Sugar☆love18
スタスタと家に帰る道を歩きながら、
自分でも驚くほど苛々していた。
「………」
翔太さんに彼女が出来た(その当時、実際には強烈な片思いだが)と聞いて、泣く瑠璃花に焦って告白してしまい、微妙な返事を貰って、それでも前よりは瑠璃花も優しくなって、玲生にとっては幸せ絶頂の時だった。
告白してから1ヶ月ほどたった頃、
…いきなり、瑠璃花は転校した。
家絵貴で働く姿は変わらなかったか、玲生がいくら尋ねてもまるで他人のような様子を崩さなかったし、しまいには無視してくるようになった。
瑠璃花は携帯も替え、玲生は完全に連絡手段を失った。
意味が分からなかった。呆然とする玲生の耳に入ってきた情報は、あまりに信じられなくて。
そんな中、偶然に瑠璃花と道で出くわした。
嫌がる瑠璃花を無理矢理近くにあったカフェに押し込み、玲生は詰問した。
「…なにがあったんだ?どうして……お願いだから本当の事を教えて…」
心がキューッとなりながら瑠璃花の目を見ると何故か涙をこぼしていた。
「聞いたやろ?……玲生がうざくなってん。もうこんなん止めて。私に構わんで……。迷惑や」
ホロホロ涙を溢しているのにやけに強い眼光でキッパリと言われた。
そういうとさっさと出ていった瑠璃花を追うことも出来なかった。
信じられない。
だが、俺が……?
俺の、せいで…?
「嘘だろ……」
フッたことは星の数だが、フラれるのはなにしろ初めてで、どうすればいいのかわからない。
というか、フラれたのか俺?
突っ伏す玲生に、他の客がチラチラと視線を向ける。
玲生はカフェを出た。
「………………」
我ながら馬鹿だったな、と思う。
親の勧めで月岡高校にきて、東条瑠璃花の名を見つけた時はひっくり返るかと思った。
そして、玲生にまるで初対面かのように挨拶した瑠璃花とはそれから一度も目を合わせることはなかった。
男をとっかえひっかえし、柏木美妃といつも一緒にいる姿は玲生には納得のいくものだった。
あぁ、俺は捨てられたのか、と自然に納得することが出来た。
その後、わいてきた感情は、復讐心だった。
瑠璃花に対してだけのものでは無い。
¨女¨を、見下した。
それで丁度スカウトされていた生徒会に入り、3日も経たないうちに多くのファンがついた。
このファンを増やすのが、目的だった。
この都合のいい女たちはどんなに俺が好きでも、想いが叶う事はない。
だけど微笑んでやるよ。錯覚をさせてやる。
虚しいだろう?
人を愛するキモチなんて、そんなもんだよ。
まぁ、先輩たちは俺みたいな考えで生徒会にいるわけでは無いようだったが。
翔太さんは雪姫さん目当て。
棗さんは翔太さんに引っ張ってこられて。
理桜は……なんだ?
まぁいいや。
だけど、そうやって過ごしていた中、瑠璃花は一度も玲生を視なかった。
いつも美妃とベタベタベタベタしていた。
俺は何故か少しずつ苛々が溜まってきていた。
それで美妃を引き剥がしてまで、瑠璃花に話しかけてしまい…。逃げようとした瑠璃花を押し倒してしまった。
瑠璃花を見て、少し期待したのかもしれない。今なら俺を視てくれる、今なら、俺を好きになってくれるのだろうか、と。
だが、泣いて気を失いそうなほど怯える瑠璃花に、はっきりと感じた。
美妃が生徒会に入った最初は、瑠璃花が言うように狙っていた。美妃に嫉妬していた俺は、美妃に俺のことを好きにしてやろうかと考えていた。
だが……もうなにをしても無駄なんだと、その時感じた。
……だから今更、理桜の話なんて聞きたく無かった。
もう終わりにしたい。