22 新メンバーお披露目
新キャラを一気に投入。
さて、征伐隊に選ばれたメンバーは、各属性代表の魔法使いが一人ずつの計五人、とそれぞれの使い魔です。
光属性はアレックス様、風属性はスイアーブさんです。
火属性はフレイムさんと言って、筋肉質でがたいが良いお兄さんです。ワイルドで、心が熱そうな感じです。一触即発のアレックス様とスイアーブさんの間にも入ってくれて、頼れる方だと思いました。
そういえば、火属性の方に出会ったら私、一度聞いてみたいと思ってたことがあるんです。
「あの! ……失礼ですけど、雨の日は無能になったりはされませんよね?」
「当然だ」
安心しました!!
フレイムさんの使い魔さんは火竜さんです!!
きゃー! お会いしとうございました――!! カッコイイです! 大興奮ですよ私!
「馬鹿じゃないの」
そんな私の興奮に水を差してくれたのは、土属性のショタ少年、ソリアム君です。おのれー土属性のくせに水を差すとは何事ですか――!
「なにワケ分かんないこと言ってんの?
……アレックス様、貴方ともあろう方がどうしてこんなのを使い魔になさっているのですか!?」
人を指差しちゃいけませんって教わらなかったんですか! 幼稚園からやり直すが良いのですよ! このお子様!!
「お子様言うな! オレは十六歳だー!!」
ソリアム君の叫びに反応して、彼の肩口からモグラみたいなのが顔を出しました。ほうほう、この方が使い魔さんなんですね。
「こんにちはー」
モグラさん? に挨拶すると、
「オレを無視するなー」
と、ソリアム君に怒られ、モグラさんにもそっぽを向かれてしまいました。あーあ。
「楽しそうだね~」
と、ほにゃらら、ぽわぽわした空気を発して見物していらっしゃるのは、水属性のイースさん。一瞬女の人かと見紛う中性的なお顔立ちです。ぶっちゃけ、生物学的に正真正銘女であるはずの私よりも、美人さんだと思います。
「イースさんの使い魔さんはどんな方ですか?」
「ちょっと待ってね~呼ぶから~」
イースさんはコップに水を汲んで来て、指をパチンと鳴らしました。
ぴちょん、と水音がして、コップの中に魚が現れました。……小さい、と私が思ったのが分かったのかイースさんは、
「本当はもっと大きいんだよ~。呼ぶのに不便だから、この大きさになってもらったの~」
とにこにこ笑います。
なんだか、イースさんと居ると和みますね。ソリアム君とのやり取りで荒んだ心が癒されるようです。
――とまあ、こんなメンバーなのですが、はてさて、チームワークは如何程なのやら、です。
そしていよいよ、魔王征伐隊の出発の日がやってきました。
この間の打ち合わせで、まず王都の北部を目指すことが決まりました。
フォックスさんと火竜さんの背中に六人が三人ずつに分かれて乗り込み、いざ出発なのです!
それぞれが自分の属性の探査魔法を使いながら進むのですが、もうのっけから魔物とのエンカウント率が半端じゃありませんでした。
どす黒いオーラを纏った魔物さんが、例の如く追ってきたり向かってきたりします。
でもさすが、学園から選抜された精鋭部隊なだけあって、あっという間に倒されていきますよ。
炎がゴーと上がって、風がビュンビュン切り裂いて、水がバシャーンと大量で襲いかかって、土の塊がドーンと押し潰す――ってな具合です。
……え? 描写が適当? 仕方ないじゃないですか、五点同時に見るなんて、聖徳太子でも無理ですもの。
ちなみに私は、全く何もしてません。というか、する暇がありませんでした。
倒して倒して倒しまくって、一日目終了です。北の村と森の境に在った空き家をお借りして、一晩泊ることになりました。
メグとは、精神年齢が一番近いのがソリアムで、波長が合うのがイース。
ソリアムはアレックス大好きな(BLではなく、純粋に憧れている)ため、メグを目の敵にしております。