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Sugar☆love39

ポロポロと、ただただ涙がこぼれた。

手にした封筒を、ギョッと握る。


「うそ……」


志貴は泣き続ける妹に向かって静かに頭を下げた。

「…ごめんネ、やっぱり君には最初から知らせるべきだった…。ごめん」

いつまでも頭を下げる兄に美妃は訊ねた。


「あと…どのくらい…」

美妃は涙で言葉が続かない。


「…雪姫は、今までの治療を受けていたらあと3ヶ月は生きていられた。だけど…」


「いいよ、私は」


「…………美妃」


「いいよ。だ…だってそれが雪姫の本当の…願いなんだよね?雪姫は…いっつも私たちの、世話ばっかり…。素敵だよ、二人で…一緒にいれて…」


「……美妃。はぁ……分かったヨ」


そういうと志貴は携帯でどこかに連絡した。


「フフ…実はどんな手段を使っても雪姫を連れ戻せーって、命令出してたんだよネ」


「……志貴。雪姫と翔太さんの為に私が出来るのは、何も無かったように、生徒会を運営する、ことだよね」


「…辞めてもイイヨ?三条からの援助は、別にそこまで必要じゃない」


美妃は頭を横に振った。

「ううん。やるよ。二人が守ってきたもの、だから」


「…そう?」


つまらなさそうな志貴に美妃は一生懸命花のような笑顔を向けた。


「うん。……志貴は、イギリス帰っちゃうんだよね?」

「おばあ様が心配だからネ。じゃあまたね美妃」

志貴は玄関のドアを開けた。


「もし翔太さんと雪姫がココに来ることあったら一発殴ってやってネ♪」

パタン、とドアが閉まり、美妃はその場に泣き崩れた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

…美妃へ。

元気?

笑っちゃうけど、私にはもう時間が少ししか無いんですって。

さっき志貴がボロボロ泣いて抱きついてきたわ。

Cancer…ガンだって。


吃驚してことばも出なかった。

志貴が日本に来るなんて、よっぽどの事情があるんだろうなーとは思ったけど。

…と言うわけで、私はイギリスに帰ろうと思うの。日本で、たくさん大切なものが出来たのだけれど。美妃に、紹介することも出来なかった人も。


あら、遺書らしくないわね。

でも、貴女に伝える事はこれだけです。


どうか、どうか幸せになって下さい。

誤解しないでね、私は幸せだったんだから。

私の分まで幸せになろうなんて思わなくってもいいからね。


でも一つだけわがまま。生徒会の皆を、よろしくね。

私と翔太が、頑張って作り上げた部だから。

特に理桜は心配だわ。

あのこは多分、美妃がいないと生きてられないわよ。貴女は憶えてないようだけれど、理桜は昔うちの近所に住んでいたのよ。

そう…こっちでの名前はリュカって呼ばれてたわね。

あ、貴女に心配かけたくないから、私の事は教えないよう志貴に頼むつもり。

最後まで自己中な姉でごめんね、美妃。

貴女の大切なものが沢山増えますように…。


雪姫

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