Sugar☆love28
花戸です。
このお話は、舞台本番1日前です。
打ち上げの前日ですね。
明日、瑠璃花は玲生とリハーサルで顔を合わせることになるので…という兄の配慮でしょうか。
もう、そろそろいいかなと棗も思ったのかも。
「…で、瑠璃花と電話繋がったまま飛び込みやがった」
だいたい話終えた棗がコーヒーをすすっていると、棗が信じられないといった表情で呟いた。
「…まさか。そんな事で瑠璃花は俺から離れたんですか」
棗はため息をついた。
そんなこと、か。
「ま、せやな。正直悩んだで。雪姫さんが君連れてきたの見て、うわー思たし」
玲生は訝しげに訊ねた。
「それでどうして俺を入れたんですか?」
「いや…雪姫さんの命令は絶対やし、君使えたしな。それに君に当たんのも馬鹿らしーし」
黙り込む玲生に棗は首を傾げた。
「でもな、なんで今まで自分で真実を知ろうとせんかったん?気まぐれで理桜が教えようとしたんも断ったんやろ?」
部内で知っていたのは棗と理桜だけだった。
理桜には棗が話した。美妃にべったり張り付くついでに瑠璃花も護れという事で。
また黙り込む玲生。
「棗さん」
「んー?」
「どうしたらいいんですか…俺は。もうダメなんですか?」
玲生は髪をグシャグシャした。
気が付いた。
自分に対する異常なまでの拒絶は…………。
「棗さん……」
棗は出来の悪い弟を持ったような気になった。
全く。瑠璃花といいコイツといい……。
「知らんがな。…良く言えばダメ寸前、悪く言って他人以下、かなぁ?あんま変わらへんけども。ほら、百目鬼とかも本気みたいやし。瑠璃花にとってあいつのがお前より数万倍いいやつやろし」
「……………………」
玲生が灰のようにサラサラと飛んでいくのが見えた。漫画みたいやな。