Sugar☆love16
部室に向かう途中で偶然玲生に会った。
そのまま一緒にテクテク歩いていく。
玲生は美妃に訊ねた。
「ねぇ、なんでそんなに瑠璃花と仲良いの?」
パッチリした目、ふわふわ髪、どこから見ても可憐な、‘女の子’という印象の東条瑠璃花と、中性的な容姿となにより、女子に対しての王子チックな言動をする(違和感なし)の柏木美妃は、とても仲が良い。
はたから見ると、まさに『完璧なカップル』である。
「え、いやなんでって……」
美妃は本気で悩んだ。そういえば何でだろ。
黙り込む美妃に苛ついたのか、玲生は息を吐き立ち止まった。
「…玲生君?どうしたの、遅れるよ」
「……よくあんな女と付き合ってられるね」
玲生は、今までの友好的な笑みを引っ込めて嘲るようにクスッと笑った。
「……え?」
「教えてやろうか、瑠璃花の…、いや、裏切り女の昔話」
美妃は玲生を睨み付けた。親友を、侮辱されるのは、許せない。
「……ぜひ。興味深い」
「…ギャッ」
突然、グシャッと肩と背中に大きな衝撃がきた。
「っ……理桜さん…どいて頂けますか…」
本当はこの人、コアラなんではなかろうか。
兄以外にこんなにベタベタされた事がない美妃にはもうそうとしか思えなかった。
自分より背の高いヒトが(日本では)あまりいなかったので最初は驚いたが今ではひっぺがすことに専念するほうが有意義だという事に気が付いている。
完全に先程までの暗い雰囲気を壊した理桜に、玲生は諦めたのか一人でスタスタと生徒会室に向かっていこうとしたが、思いがけない理桜の言葉にピタッと足をとめた。
「あー…玲生、ホントの事教えてあげようか?」
「…は。意味わかんない」
理桜はもがく美妃の頭にアゴをのせて口の端を上げた。
「…もし、聞きたかったらコッチ。今のまま誤解を続けるんなら先行っといていいけど」
そういうと美妃の手を引いて理桜は国語資料室に入って行った。
ひとり廊下に残された玲生は少し迷ったが、資料室に足を向けた。