真面目に言ってる?
小春ちゃんとの連絡交換をして、この間ついに遊ぶ約束をしましたぁ〜‼︎
やったぜ‼︎
しかもオレの部屋だよ?
ムフフ
変な妄想が膨らむぜい
一応兄である藤也にも言ったんだ。
でも妄想は、言ってないよ?
ただ遊ぶってことだけ伝えたんだ。
そしたら…あー、そう…なんだってあんまり乗り気じゃない表情をみせたんよ。
「やっぱり、妹とオレが遊ぶのっていや?」
藤也にそんな顔されると、ちと辛い。
「あー……、そういうんじゃないんだ。ただ……」
「ただ何?」
…
「ううん、妹をよろしくな」
藤也は、笑顔をオレに向けた。
でも、その笑顔は…ほんとうの笑顔ではなかった。
もしかして…妹大好きっ子なんか?
そもそもガチで好きとかないよな?
いや、家庭の事情なんてわからないし…ほんとうの妹とかじゃなかったりしたら…
悶々と考えていたら藤也が真面目な顔で、
「あのさ、いつ遊ぶの?」
って聞いてきたから、今度の土曜日だよって言ったら、まさかの…
「オレもついていっていい?」
って言われました。
え…
兄貴同伴って…
これは、表情をみるからにガチで言ってるっぽいぞ?
「あー…、うん。いいよ」
「ありがとな。てかさ…あー…どうすっかな…でもな…」
「なに?」
「オレさ、遊んでる間どっかに隠れててもいい?」
⁉︎
新たな遊びなんか⁉︎
藤也は、さっきからめっちゃ真顔なんだが?
これは、冗談で言ってるっぽいわけではなさそうだ。
「えっ?かくれんぼ的な?」
「あー、まぁそんなところ。小春には内緒にしてほしいんだ」
…
心配性なお兄さんってやつか?
そこまで過保護兄とは、思わんかったよ。
てかさ、もし…もしだよ?
小春ちゃんと付き合いだしたら…いつも兄がついてくるやつ?
キスしようもんなら、ビンタされたりするん?
どうなん?
それはちょっと…な。
どうなんだろう…これは、それとなく小春ちゃんに聞いてみようか…?
藤也ってどんな兄?ってさ。
いや、その前に藤也に聞いてみよう。
「小春ちゃんってどんな妹さんなの?」
「小春は、かわいいよ。」
それだけだった。
でも、めっちゃ重みのある言葉だと伝わった。
とても大切な妹なのだろう。
そりゃ、懐っこいしかわいいもんな。
てことは⁉︎
まさか、お父さんも一緒に来るとかないよね⁉︎
小春防衛隊的なさ?
それはさすがに…圧が凄すぎるって。
でも、それは大丈夫だった。
金曜日、藤也による作戦会議が行われたから。
まず、小春ちゃんがくる三十分前に藤也がオレの部屋のクローゼットにはいる。
そして、帰るまでじっとその場で待機させてもらうと…。
理由を知りたかったが、そこは教えてもらえなかった。
でも、気持ち悪いヤツでごめんとは言われた。
そういう認識は、あるようだ。
小春ちゃんがくるから、部屋を片付けようって思ってたんだが、藤也がクローゼットにくるんじゃ、クローゼットに物をぶち込めない。
仕方なく、せっせとお片付けをした。
で…おもてなしなんだけど…迷うな。
飲み物…藤也の分ってどうしよう?
用意してたら、一本多いって不審がられるよね?
小春ちゃんには、内緒なんだし…
そもそも藤也から口止めされてるし…
あ、来た時にお茶渡してクローゼットでくつろいでもらえばいっか。
…
友達が遊びに来て、クローゼットに入り込むなんて、滅多にないイベントだよな。
考えれば考えるほど…謎だ。
うっかり小春ちゃんがクローゼットを開けないことを願うばかりだ。
んっ⁉︎
これは、藤也による作戦なのか⁉︎
兄貴が隠れているっていうスリルをオレに体感させて、ドキドキを誘発させる的な?
むしろ藤也は、オレの味方なのか⁉︎
ポジティブに考えれば…そう?なる?
ってか、そうであってほしい。
じゃないと、やりきれないよね…
謎だけど、とりあえず明日なにも起きない事を願うばかりだった。
続く。