表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/44

Sugar☆love23

歓迎舞台2日前の放課後、演劇部専用体育祭にて



「ハル……なにあのちびっこ。何度も言うけどなんであんなの連れてきたの」


いつになく不機嫌そーな白雪理桜。


「や……すいません。まさかあんな豹変するとは。…ってか」


美妃は理桜の姿をもう一度感慨深く眺めた。


スラリと背の高く華奢な理桜は女装でも似合っていて、煙るような睫毛に縁どられた淡い紫の瞳は神秘的に美しく、白い肌は少々の化粧で可愛らしさを帯びている。

せっかく普段の黒いカラコンを外すんなら、と翔太のすすめで瞳に合わせた薄紫のドレス。菫のように小さな黄色いレースがポイントになっていて、綺麗、という印象だ。黒髪はあくまでいつもの少し癖のある形でカツラは被っていない。それでも翔太に言われ、役の為に伸ばしているので女装に支障はない。


(でも…白雪って自然派な可愛さじゃなかったのかなぁ。なんか百戦錬磨の美女ってカンジ?)



「…キレイですねー」


「女装誉められても」



美妃は苦笑した。



「ですよね。私もさっきいろんな人に誉めて貰いました」



我ながら珍しいタイプの女の子だよなと思う。



談笑していた美妃たちに、‘ちびっこ’から怒声が飛んだ。



「おいそこの王子と白雪!!ダベってる暇があるんなら台詞カンペキに言えるようにしとけ!特にハルヒ!」



「はいっ!?」



蛍は容赦なかった。



「やる気ねーだろお前!棒読みもいい加減にしろよ。死ぬ気でやれ!」


竹刀を振り回しながら怒鳴る蛍はまるで鬼神(小鬼?)のようだ。


綿菓子のようだった蛍は、一瞬にして逆らったら命の危険を感じさせる人になってしまった。


個人的に指導を受けるため美妃は蛍の前に行き、台本を睨み付けて息を吸った。



「…御義母様、では行って参ります」



「もっと感情こめて!今から嫁探しに行くってゆーウキウキ感と、可愛がってくれた女王との別れって言う哀愁!でもあんま哀愁強いとただのマザコンだから。適度に!」


「………すごいな蛍。噂には聞いとったけども」


居残り組(美妃と理桜)を可哀想に見ていた棗は少し蛍へ尊敬込めて呟いた。

魔王の衣装は動きにくく重いので、役者で棗のみジャージを着ている。


「ちょっと翔太に似とらん?二重人格って言う」


「そうか?……あ、ハルヒちゃん終わったみたいだな。今日はもう帰るか」



見た目の才能を最大限に使っている翔太は、実際白雪役の理桜より可愛らしかった。理桜が綺麗系なら翔太はどこまでも姫系。

美妃の心配を受け止めると、多分翔太が白雪を演るべきなのだろう。



赤いドレスを引きずって翔太は蛍に手を振った。


「終わろー?」



蛍は舌打ちして頷いた。

ギロッと美妃を睨む



「今日の課題は、分かってるな?」



「はい!家で死ぬ気で頑張ります!ご指導ありがとうございました」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ