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Sugar☆love22

生徒会歓迎講演が一週間後に迫ったある日のお昼休み。

早々と食事を済ませた美妃と瑠璃花は、ある人に会うため、演劇部へと続く廊下を早足で歩いていた。



瑠璃花は隣を歩く美妃にむぅっと頬を膨らませて問いかけた。



「なぁー。なんで私もー?って言うか誰目当てなんー?」



全く息を切らしていない美妃を、息絶え絶えな瑠璃花は恨めしく見つめた。どんだけ体力あんねんこの娘。



「んー?秘密。でも瑠璃花連れてったほうがいいって棗さんが」



「はぁ~?」



ぶつくさ文句を言う瑠璃花を半分引っ張るようにして、美妃は演劇部の扉を叩いた。


待ち合わせをしていたので、目的のヒトがちゃんと待っていてくれた。

「こんにちは!百目鬼どうめき先輩」



ゲッと嫌な顔をする瑠璃花に、ぱあっと嬉しそうな顔で百目鬼蛍どうめきけいは駆け寄ってきた。



黒ブチ眼鏡の愛らしい、そう、あの瑠璃花にフラれたヒト。



「こんにちはハルヒ君。…あ、瑠璃花さん!来てくれたの」



美妃は一応言っておこうと決心した。



「あの、百目鬼先輩。あの節は本当に申し訳……。瑠璃花に着替えされられて男子制服でしたが……本当は私女の子でして……」


蛍は一瞬きょとんとし、あははと困ったように笑った。



「いや、あの時気が付かなかった僕も悪かったんです。すっかりハルヒ君の美男子ぶりに動揺してしまって…あ、いや、ごめんね!」


フッと諦めて目をそらしていた美妃に気づき、蛍は慌てて謝った。



「ああ本当にごめん!女の子に何度も君なんて……」



謝る姿もほんわかとしていて、穏やかな雰囲気の人だ。

背もそんなに高くなくて、美妃を見上げるようにして喋る。


「あ、いえ。実際ハルヒ君って呼ばれるほうが多いので気にしないでください」



グスッと変な笑い声をたてる瑠璃花は無視し、美妃は気を取り直して、本題に入った。



「瑠璃花、知ってると思うけど百目鬼先輩は演劇部の部長さんで、かなり実力のある方なんだ。で、今回生徒会で劇することになったでしょ、でも実は誰も演技とかしたことなくて……」


そう、まさかとは思ったが、生徒会は過去一度も劇をやったことが無い。舞台は主にトークショーや…だいたい舞台自体少くて、去年はかなり質の高い執事喫茶をしたらしい。



「それで百目鬼先輩に演技指導の協力をしてもらおうと……でね瑠璃花」

美妃は深々と瑠璃花に頭を下げた。



「?へ、何?」



「女王役、やって下さい!!!」



ポカンとする瑠璃花に蛍も頭を下げた。



「僕からもお願いします。瑠璃花さんほどの適役はいない」



「……えー…でも時間がな……」



「大丈夫!女王はほんっとうに一瞬だから、練習は本番前のリハーサルだけで、放課後残らなくっていいよ!」



再三の美妃の熱心な頼みに、瑠璃花は折れた。



「わ……わかった…」



美妃は目を輝かせた。



急いでパシッと指を鳴らす。



「ドレスの微調整お願いします!ヘアメイクも完璧に。あと台本渡して!」



どこにいたのか、本物の業者がズラリと出てきた。



「瑠璃花っ」



生き生きとした美妃は瑠璃花に告げた。


こういう、女の子を可愛くするのは大好きだ。



「今から衣装合わせなんだ。五時間目の体育は公欠になるから心配しないで!」



「こっ公欠!?どんだけ生徒会力もってんの…」


瑠璃花はプロのスタイリストに更衣室に引っ張られていった。



すっかりマネージャーの仕事に愛着がわいた美妃は蛍に礼を言うと、自分も香坂お手製の王子衣装に着替えるべくニマニマしながら更衣室に向かった。


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