェイは「はい」と答えた。ヒジリはそれに笑う。
「じゃあ、次の問いだ。今度は難しいぞ」
「何ですか?」
「クロウドが王子としてやりたいこととは?」
「漠然としてますね」
「そうか? そうだろうな。でも、お前なら答えられるかもしれない。あっ、クロウドにも『お前の立場分かったぞ』と言ってやれ。あいつ喜ぶぞ。でも、これでクロウドが金を自由に出来た理由も分かったな」
「そうですね。でも、これは国民のお金」
「だから、これから国民に返して行かなきゃな」
ジェイはその言葉に頷く。
「はい」
ヒジリはジェイの後ろに視線を投げて言う。
「クロウドに言ってやれ、あいつ喜ぶぞ」
「はい。では、失礼します」
そう言って、ジェイが出ていくと、隣の部屋からセイガーが来る。
「何の用だ?」
「彼は良い子だね」
「ああ、そうだろう。クルーナにこれは感謝だな」
「クルーナ皇太子に何て、命令を」
「自分の味方になる奴を見つけて来いだったかな? さらに、試験に一位で突破できる奴を。そうしたら、その子と一緒に俺が引っ張ってやるだったかな?」
「で、約束通り引っ張ったわけだ」
「そう言うこと。あいつが頑張ったんだ。俺も頑張らなきゃダメだろう?」
「そうかもな」
「で、これからどうするつもりだ?」
「どうしようかね。俺にもこれはどうするべきか分からない」
「で、これからどうするつもりだ?」
「どうしようかね? 考えがないわけじゃない。たが、それをやるってことはケントの人間性をまるきり無視することになる」
それを聞いて、セイガーの方眉が上がる。
「お前、何を考えている?」
「さぁな」
軽く返事をする。
「ただ、俺の依頼者はクロウドだ。俺はクロウドを第一に考える。だから、ケントはザキとお前で守ってくれ。頼む」
そう言って頭を下げる。
「お前が俺に頭を下げるなんて初めてじゃないか?」
「そうかもな。本当に初めてだからな」
ヒジリはそう言って笑う。
「でも、クロウドが民に国を返したいと言うのなら、俺は命の限り応援する。俺がかつて、出来なかったことだから」
「お前、ルーシュの王子だと言ったな。つまり、お前が滅ぼしたいのは、この国じゃないのか? かつて、この国も血なまぐさいことをやった、歴史がある」
「そうだな。でも、今は復讐したいとは思っていないよ」