異世界恋愛相談所? -恋する乙女たちと似非占い師-
ここに、悩める乙女が一人。彼女は、フレイムに思いを寄せていました。
「わたし、フレイム様をで、デート……にお誘いしようと思っているのですけれど。
どこにお誘いするのがいいかしら?」
「そうですね。少々お待ちを!」
悩みを打ち明けられた女は、水晶玉に手をかざしました。
「むううー。あなたの想い人は、とても野性味があって、頼りがいのある方ですね」
「そうなんです!」
「なら、山です」
「……山?」
「アウトドアデートがおススメです。ハイキングでもキャンプでもかまいません。
彼が居ればチャッカ○ンが要らなくて便利……いえ、火をおこすのが任せられるではないですか。
彼の活躍をさりげなく褒めてあげれば、あなたのポイントアップは間違いないでしょう」
「ありがとうございます。分かりましたわ、早速お誘いしてみます!」
「グッドラック! です」
そしてまた一人、恋に悩める少女がやってきました。
「あの、ソ……好きな人と仲良くなるにはどうしたらいい?」
「ふむ、あなたの好きな人は、ソリアム君ですね!!」
「ど、どうしてそれを!?」
「私に分からないことなんてないのです。……占ってみますね」
ふんぬー、と、奇声をあげながら、女は水晶玉に手をかざしました。
「分かりました!! 彼とはまず、グループデートをしてみるのが良いでしょう」
「……グループデート?」
「みんなでワイワイ盛り上がれる場所が良いですね。例えば遊園地。
動物園なんかも、彼は好きではないでしょうかね。
そういう楽しい雰囲気の中で、さりげなく彼の隣をキープして、距離を縮めちゃってください」
「わかった!! やってみる!」
「グッドラック! です」
さらにまた一人、恋する乙女が相談に訪れました。
「こ、婚約者が、何を考えているか分からなくて……。
あいつは、優しいんだけど、あたし、よく意地張っちゃって。その、ど、どうしたらいいか……」
「あなたの婚約者は、イースさんですね」
「な、なんで……」
「えへへ、なんででしょうねー。心配はいらないと思いますけど、一応、占ってみましょうか」
女は水晶玉に手をかざします。その中に、浮かびあがる光景は……。
「うん、ピクニックに誘ってみるのはいかがでしょう?」
「ピクニック?」
「あなたはお料理が得意ですよね。
手作りのお弁当を持って、見晴らしの良い公園などに出かけてみてはいかがでしょう?
あなたも開放的な気分に慣れて、素直な気持ちが打ち明けられるかもしれませんよ。
イースさんもきっと、あなたの美味しいお弁当と素直な告白に、心が掴まれちゃうと思います!」
「ありがとう。……そっか、お弁当かー」
「はい。グッドラック! なのです」
またまた、恋する乙女が相談に来ましたよ。
「あ、あたくし、カルロス殿下とお近づきになりたいと思っておりますの。
なにか、良いアドバイスは無くて?」
「そうですねー。アン男ですか」
「……アン男?」
「いえ、失礼、こっちの話です。とにかく占いますね」
水晶玉に手をかざし、気合を入れます。
「ふー、見える、見えますよ! あの赤毛の王子とは、図書館で、好きな本の情報交換などをしてみるのが良いでしょう。彼の新しい一面が見えます。
それから、彼の知らない場所、外国の文化などの情報を、あなたが集めて彼に教えてさしあげるのもよろしいのでは? 彼はとても勉強熱心な王太子ですから、あなたの知性をアピールすれば、他の女性とは差が付けられます」
「……そうですわね。あたくしも、いずれ王妃となるのならば、見聞を広げておくことは必要ですわ。
もっともな意見、ありがとう」
「いえいえ。グッドラック! ですよ!!」
そして五人目の、悩める乙女が現れました。
「あのね、スイアーブさんと一緒にお出かけするなら、どこが良いと思いますか……?」
「ふむ、スイアーブさんですか。占ってみますので、ちょっと待ってて下さいね」
女は、「うぬー」と唸りながら、水晶玉に手をかざします。
「分かりました! 彼とは、オープンテラスのあるカフェで、ゆったり優雅なティータイムを過ごされるのが良いと思います」
「ゆったり、優雅に……。良いですねぇ」
「もしくは……そうですね、ウィンドウショッピングなんかも良さそうですね。さりげなく彼の好みをチェックしてみてください。あとは、あえて出かけない、というのも手かもしれませんよ」
「え?」
「彼はスイーツ作りが得意ですから、その味見をさせてもらうのも良いですよ。彼のケーキはホントに美味し……いと、思いますよ、きっと」
「ありがとうございました。考えてみますね」
「頑張ってくださいね! グッドラック! ですよ」
六人目に現れた女性は、
「あれ、チヨコさんじゃないですか。じゃああなたが、ジャックさんのお相手ですね!!」
「そうです。まあもっとも私は、もう『乙女』ではありませんが」
「……オトナですね。草食系だと思ってたのになかなかやりますね、ジャックさん」
「そうですね」
「で、今日のご相談内容は?」
「最近いろいろマンネリ化してきているので、初心に帰ってデートでも、と思うのですが、行き先が決まらないのです」
「行きたいところがたくさんあるなら、全部行けばいいじゃないですか」
「初デートは記念ですよ?」
「あれっ、デートはしたことないんですか? 何やってんですかね、ジャックさんは。まあいいでしょう。占ってみますね」
水晶玉に手をかざします。そこに映った光景は――
「安易ですけど、水族館とかどうですか」
「水属性だから、というなら、確かに安易ですね」
「でも、のんびりまったーりゆらゆらーな、独特のあの空気は、私好きです」
「メグさんの好みですか。でも、私も好きです」
「そうでしょう!? あと、イルカショーなんかも見逃せませんよね!! 初デート、楽しんで来て下さいね!!」
「はい。アドバイスありがとうございました。メグさんも、アレックスさんと末長くお幸せに」
「ありがとうございます。お互いにグッドラック! ですね」
「やっと終わったか」
「はい。情報提供ありがとうです、アレックス」
「……なあ、俺たちもデートしないか?」
「ほえ?」
「この前言ってた夜景の綺麗な所、連れてってやるよ」
「え!? ホントですか!! わーい、一度でいいから見てみたかったんです」
「行くんだな。行くっつったな?」
「はい。……なんでそんなに念を押すのですか」
「夜景見たら、その後は朝まで帰す気ないから。――覚悟しとけよ」
「ひえ!? おおおおお持ち帰りですかっ?」
「当たり前だろう。ああ、楽しみだー」
今さら撤回もできません。ううう、せめて勝負下着の用意を……って、私そんなもの持ってないですよ。
わあ、どうしましょう。助けて雛ちゃーん……。
フレイム、ソリアム、イースのキャラを作る時、目や髪の色の設定より先に、「彼とのおススメデートコース」が浮かんでしまいまして……。
(実はこの三人は、未だに目と髪の色が設定されていなかったりします)
なんでメグが占い師やってるのかは謎です。バイト?
フェレス国に遊園地や水族館があるのかも謎です。
アレックスにメグとのデートプランを立てさせると、高確率でお泊りになります。
メグは、初めて行く場所なら、どこへ連れて行っても喜びます。
雛子は、お笑いのライブなら行くと言うんじゃないでしょうか。