第2話 世界政府本部にて②
世界政府とは、間違いなく世界最大にして最強の機関である。独立国143ヶ国の内、加盟国は139ヶ国。さらには、世界政府軍を持ち、大国とのパイプラインも強い。また、世界政府本部には126人の能力者を持つ。カーシャもその中の一人である。
「で、なんだ?話って?」
ソラはコーヒーをすすりながらカーシャに聞いた。カーシャもコーヒーを口に一杯含む。
「え~とね・・・。実は私と一緒に任務をしてほしいの。」
と、顔を赤らめながら一気に言った。
「は?」
ソラはカーシャが何言っているのか、一瞬わからなくなった。
「オレは、クラウンナインだぜ?オレクラスが動くとなりゃ、他のクラウンナインの処理とか、能力者の処理だぜ?お前にそんな任務でも回ってきたのか?」
と、少し冷酷に答えた。
こいつ、なめてんのか?
とも、一瞬思った。
「いや、私には、出来ないような、いや、ソラでも難しいような任務が回ってきたの・・・。」
ソラの頭の中はハテナだらけである。
俺でも難しいような任務?
そんな任務ならなぜこいつに回ってくる?
「本当か?任務詳細はあるか?」
と聞くとカーシャは10枚ほどをホチキスで止めた紙の束を渡してきた。ソラはそれを受け取り、目を通してみる。
そこには、”報酬、金貨7000枚、世界政府会議への参加権、ランクの格上げ”と書かれている。ソラは目を疑った。
馬鹿な・・・。金貨7000枚だと?
金貨7000枚は大国の一年の国家予算に相当する。これは、言うまでもなくクラウンナインよりもはるかに高い数字であり、あり得ない数字でもあった。
「おま・・・、この中見たか?」
カーシャは首を横に振った。
「怖くて見れなかった・・・。」
ソラは急いで中を見るべく、1ページ目をめくった。
任務内容
・天界と魔界の制圧
・天神ウォーカーと魔神ネオの暗殺
これを見たソラは唖然とした。任務詳細が手からこぼれおちて、床に落ちる。
天界と、魔界は超危険区域である。人間界に7ヶ所あるが、天界や、魔界は全土が超危険区域にあたる。
そして、天界や、魔界への鍵はクラウンナインが所持している。
それを、一般に門と言うのだ。
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「これは、受理するな・・・。」
とソラはカーシャに言った。
ソラとしては悪いことを言っているつもりは微塵もない。こんな任務不可能に決まっている。クラウンエイトが全員集まるなら分かる。
しかし、それをこんな少女にやらせるのは、完全に不可能だ。
制圧は愚か、魔界に入れば、毒の川で即死だし、天界に入れば、奈落の底に落ちて死ぬ。
それに、クラウンナインですら、用心しながら、完璧な用意で進まなければ死んでしまう。
そこへ一般人などが、進まないようにクラウンナインが鍵を持ち、入れるかどうかを確認して、許可を出すことで死なないようにしているのだ。
「でも・・・。これは、世界政府最高司令官からの任務なんだよ?」
「な、何?」
ソラはまたもや驚愕した。もう、今世界が滅んだとしてもふ~ん、で、それが何?と言う反応になるだろう。
「分ったよ、この任務受けて立ってやる。朱雀同行の条件でオーケーを出せ。」
この2人がいつか、最強の二人となり、この世に名を轟かせる可能性があることはまだ誰も知らない