そういうことか
帰り道、オレたちはいつも通りに途中まで下校していた。
でも、今日は…今日は、ただ帰るだけじゃない。
きちんと言わなきゃだな…。
藤也からどんな告白があるかは、わからないけど、オレは思い切って小春ちゃんへのおもいを藤也に伝えた。
すると藤也は、遠くの雲を見つめながら
「そっかー。小春をよろしくな」
って、意外と応援してくれるっぽかった?
「あのさ、藤也って…小春ちゃんとは、実の兄妹?」
「うん、そうだけど?似てない?」
「あ、いや…そうじゃないけどさ、その…小春ちゃんを…す、好きだったり?するのかなってさ…」
「あー、好きだよ」
⁉︎
はっきりと聞こえた。
好きって。
…
ゔーん…
これは…いったいどうすれば…
「あ、でも海斗の好きとは違うよ?オレの好きは、家族愛な」
よかったー。
家族的に好きか。
でも…藤也って妹に対する好き度が高いよね。
そりゃかわいいけどさ…
「藤也ってさ、もしオレたちが付き合いだしたら、毎回デートに同伴する感じ?」
「それは、キモいだろ。ないない」
よかったー。
この前だけだったんだ?
もしかしてオレって…審査されてたとか?
まぁ、合格ってことやんな?
なら、よかったーって心が滑り台みたいにスーって滑った。
安心して告白できるわ。
「あ、でもさ」
⁉︎
でも⁉︎条件付きか⁈
「ん?な、なに?」
「もし、海斗の部屋に行く時だけは教えてほしい。あとさ、こねこがうまれたら何匹か教えてもらいたい」
…
「あー…うん。わかった」
ねこ大好きなんかな?
「藤也って…ねこ好き?」
「うん。」
「なら、うまれたらうち来たらいいのに」
「マジ?」
「うん、全然いいよ」
「ありがとうな‼︎じゃあ、その時は小春もいいかな?」
「うん…」
藤也は、少し嬉しいような安心した表情を見せた。
なぜ小春ちゃん同伴?
てか、今度は隠れないんだ⁇
な、なんなん…?
藤也がねこ好きってことは、わかりました。
でも、やたらこねこをみたがるし、なんだろ…
色々引っかかる…
が、わからないものはわからない。
そうこうしている間にも、うちの飼い猫はどんどんお腹が膨らんでくる。
そしてオレの小春ちゃんに対するおもいも膨らんだ。
何度か連絡をとっているうちに、オレは小春ちゃんを好きになりすぎた。
でも、ちょっとブレーキがかかるんです。
そう…兄である藤也。
藤也は、いたって普通。
しかし、小春ちゃんのことになると…どうも不審っていうか…うん。不審だ。
で…小春ちゃんと一緒に遊ぶのは全然いいやんってことで、この前小春ちゃんと遊んだんだよね。
そしたらさ、やたらと帰り時間を気にする藤也。
あと、数時間おきに小春は元気かな?ってさ。
で、オレの家に行くときは必ずオレにも連絡して!ってのは、必須らしい。
これだけは、絶対よろしくって何度も言われた。
オレの部屋って…なにかあるん?
…
よくわからないが、藤也は悪いやつじゃないし…小春ちゃんとの交際を応援してくれてもいるようだ。
ただ心配が、普通の人よりも多めってだけだろう。
だからオレは小春ちゃんに告白いたしました‼︎
そしてオーケーをいただいたんです♡
なのですぐさま兄である藤也にも伝えた。
そしたら、おめでとう!って祝福してくれた。
よかったぁ〜。
と、思ったのも束の間…
藤也は、
「小春のこと抱きしめたりした?長時間は、危険かも」
って言い出したんよ。
え?
どういうこと?
オレが襲いそうで危険ってことかな?
藤也は、詳しくは言えないんだけど…小春の様子がおかしかったらすぐ連絡してってことだった。
なにー⁉︎
よくわからないまま、うちのねこがこねこを産んだ。
三匹
すぐさま藤也と小春ちゃんに報告した。
すると、ご両親ですか?ってくらいな勢いで、みたい‼︎ってなりました。
まぁ、産んですぐだとねこも産後でクタクタなので、しばらくして落ち着いたらみにくることになりました。
写真は、送ったけどね!
やっとねこたちも落ち着き、藤也と小春ちゃんが家にくることになった。
今回は、藤也も一緒だ。
クローゼットにインしなくていいならば、安心だ。
三人でねこをみつめる会だったんだけど…
藤也は、ねこと小春ちゃんを交互にみておりますね…。
なんなら小春ちゃんを凝視してる場面も多々ございましたよ?
ん?
で、そんな藤也をみていたら藤也が小春ちゃんをみながら、
「おかしいなぁ?なんだろう?」
って呟いていたんですよね。
だからオレはすかさず、
「どうした?」
って聞いたんですよ。
そしたら、
「なんでもない」
って言われましてね…。
なんなら小春ちゃんが藤也に、にらみをきかせておりましたよ?
ん?
やっぱりこの二人、なんか隠してない?
オレは一応小春ちゃんの彼氏だし、聞く権利は、あるんじゃね?ってことで、藤也に聞いてみることにしたんです。
そしたら…まさかのことを知りました。
どうやら小春ちゃんと藤也は、昔こっそり物置でねこを拾って飼っていたそうな。
で、小春ちゃんがねこアレルギーを発症して救急車で運ばれたって。
だから、今回も危険なんじゃないかって心配で、クローゼットに隠れて何かあったらすぐ対処する予定だったそう。
小春ちゃんがねこアレルギーあるということがバレると、恋が上手くいかなくなるかもしれないから、お兄ちゃんは、黙ってて!って口止めされていたって。
なるほどなー。
でも、なぜアレルギーが発症しなかったかって、実はオレも軽いけどねこアレルギーで、うちのねこは、あまりアレルギーが発症しないねこだから大丈夫というわけなのでした。
そんなねこがいるのかと、藤也は驚いていた。
小春ちゃんにもいうと、めっちゃ驚いていた。
小春ちゃんのねこアレルギーがオレもわかったので、もう藤也がオレの部屋のクローゼットに隠れることもなくなりました!
だからこれからは、めいっぱい小春ちゃんを抱きしめたいと思います♡
おしまい