Sugar☆love15
…昔、あるところに麗しい王子がいました。
王子は継母である王妃をメロメロにさせてしまうほど麗しい青年でした。
あるとき、王子は嫁探しのため、三人の美しい姫が住むという森へと向かって行ったのです。
(「なぁ…。話変わりすぎちゃう?三人の姫て」
「……しょうがないだろ。香坂先生があんなにノリノリで創ってくれて、今ナレーション練習までしてるんだから…」)
しかし、行ってみるとそこは魔王のハーレムと化していました。
王子は三姫の中で末っ子の心優しい白雪姫に頼まれ、魔王に立ち向かって行きました。
見事、王子は魔王を倒し、七人の小娘と白雪姫の姉姫は正気を取り戻しました。
そして、王子と白雪姫は末永く幸せに暮らしましたとさ♪
「…………どうだ?我ながら良くできたと思うんだが」
フフンと得意気に笑う香坂は二人を振り返った。
ボケーッとしている部員を見て不満そうに額にしわを寄せる香坂に、棗は慌てて駆け寄った。
「いやー、流石香坂先生ですわー。こぉんな感動的なラブストーリー、よく思いつきましたねぇ」
「そうか?自分なりに白雪姫のイメージをこねて固めただけなんだが」
香坂は棗と翔太を見上げて嬉しそうに笑った。
小柄で美人な香坂は、私服を着た後輩のようで、教師には見えない。
それでいて以外と有能で頼れる先生である香坂に、翔太をはじめ生徒会メンバーは教師の中でも一番尊敬できる人物としてなついている。
……のだが。香坂には超迷惑な癖がある。
あは。
「朝田!絶対に王子は柏木を使えよ!柏木に王子衣装着せないと私の気がおさまらないからな!」
女の子(美妃はタイプど真ん中らしい)大好き。…宝塚っぽい娘が好きらしい。
「あの中性的な面差しとたっかい背!加えて女に対しての完璧な気遣い!あれだけ私の理想そのままな女子は見たことがない!教師として見ても、柏木はかなり優等生だし」
「…はいはいオッケーです。あ、先生女王役されますか?人数的に」
「いや、私はナレーターがいい」
「了解です。棗、今日の放課後、部員集められるか?役フリをしたい」
棗はニッと笑った。陽気にVサインをする。
「まっかせとけっ!」