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嘘の告白  作者: かっきー
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七話 原因

「おはよー」


翌朝、いつも起床時間よりも一時間も早くだらしない早見がリビングに降りてきたが、若干寝不足なような気もする。


「あれ?兄さんが自分から起きてる」


「ああ、ちょっとな」


朝食の準備をしていた花がキョトンとした表情を浮かべる。その原因は昨日会った桜井春香。彼女のことだ。笠井玲奈のことを何か知っているみたいだったし、それに命が大事?いったい何のことを言っているのか・・・そうぶつぶつと考えながら朝食が用意されている席に着くが、まだ考え込んでいた。


「兄さん、おかしい・・・いや、キモイ」


客観的に見るとそう見えるらしい。そして二人で朝食をとり、始業までまだまだ時間はあるが、早く起きてしまって暇になったので学校へ向かうことにした。











こんなに早く学校に来るの初めてでグラウンドには朝練をしている運動部が元気に部活動に励んでいるが、教室の中はいつもとは別世界のように感じた。ふと、笠井の席を見てみるとカバンが置いてある。どうやらもう来ているようだ。たぶんまた屋上にいるのだろうと思い向かおうとするが・・・


「かっさいちゃーん!例のあれ持ってきたよねぇー」


隣の教室から声が聞こえた。小ばかにしたかのように笠井を呼ぶ声。何があるかわからないので覗き込んでみると笠井の姿ともう一人男子生徒の姿があった。確かあいつは・・・


「・・・・・・」


「あれ〜だんまりですか〜あの事を言っちゃうよ・・・君の彼氏さんにもね!!」


「!・・・わかりました」


そういって彼女はポケットから茶封筒を取り足してその男子生徒に渡す。


「ひーふーみ・・・口止め料五万円確かにいただき!」


「約束ですよ」


「わかってるって、君のパパが・・・」


「だから!!」


珍しく笠井が怒りに満ちているような表情だった。あんな顔は見たことがない。


「ダイジョーブ!!心配要らない、口が堅いので・・・」


「しゃ・べ・ら・な・い」


小ばかにするポーズを取りながら茶封筒を自分のカバンの中にしまう男子学生はこの学校では悪い方でかなりの有名人のわがままプリンス。各園理事長の息子、成宮賢也。彼の気を損ねたものは最悪退学にされることもあるという、自分の気分次第で他人の人生を崩壊させるようなやつだ。たぶん笠井も何らかの弱みを握られているせいでこのような状況になっているのだろう。


「・・・わかりました」


そういって笠井はそのまま教室を出ようとしたので、早見はこそこそと廊下にある男子トイレに駆け込んだ。


「今、誰か・・・」


「聞かれちゃった??」


「いえ、私の気のせいです」


「はいはい良かったねー」


その成宮を無視し彼女は教室を出て屋上に向かった。


「(成宮は何を知ってるんだ?・・・)」


成宮を直接問いただそうとしたが、今は笠井が気になって屋上に向かった。そして、屋上に入ろうと扉に手をかけるとガシャガシャ!!と屋上の金網を思い切りたたいていた。


「なんで・・・なんで!・・・なんで!!・・・私ばっかり・・・」


笠井は泣いていた。泣き叫んでいた。手に痛々しい跡が出来始めてしまっている。さすがにまずい状況だと察した早見は扉を開けて、笠井に近づく。


「どうして・・・あんな人の娘に・・・」


そう言って彼女は金網を自暴自棄のように登ろうとし出した。


「バカ!」


早見がダッシュで金網から引きはがし、彼女の表情と向き合うが、弱々しく・・・


「早見君・・・助けて」


「笠井・・・」


その言葉になにも返せないでいた。とりあえず、涙でぐしゃぐしゃになった顔を早見がハンカチで拭いてやる。まだかける言葉も見つからず、沈黙が続いている中、笠井は泣き疲れたのか眠ってしまった。HRまでに起こせばいいだろうと思い、彼女をベンチに寝かせ、その横で携帯電話をいじり暇をつぶそうとしたとき。



「はぁ〜イラつくね・・・」


早見の死角から一人の男子学生が姿を見せる。上の給水場に繋がる場所から降りてきた。


「自殺しようにも怖くてできない・・・メンヘラのかまってちゃんじゃないのこの子?」


「何だよ・・・お前」


客観的に見ればそうなのだろうが、早見は今の台詞に許せないのか睨み付けながら話した。


「君もこの娘に興味ある人?」


そういってベンチで熟睡している笠井を指さして言う。


「謎だらけの彼女のパンドラの箱・・・開けたら何が出てくるのやら・・・」


そういいながら笠井に近づこうとしたので、どこか不気味彼の前に立つ。


「悪いがそんな趣味はない」


「そうか残念だよ・・・何かの縁だ自己紹介をしよう。僕は高木拓也。探偵を将来は希望してるよ。君は?」


「早見裕也」


「早見裕也・・・覚えておくよ。笠井玲奈は自力で調べよう。君とは仲良いらしいから聞いてみたら答えてくれるんじゃないのかな?」


「さぁな、知ってても教えなねぇ」


「悲劇のヒロインを助けるヒーローってところかな?」


早見はそっぽを向き何も答えなかった。


「まぁいい、笠井玲奈は昔何をしたんだか・・・」


そう言いながら高木は屋上から出て行った。


「何だよ・・・あいつ」


早見は笠井への不安と心配と高木の謎の行動がまた早見を悩ませた。


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