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めぐる世界の光と闇と  作者: 弦巻桧
番外編・後日談
41/65

童話のパロディらしき小話① アレックスと留守番のめぐる

拍手で公開していた話です。


「オオカミと七匹の子ヤギ」のパロディ、のつもりです。

さすがにメグを七人には出来ませんでしたが……。

 ある所に、メグという女の子と、彼女に一目ぼれしてしまったアレックスという男の子がいました。


 アレックスは、何とかしてメグと仲良くなりたいと思っていました。しかし、彼女にはそう簡単に近づくことが出来ません。メグの保護者・雛子が、いつでもがっちりガードしていたからです。


 ところがある日、彼にチャンスが訪れます。


「メグ、しっかり留守番してるんよ! あたし以外、誰が来ても扉を開けたらアカンで!!」

「合点承知之助です!」


 雛子が出かけた後、メグが一人になったのを見たストーカーのアレックスは、頃合いを見計らって扉を叩きました。


「メグ、ただいま。開けて」

 正直に名乗っても扉を開けてはもらえない。そう思ったアレックスは、精一杯雛子のものまねをしました。自分でも会心の出来だと思いました。しかし。


「声紋を照合します。……不一致です。あなたは雛ちゃんじゃありません」

「風邪をひいたんや」

「風邪引き声の雛ちゃんの声紋も十パターン程取っていますが、どれとも合いませんでした」


 アレックスは仕方なく引き下がりました。



 しかし、諦めの悪い彼は、再びやってきました。

 魔法でしっかり声を変えて。


「メグ、開けて」

「声紋、一致しました。では次に、指紋を照合します。扉についているパネルに触れてください」


 アレックスは言われたとおりにしました。


「不一致です。あなたは雛ちゃんじゃありません。開けることは出来ません」


 アレックスは、またもや引き下がるしかありませんでした。



 しかし、粘着質な彼は三度やってきました。

 魔法でしっかり指紋も変えて。


「メグ、開けて」

「声紋一致。次は指紋です。パネルに――」


 言われたとおりに触れると、

「指紋も一致しました。では次は――」

「まだあるのか!?」


 アレックスは、だんだんうんざりしてきました。



 そして遂にキレた彼は、実力行使に出ました。


「最初からこうすれば良かったんだ」

 その手にはしっかりと斧が握られていました。


 彼は扉を破壊すると、家の中に土足で侵入。目を丸くしているメグを、電光石火の早業で連れ去ってしまいました。



 帰ってきた雛子は、家の惨状を見て一瞬で何があったかを理解しました。

「あんのドアホ変態ストーカー誘拐犯が!」


 雛子がアレックスの家に殴りこみに行くと、メグはもう既にアレックスと結婚させられた後でした。

「……うーん、なんでこうなったんでしょう……?」


 首を傾げるメグに、雛子は

「ごめんなー!! メグ、一人にしてゴメンなー!!」

と、ひたすら謝り続けていました。


 その後、アレックスはメグを目に入れても痛くないくらい可愛がり、メグもそんなアレックスにちょっとずつ心を開いていき、二人は幸せに暮らしたそうな。


 めでたしめでた……「全然めでたないわ――!!」


メグ「なんで、魔法で雛ちゃんに変身して来なかったんですか?」

アレックス「その手があったか!!」


メグが何人いても、きっとアレックスは強引に、全員攫っちゃいますね。

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