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嘘の告白  作者: かっきー
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二十六話 別行動

彼らが練習をしている頃、練習の見学だけの二人は高山に勧められた遊園地に到着。地域の遊園地という感じで大きくはないが、短い時間で周るにはちょうどいい広さだ。しかし、いきなり問題に突き当たってしまった。


「入場料・・・桜井さんはいくらある?」


「二人で四千円ですか・・・えっと、二千五百円ですね」


「僕千円しかないや・・・どうする?」


入場料がまさかの足らないという事件が起きてしまった。高木がまさかの甲斐性なしだった。近くにはお金をおろせる場所もないのでどうしようかとも思ったが、桜井はある決心し、それを実行する。


「大人一人に子供一人ですね」


「ええ、久しぶりに小六の妹を連れて・・・兄妹で・・・」


「うん、お兄ちゃん・・・」


「ではどうぞ!!楽しんでくださいね!!」


係員にはばれなかったみたいだ・・・桜井の考えとは自分が小六のふりをし子供料金で入るというものだ。おかげで合計三千円で入れた。というか桜井よくばれなかった。童顔でもないのだが、大人っぽいとも言えないので不安ではあった。


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「大丈夫?」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


声をかけてみるが、恥ずかしがってなにも喋れないみたいだ。自分で考えたことなのに高木は落ち着いてるみたいで係員に貰ったパンフレットを見る。


「何からやる?」


「・・・はい、いいと思います」


「まだ何も言ってない・・・ジェットコースターは?」


「怖いです」


「お化け屋敷」


「怖いです」


「バイキング」


「怖いです」


「・・・何がいい?」


またパンフレットをみる。正直半日で全部周れてしまうものなので絶叫系を消したらもっと早く舞われてしまい時間が余る。


「怖くないのでお願いします」


「そうだな・・・コーヒーカップ・・・観覧車にメリーゴーランド・・・ヒーローショーに」


「観覧車でお願いします」


普通は一番最後に乗るものだが何も言わないでおこう。この時間帯のおかげですいていたのですぐに乗れた。


「とりあえず座ろうか」


「はい」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


座ったがいいが会話がない。何か話題を考えようと桜井は考えているが、逆に高木から質問が来た。


「最近の学校生活はどうだい?」


「あ、最初はいろいろありましたけど・・・今はとっても楽しい」


犯罪者の娘というのがすぐにばれて辛い日々を送ってきたのだろう。しかし、彼女はそうではないということを知り楽になっただろう。


「それはよかった。あと成宮には何かされてないか?」


「いえ、最近おとなしいですね」


少し気になっていた。桜井の犯罪者の紙をばらまくのを阻止したとき、退学とか言っていたが、結局何もされていない。脅しが聞いたのならそれでいいのだが、油断は禁物だ。だから、何かあるとしたら桜井に何かあるんじゃないかと考えた。


「そうか」


その言葉に安心した。


「・・・何かあるんですか?」


「いや、たいしたことじゃないから」


そう言い返しその話はやめた。学校のことや部活のことを話している間にもう一周してしまったようだ。


「さて、次はどこに・・・」


高木はパンフレット見ながら聞いてみるが、腕組ながらカップルが出ていくのを見た桜井はひらめく。


「お化け屋敷で」


「怖かったんじゃないの?」


「いえ、いきたくなっちゃいました」


「はいはい・・・(考えていることはバレバレだけど)」


このお化け屋敷はパンフレット情報によると結構怖いことで有名で、テレビで取材されたこともあるらしい。


「た、高木君。手を握ります」


入る前なのだが、本当に怖がっているのか握りたいだけなのかは知らないが、悪い気分ではなかった。


「はいはい・・・」


お化け屋敷よりも隣が怖い。なんかチラチラ見てくるし、握る力は強くなる一方だし・・・いや、手がめっちゃ痛い。


「怖い・・・」


思わず高木は呟いてしまった。そして奥の方に行ってみると・・・うらめしや〜っと幽霊が出てくる。いきなり隣にあった扉から出てくるとはビックリした。正直、急にびっくり系は苦手だ。


「きゃゃゃぁぁ!!」


隣では声にならない叫びになっている。その後も様々な幽霊に出会い、桜井の握る力は徐々に強くなりだし、ひりひりと痛みだしてきてしまった。そして、ついにゴールに到着。


「ふぅ〜ゴールだ」


「あぅ・・・」


隣では魂が抜けているような感じで桜井がいた。


「怖かったなら無理しなくても・・・」


「だって・・・」


「ほら」


手を差し出す。


「えっ?」


「繋ぎたいんでしょ」


彼女は恐る恐る手を重ねる。


「ありがとう・・・」


「はいはい」


自分で言っておいてやはり照れてしまう。


「次は・・・」


二人はいろいろ楽しんだ。コーヒーカップをはじめ、メリーゴーランドにジェットコースターも頑張って乗ってもらったが、桜井がグロッキーになったりととても楽しかった。


「さて・・・次でラストかな時間的に」


「もう一回・・・観覧車に乗りたいです」


腕解けの時間を見ると軽音楽部が練習を終える時間が迫っていて、移動時間も考えると、次でラストだろう。しかし、最初に乗った観覧車をまた乗りたいといった。


「・・・だめですか?」


「いや、かまわないよ」


そう言い二人は観覧車に向かった。並んでもいなかったのですぐに乗れたのが幸運だ。また観覧車から外の光景を見ている。さっきとは違い今度は夕日がきれいだ。


「綺麗ですね」


「そうだね・・・」


夕日がこちらを照らしてくれているような感じだ。そして、桜井は今日、ある決心をしていた。


「あの・・・ですね・・・お話があるんですよ」


「なに?」


「あの・・・」


なにか落ち着きがない様子だ。顔も赤くなっている。すぅと息を思い切り吸い込み。


「高木くんがしゅきです!!」


大事なところで噛んでしまった。


「えっ?」


突然の言葉に焦る。高木も落ち着きがない。


「だからぁ・・・その・・・」


大事なところで噛んでしまったせいなのか、少々泣きそうになっている。その時高木の携帯がぶるぶる震える。高山から電話だ。空気を読め。


「もしもし、俺たちは先にホテル戻ってるから」


「わかったよ・・・タイミング悪いな」


「なんかあったのか?」


向かい合っている彼女は泣き顔のままテンパってしまっている。


「察してください」


「後で尋問するからな」


「答えられる範囲で」


そう言うと電話を切る。


「さて・・・あっちはもう戻るらしいからこれを降りたら帰ろう」


「はい・・・」


「もう一回言う?」


「プシュー・・・」


「面白いな」


「いえ・・・その・・・」


いつまでもオロオロしているので、高木も腹をくくった。


「僕も好きだ」


「えっ?」


「君は?」


「わ、私も!!」


彼女の笑みはたぶん一番輝いていただろう。そして、この子は今から僕の彼女となった。いつかは自分から言いたかったが、言われるのもうれしくてたまらない。


そして、観覧車から降り、改めて向き合い、


「よろしく・・・春香」


「・・・・うん。」

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