いつの間に……
「えっと、劉翔が来て、崙が引き籠り生活からぬけだし、さらに延紀まで引っ越して来た、と……」
「そうすると、今この屋敷に住んでんのは11人か」
獅和の後に続けて智悟が言った。
「わぁ、すごい人数だね」
延紀がにこにこしながら智悟に言っている横で、千夜封はぼそりと呟いた。
「なんか、まだ来そうな予感が……」
「そのとーーーーーーり!!」
そう叫び声が聞こえたと思ったら床板が勢いよく開き、そこから一人の少年が現れた。
「いやー、俺もちょっと前からここd…」
グサッ
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バタンッ
だが、話している途中で臨の手裏剣の餌食になり、再び床下へと落ちていった。
「…今、何かいなかった?」
沙彌が、まるで何事もなかったように手裏剣の手入れをしている臨に尋ねると、臨は一言こう言った。
「気のせいだ」
「いやいやいやいや!!今絶対に誰かいたって!」
「気のせいだ」
すかさず沙彌がつっこんだが、気のせいだと流されてしまった。
「何だったんだ…?」
崙がそう呟くと同時に、床板が今度はゆっくりと開いた。
そして、頭に手裏剣が刺さりそこから流血させている少年が、這いずり出てきた。
それを臨が瞬きひとつのあいだに床下へと突き落とし、何事もなかったかのように、また手裏剣の手入れを始めた。
「…なぁ、りn「気のせいだ」…そうですか…」
千夜封の言葉を途中で中断させ、手裏剣の手入れを黙々としている臨。
そしてまた床板がゆっくりと開き、少年がでてきた。
「臨、そんなに俺に恨みでもあるのか?」
「ない」
臨の言葉にずっこけた少年は、立ちあがって咳払いをした。
その少年の顔を見た沙彌と千夜封と智悟が同時に叫んだ。
「「「茈縵!!?」」」
「おう!」
「何で床下にいたんだよ」
崙が尋ねると、茈縵は臨を指さし言った。
「それを言おうとしたら、臨に邪魔されたんだよ!」
「テヘペロ」
臨の言葉に再びこけた茈縵は持ち直すと、なぜここにいたのかを説明し始めた。
「だからな、俺はここに、少し前、こっそり引っ越してきたんだ。おっと、こっそりに対しての質問はなしだぞ。それで、いつになったら気づくかな~と、ずっと床下にいたわけだよ。わかった?」
一気に説明されて、内容がいまいちつかめていない臨以外のみんなはポカーンとしていた。
「…で?」
威偪が促すと、茈縵はにっこり笑うと床下からダンボールを取り出して、言った。
「これからよろしくお願いしまーーーーーーす!!」
こうして、屋敷の正式な住人が、11人から12人に増えた。
あと、二人増える。




