表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/44

Sugar☆love20

生徒会室のすぐ隣にある生徒会準備室。


普段は衣装合わせなどに使われる資料置き場は、今ちょっとした仮設オーディション会場になっていた。


よくある長机に美妃と翔太は並んで座り、真向かいに20人ほどの女子生徒がズラッと横に整列していた。


学年はバラバラのようだがいずれもある程度見た目がいい女の子たち。



美妃はその女子たちの緊張と真剣な雰囲気に圧倒され、おずおずと最初の娘の名前を呼んだ。



「えー…1番、地臣亜里朱じしんありすさん。自己紹介と特技披露をお願いします。では前にどうぞ」



ハイッと元気よく返事をして、勢いよく前に出た。



「地臣亜里朱、高三、演劇部、好きな生徒会員は白鳥君です!では、ヴァイオリン弾きます!」



パチパチパチ…。



「はい、ありがとうございました。では次に、合米未依あいまいみいさん。どうぞ」



「好きな人はもちろん翔太先輩です!英語で愛のスピーチします!」



「次、塚礼田菜亜つかれたなあさん」



「棗様愛してますわ!では日本舞踊を」



「つぎ…………」



「理桜王子だいすき!じゃ駅名言いますね」



〜美妃が疲れてきたので省略します〜



「次お願いします…」



「私はハルヒ君が好きです!特技は絶対負けないじゃんけんです」



え、ファン!?

……ハルヒ君?



「あっほんとだー勝てない。すごいですね、ありがとうございました。では最後に柚宮紫紅ゆずみやしくさん」



はい、と来たのは、今まで全く気付かなかったが、大人しげなかなりの美少女だった。


「高二、柚宮です」



「あ、紫紅ちゃん久しぶり。元気だった?」



ずっとニコニコとしていたが、オーディションが始まって初めて口を開いた翔太はびっくりした口調で紫紅に話しかけた。

他の人たちに羨ましそうな視線を背中にうけながら、紫紅は可憐に笑った。


「はい。1ヶ月ほど前にコッチに帰ってきました。あ、続けていいですか?」


どうぞ、と促され紫紅は続けた。



「特技は…歌です。歌います」



紫紅が目を閉じて歌いはじめた瞬間、空気が変わった。なんというか…澄みわたる。



パチパチパチパチパチ!


美妃は思わず呟いた。



「…空気清浄器……」


翔太も惜しみ無い拍手を贈っていた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


オーディションにきた女の子たちを全員返した後、翔太と美妃は最終選考をしていた。


20人を7人に絞るのだ。



「あの、紫紅さんってどういう方なんですか?」


美妃は仕事の手を休めることなく訊ねた。


翔太は少し迷った。まぁいいか。



「彼女は…楓の婚約者というか、許嫁だよ。二人は幼なじみ。そうそう、有名な画家の愛娘でね。お父さんに付き合って、よく一緒に沖縄行ったりしてる。さっきも会うの久しぶりで驚いたんだ」


美妃はいろいろ驚いた。だからさっき生徒会で好きな人言わなかったのか。



「え、許嫁……。今時、その言葉を知ってるこは少ないですよ多分……流石金持ち学校ですね」



翔太は吹き出した。


「いやいや、美妃ちゃんちめちゃめちゃ金持ちだよ?あ、あと紫紅は天才的な歌唱力と演技力もってるんだよね。お母さんが女優さんだからかな」


美妃は思わず手を止めてしまった。



「マジですか……。え、じゃあ紫紅さんは決定でいいですよね」



「うん。じゃああと8人…。こんなもんか。じゃ、お疲れさま。帰っていいよ」


優しく手を振る翔太に、美妃は戸惑った。


「あれ?翔太さんは帰らないんですか」



「僕、プリント作ってから帰るよ。もう暗いし送ってあげたいのはやまやまなんだけど、ほら理桜いるから大丈夫だよ」



翔太が言い終わるやいなや部屋の外にいた理桜が美妃を嬉しそうに連れ出した。



「貰ってきます」



「おー。気つけてな」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ