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10 光と闇と善と悪

アレックス、あんたって子はまたそんなセリフを……。

 フェレス国に来て十日。

 そろそろ学園の外にも出かけてみたいなーと思っていたら、やってきましたそのチャンス!

 今日は、使い魔と共に魔物を倒す、実践訓練だそうです。


 学園の広い庭園の一角、芝生の敷き詰められた校庭に、白いマントの学生たちが集められました。

 ――なんか、ヒソヒソ私のことを言われているらしいのが分かります。


「本当に髪も目も黒い――」

「やっぱりアンヤージなのか……」

などなど。


 目も髪も黒いのが、そんなに珍しいのでしょうか。確かに、この世界に来てから、コーカソイドっぽい人しか見ませんが。


 中身はともかくとして、見た目は本当に美形さんばっかりです。うはー。どんな遺伝子持って生まれればああなるのか――ちょっと採取させてもらって、解析してみたいですねえ。


 すると、そんな呟きを聞いていたらしいご主人様。

「『遺伝子』か。俺の子種で良いならいつでもやるぞ?」

「なんでやねん!」


 雛ちゃん直伝、関西弁ツッコミです。

 ちなみに『遺伝子』など、こちらの世界には無いらしい概念も、ちゃんと分かるように翻訳されているみたいなのが不思議です。どういう仕組みなんでしょう。


(メグ、今のはボケではなかったと思うぞ?)

 エリーちゃんはそう言いますが。本気っていう方があり得ません。


 ……ハッ! まさかセクハラ!? ボケじゃないってそういう意味ですか!

(……言っても無駄じゃろうのぅ)

 何が?




 気を取り直して、今日の訓練の話です。

 アレックス様はどこからか出してきた紙を広げます。


「これが、王都の地図だ」


 王都は、東西南北の四方を山に囲まれ、中央を南北に川が流れています。どこかで見たような地形だなーと思ってたら、これ、京都に似てるんですね。


「で、この学校があるのはここ」

 北の山と東の山の間を指で押さえます。


「今日、魔物退治に行くのはどこですか?」

 東の山を示しながら、

「ここ。この森の中だ」


 行き先の確認は良いとして、気になるポイントが一つ。

「『魔物を倒す』って、使い魔も元々は魔物ですよね?」

「倒す必要があるのは悪玉な」

 コレステロールみたいに言いますね。


「火、水、土、風、光の五属性が善、闇属性が悪って話はしたよな」

 はいはい、覚えてますよ。

「魔物にもそれぞれ属性がある。元々闇属性のヤツを倒すのは当然だが、今日倒す標的の中には途中で闇属性に変わった魔物も含まれている」

 途中で闇属性に、変わる?


「属性は基本的には一生変わることがないと言われているんだが――。

何が原因かは分からない。だが確かに、善の五属性のうちのいずれかで生まれながら、途中で闇に堕ちてしまう者が存在するんだ。……そしてそれは、魔物に限ったことじゃない」

 魔物に限らない、とは?


「魔法使いの属性も、突然闇に変わってしまうことがあるんだ」


 ……え?


「実際それで、この学校……いやこの国から、存在を消された奴もいるらしい」

 …………。


「魔力を持つ人間はフェレス国内では限られていて、性別では圧倒的に男が多い。

というより、女は闇属性の数が多いから、生まれた時点で魔力は封じられる」

「封じるって、どうやって?」


 ご主人様はそれには答えず、

「この学校が男子の入学しか受け付けないのも、女は生来の属性が善でも、途中で闇に変じやすいと言われているからだ」


 男尊女卑というか、女性蔑視というか。『女は誘惑に弱い悪者』ということですか?

 どっかの宗教みたいな価値観で、とても嫌な感じです。

 雛ちゃんだったら多分、「ケッタクソ悪いわー」と言って、唾を吐くことでしょう。


 あれ? でも私も一応、生物学的分類上は女ですよ。ここに居て大丈夫なんですか?

「知らん」

 え!? ……投げましたね?

「異世界人のことを、俺が解るか」

 それを言っちゃぁお終いなんでは……。


「とにかく、何が『闇』かは、見れば分かる」


メグはアレックスの服を借りていますし、胸囲の方がちょっと……(体積が足りない)なので、周りには女だとは思われてないかも。

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