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Sugar☆love3

「大丈夫かしら…、ハルヒ。まぁ、あのコほど適任なのは、他には居ないってわかってるんだけど…」

空港へ向かう車の中で大好きなチョコレートをモグモグしながら雪姫はため息まじりに携帯に話しかけた。


『うーん、どうだろね』

「…軽いわね。私がこんなに心痛めてるってのに。聞いてんの翔」


不満全開な雪姫の声に、翔太は苦笑した。


『きーてますよ。大丈夫だよ。ハルヒちゃん、めっちゃ格好いいし。あ、それにウチに預けといたほうが変な虫つかなくって、雪姫も安心だろ?』

「…まーね。あ、そろそろ空港着くわ。じゃあね翔。また明日、連絡してね」

『了解』

プツッと切れた携帯をたたみ、翔太はクスクス笑った。

「ワガママな姫だよな、本当に。勝手だし…」

「翔太さん?どうしたんですか」

いつの間にか、生徒会特別ステージを見終わったボロボロの美妃が駆け寄って来ていた。

「あ、雪姫、空港着いたって。…どうだった?」「…ウチの学校、大丈夫ですか。って言うか私、全然知らなかったですよ……アイドル…部?」

微妙な顔で薄く笑う美妃に、思わず翔太は吹き出した。

「あははっ。似てねー」 「…よく言われます」

自分でも、生徒会をあそこまで大改造した姉と血が繋がっていることに今更ながら驚く。

似ているのは姉の自慢でもある(あの人は全てが自慢だが)艶々した黒髪ぐらいだろう。美妃はベリーショートにしているが。

それはさておき。

「雪姫が、作ったんですよね…アレ」

美妃は、恐々と黄色い声を上げている集団を指差した。

笑顔を振り撒く三人の(いずれも超美形)青年たちをぎゅうぎゅう囲むようにしている。

「きゃー!なつめ君の今日のご衣装、凄く素敵でしたわー!」

「あ、ちょっと退きなさいっ!秋野あきの先輩がみえないでしょ!」「あの…コレ作ったんです、食べてくださいっ」そんな戦場で一人の女子生徒が勢いよく差し出した包みを、目鼻立ちがくっきりとした、三人の中でも特に色気のある顔立ちの青年がやんわりと押し留めた。

「ごめん、こういうのは規則でダメだから。気持ちだけもらっとくね」

「ぁ、すみませんでした…」

その娘は一瞬、うつむいたが、すぐに満開の笑みを見せた。


「…うーん、やっぱ玲生れおはすごいな。全然相手を不快にさせてない。あ、あの今、プレゼント断ったのが玲生で、うちのNo.1」

しみじみと語る翔太に、美妃は諦め顔で訊いた。「No.1とか、あるんですかー。はー。…って言うか生徒会ってこんな人数だけ?少なくないですか?」

翔太は不敵な笑みを浮かべた。まるで女の子のように華やかな顔が輝く。「ウチは少数精鋭派だからね。あ、コレも雪姫が決めたんだけど」

「なんでそんな」

「アイドルって数がいれば良いわけでもないじゃん?管理も大変だし。って雪姫が。まあ実際、成績優秀者しかウチにはいれないから、仕事に支障はないからさ、いっかなーって」

「…ずいぶんアバウトですね、基準は?」

「各学年10位以内でかつ、雪姫…いや、マネージャーと会長の面接試験に合格すること、かな。ハルヒちゃんは余裕で合格だね。学年2位…だっけ」

「…男じゃないですけど」

そう小さく反撃すると、翔太はポケットから出したメモ帳をペラペラめくった。

「えー、中学から今まで月イチで告られてるよね、90%女の子で。でも、ちゃんと面と向かった告白じゃないのも含めたら…月ゴ?告られてばっかだね、モテるー」美妃は焦った。

「なんですかそのメモ帳。誰から…って雪姫…」 ガックリうなだれる美妃に、翔太は心から同情した。

「はい、正解です…」

可哀想にハルヒちゃん…。雪姫の笑いが目に浮かぶ。

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