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Sugar☆love26

らっ…ライトが。



「まぶし……」



モヤシっこ代表白雪姫こと秋桜コスモス姫は王子の胸に倒れ込んだ。


「おっ…っちょっと秋桜姫!?」



台本にない行動に狼狽する王子。


すかさず執事兼狩人が(いわゆる子守)王子のフォローに入る。



「ハルヒ様!秋桜姫は俺に任せて、魔王をお倒し下さい!!」



「……ああ。…有難うカエデ!」



勇敢、爽やかに(ひきつり気味)笑う(棒読み)美妃に、客席からは黄色い声が。

たどたどしさが本物の外国王子のようで以外とウケているらしい。



ぐったりとカエデに支えられている秋桜もそういうのが好きな人には萌えらしい。



「全く…コスモスったら馬鹿なんだから。魔王様と一緒にいたら贅沢三昧なのに。ホントに馬鹿」


魔王の肩にしなだれかかっている姉2は妖艶な美貌で艶っぽくため息をついた。


同意を求めるように翔太を見る。



「そうですね。もっと頭を使って合理的な生き方を見極めなさいコスモス。貴女の治療費誰が払ってるか知ってんの?」



可愛らしく魔王の隣で扇子をパタパタする姉1。魔王の周りには紫紅など7人の美少女たち。

ホホ…と仲良さげに笑う姉1と姉2。王子は力の限り反抗した。



「ふざけるなぁ!目を醒ませ、そいつは魔王だぞ!」


姉1↓


「あら?そんな事言って、どう責任とるつもり?王子は所詮コスモスを妃にするんでしょ、私たちの生活はどうなんのよ。元はと言えばあんたたちが高い税金とってなんにも保障してくれないから生活に困ってこんな森ん中住んでんの!」



七人の美少女(紫紅)↓


「そうですわ…。それに対して魔王様は私たちになに不自由ない生活を下さるんですのよ」



そうよそうよと周りの娘も声を上げる。



美妃はポカンとした。


…あれ…。台詞違くない?いい人じゃん魔王。


動揺して思わず同意してしまった。



「…え、そう、なの?」


観客が静まり、蛍がバシッと台本を叩きつける音がした。



…姉2



「……そうよ?」


……。



「だっ、騙されてはなりません!」



後ろを振り向いた美妃は驚いた。



「瑠……ルリ御義母様?」



「ハルヒ、あの魔王は女っタラシの超最低男なのよ!ゆくゆくはこの国を乗っ取ろうとしているの」



「…え、ホントに!?」


美妃のあまりに間の抜けた声に、その場にいた観客全員が心で呟いた。



(…予備知識知っとけよオージ!)



コホンと咳払いした魔王が口を開いた。



「で?王子。どうする?戦うか?」




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「さて皆さん、今日はどうもお疲れさまでしたー!」



棗の乾杯挨拶ジュースだよにキャー!と製作に関わった女の子たちが賑わった。



速攻で女子に囲まれる部員と美妃に瑠璃花は少し微笑んで、超高級ホテルの大広間を出た。

ちなみに蛍の家が経営するホテルの中の一つだ。


少し独りになりたくて。と言うかさっさと切り替えて美妃とはしゃごう。



…まだ劇が始まる前。化粧もしていない頃。



『……よ、久しぶり』



…………。??



すぐに言ってしまった事を後悔するような顔で逃げていったが……。

なんだったんだアレは。


まぁいいか。なんだか本当に、じっくり考えている自分が可笑しい。

瑠璃花は自分でも驚くぐらい素直に笑った。

時の流れは偉大だ。

もう、いつの間にか自分は前に進んでいる。



少し前は、まだー。



コツ、と後ろで足音がした。



「…え。瑠璃花さん?行かないの?」



あ、蛍だ。



「…おー。見事にOffやん」


呟いた言葉は蛍には聞こえなかったらしい。



「え、なに?」



「なんでもなーい。どしたん蛍先輩。あ、スゴいなこのホテル。めっちゃ綺麗」



蛍は微笑んだ。

それを見た瑠璃花は心がほんわかとした。

まるで子犬のような人だ。



「…え、蛍先輩行かへんとマズイって。監督やん。探してると思うで皆」


「うん…瑠璃花さんも探されてたよ」



「あー…そうなんや」



少々の沈黙。

蛍が口を開いた。



「好きです。瑠璃花さん」



……………………。



「…え、今ゆうんや…」


瑠璃花は瞬きし、思わず素でクスクス笑った。



「って言うか前も聞いたって。なんなんもー」



そうだった、こういう人だったこのヒト。



だから美妃まで持ち出したんだった。

泣かしたんやった。



「好きです。…なんで僕が瑠璃花さんを好きなのか、知ってる?」



「……うーん、外見?」


けっこう当てにいったのだが。

蛍は静かに首を振っただけだった。

いつもと違う、表情。



「最初は、可哀想だと思いました」



「…………はぁ」



「沢山の人が瑠璃花さんに捨てられてて。それで、僕は瑠璃花さんを救いたくなってしまった」



「…………救う?なにゆうて…」



蛍が近づいてきて、瑠璃花は後ずさった。だがすぐに背中に壁を感じる。


「黙って」



蛍は壁に手をついて瑠璃花の目を見つめた。



「過去なんて僕にはどうでもいいことです」



「………簡単にゆうな。私は人殺ししたんやで?男関係で」



蛍の瞳に小さな炎が見えた。



「…玲生君。だよね」



「…………」



表情を無くし、黙り込む瑠璃花から目をそらした蛍は後ろの壁に声を掛けた。



「いるんでしょ、玲生君。出てきて」


瑠璃花は思わず体を蛍に隠した。



「…バレたか」



「聞いてたよね?」



「あぁ…。だけど、瑠璃花。俺は全部知ってる。昨日棗さんから聞いた」




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