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新王宮騎士団  作者: まめ
新しく王宮騎士団
12/19

新王宮騎士団12(リンの嫉妬)

サラはヒジリに抱き付く。

「おおっと」

ヒジリは体勢を崩すがすぐ建て直し、サラを優しく抱き締める。

サラはヒジリの口を塞ぐ。ヒジリは苦笑いする。

「俺は、女に主導権を取られるのは好きじゃないんだ。だから、返して貰おうか?」

そう言ってヒジリはサラを力強く抱き締め、深く口付けをする。すると、サラが抗議するようにヒジリを叩いたが、次第にその手が下に落ちていった。落ちた時、ようやくヒジリは口を放した。

「そんなに良かったか?」

そして、粗野(ソヤ)に自分の口を(ヌグ)うと優しくサラの口も指で()く。

拭いた指をヒジリは舐める。

「バカ」

ヒジリの肩にサラは頭を乗っけて、また軽く叩いた。照れながら言うサラに、顔を起こさせ、今度は触れるだけのキスをする。

その時、その子が叫んだ。ヒジリはそれで初めて気付く、

「ダメ」

それは、リンだった。リンの姿にヒジリは驚く。

「ダメって何がだよ」

リンの頭を小突くと、サラがリンを庇う。

「ごめんね。女心に(ウト)いお兄ちゃんで」

サラのその言葉で、ヒジリはようやく気付く。

「何だお前も、して欲しかったのか?」

そう言って、リンを抱き締める。

「違うもん。お姉ちゃんにお兄ちゃんチューしてたもん」

「お前どっから見てたんだよ」

呆れたように、ヒジリは笑う。

「お姉ちゃんが抱き付くとこから」

「ほぼ、初めからじゃないか?」

「そんなの知らないもん。リンにもして。お姉ちゃんみたいなの。だって、お姉ちゃん、気持ち良さそうだったよ。して」

サラは私は引くしかないな。と、寂しく思うのだった。

ヒジリはため息を付くと。

「仕方ねぇな」

「リンにも気持ち良くねぇ」

と、ヒジリはだめ押しされ、嘆息すると、腰を下ろし同じ目線になる。

「目を閉じろ」

ヒジリに言われて、リンは慌てて目を閉じる。

そして、リンにキスをする。でも、まだフレンチな子供のキスだ。

ディープなのは、まだ早いだろ。あと10年くらいしないとな。

口を離すとフレンチでも、リンは目がトローンとし、ヒジリが抱き止めねばならなかった。ヒジリは苦笑いする。

「おい、大丈夫か?」

「リン、まだ平気だもん。でも、本当に気持ち良いね。毎日してね」

と、無理していることが分かることをリンは言う。

「罪な男ね。これでリンちゃんは生半可な男じゃ、満足出来なくなったわね。責任取りなさいよ」

「取りなさいよ」

リンも指を突きつけ言う。

「お前が言うな」

殴る真似をすると、「お姉ちゃん、怖いよ」と言って、サラの後ろに隠れる。

「汚ねぇぞ、お前。サラの後ろに逃げやがって。サラなら、自分を匿ってくれると、分かってて」

「なんとでも」

ベーと舌を出す。

「な、サラ。こいつにもらって下さいの、フダを付けて、町に置いてきちゃダメかな」

「ダメに決まってます。責任もってあなたが、もらってあげなさい」

「責任って、俺は頼み事を聞いただけだぜ」

「その頼み事を聞くヒジリが悪い」

「悪い」

キャキャ笑いながら、リンは言う。ヒジリは頭を押さえた。

「一体どうしたら良かったんだ」

「もっとしてあげるのが、良いと思うな」

リンは自信満々に言う。

それ聞いたヒジリはげんなりするの

「お前な」

そう言って、リンを見ると、何か切羽詰まった顔をしてる。

「わ~ったよ。お前は施設にやらずに、俺の家に置いてやる。ただし、男の独り暮らしだから、汚いぞ」

「やった~。だから、ヒジリって、好き」

「さいですか? じゃあ、準備しなきゃな。じゃあ、サラ悪いな」

「ううん。リンちゃん、我が儘沢山言ってね」

「うん。じゃあねぇ、サラお姉ちゃん」

「バイバイ」

ヒジリはリンの手を取る。

リンはその手を力強く握る。角を曲がりサラが見えなくなると、ヒジリは聞く。

「どうしたんだよ?」

「だって、サラお姉ちゃんは私がこの街に来たばかりの頃凄く優しくしてくれたけど、おじいちゃんの仇だし、サラお姉ちゃんをそう言う目で見ちゃうじゃん。サラお姉ちゃんも私を見る度、絶対申し訳ない気持ちで、一杯になる。だから、ヒジリお兄ちゃんを取ったの。そうすれば、申し訳ないって思わないかなって思って」

それを聞くと、ヒジリは立ち止まり急に抱き締める。

「リン、お前は良い子だな」

「今頃、気付いた。あっ、でも、ヒジリのことは好きだよ。ここは、本当だよ。嘘で流さないでね」

「そこも嘘で流させて欲しいな」

困ったように言えば、リンは明るい声で、

「流さないよ~だ」

ヒジリはちょっと困りながらも笑う。

「リンらしいな」

「私らしいって、どういうこと?」

「自分を持ってるってこと」

「それって、褒め言葉かな?」

「そのつもりだ」

「じゃあ、良いや」

満足げにリンは微笑むと、二人は岐路に付いた。

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