おじゃまします
本日オレは、藤也という友達のお宅に初お邪魔しますをしている。
藤也とは高校に入って早々、席が近かったこともあり仲良くなったのだ。
休み時間ゲームの話になり、意気投合してオレの家でゲームしようってことで、藤也の家にお呼ばれになったんだけど…
先にオレの部屋行ってて〜って言われたから、先に部屋にお邪魔してたんよ。
二階の突き当たりの部屋ねーって言われてさ、で…待ってたんだけど…
意外と可愛らしい部屋でした。
シンプルでありつつ、可愛さもどことなくある部屋だった。
ねこのクッションとか、かわよ。
すると、いきなり女の子が部屋のドアをあけた。
鼻歌をうたいながら…。
で、固まる女の子。
オレもびっくりして固まったよね…。
でも、すぐに我にかえり
「どうも」
っておじぎした。
するとその女の子は、ポケットに手を突っ込み携帯を出したかと思えば、その携帯でオレを連写した。
えっ⁉︎
これは…
「あの…えと…」
「あ、もしかして…拡散希望しない系ですか?」
と意味不明なことを言われた。
「そりゃ、そうなんですけど…いきなり写真って…」
「いや、男の座敷わらしなんて珍しくて…いきなり現れたからつい…」
「あー、なんかいきなりお邪魔してすみません」
「いや、いいんですけど…普通の人間みたいですね。どこから入ったんですか?魔法とかも使えますか?」
…
「いや、普通に玄関から…です…けど。てか、座敷わらしって…」
「へー、そうなんですね。玄関から……てか、座敷わらしって、てっきりおかっぱアタマだと思っていました」
…
おかっぱって…
てか、座敷わらし座敷わらしって…
なにをおっしゃっているんですかね?
「あのー…」
オレが問いかけたその瞬間、
「あ、お兄‼︎わたしの部屋に奇跡の座敷わらしがいるっ‼︎」
って、オレを指差した。
その言葉に藤也がこちらを覗き込んだ。
「え、おい海斗じゃん‼︎オレの部屋、あっちな」
と、藤也が笑った。
「えっ、マジか‼︎じゃあこの部屋は…」
「わたしの部屋だよー」
と、妹さんがオレの隣に座った。
「あ、なんか…すみません…」
「うん、いいよ。座敷わらしじゃないんだ、残念。お礼に肩揉んで」
⁉︎
「おい、小春…オレの友達にいきなりそれはないだろ…」
「不法侵入のお詫びだよぅ。じゃあ腕でもいいよ」
…
腕を差し出された。
「海斗、気にしなくていいから。小春には後で肩揉みしてやるから。じゃ海斗オレの部屋行こうぜ」
と、部屋移動の提案をされた。
「おぅ、じゃあ…妹さん…勝手に侵入してしまってすみませんでした」
とおじぎをした。
「うん、彼氏がいるときじゃなくてよかったわ」
と、手を振られた。
あ、彼氏…いるんだ。
かわいいもんな。妹さん…
オレは少しガッカリして、藤也の部屋に入った。
「なんか、うちの妹…ヘンでごめんなー」
「え、ううん。てか、妹さん…彼氏いるんだね。」
「あー、いるわけないじゃん。あれは冗談だよ。たぶん」
「えっ、そう…なんだ?」
彼氏がいないって⁉︎
オレは犬でもないけど…なんだか今、架空の耳と尻尾がピンってなったよ。
彼氏なしと聞いて、安心して藤也とゲームに没頭することができた。
かと思いきや、少し引っかかっていた。
藤也のさっきの言葉の最後の…たぶんってところに…
彼氏いない確定じゃないんかい‼︎
たぶんってなんなんよ…
たぶんってことは、きっと…とかおおよそってことよね?
だから、もしかしたら彼氏が本当にいるかもしれないってことですよね?
…
さっきピンってなった耳と尻尾がグニャリとなってしまった。
アロハな気分から、いきなりの転落…
お店に居たら閉店の音楽が流れてきたくらい、なんだか切ないって‼︎
あー、小春ちゃん…可愛かったなー。
まさか藤也にあんなにかわいい妹さんがいるなんて、予測不能だわ。
てか…
…
藤也に似てなくもない…?
藤也の髪を伸ばして、肌をもっと白くして…それから…
思わず藤也をガン見していた。
「ん?オレの顔になんかついてる?」
藤也がいきなり振り向いた。
⁉︎
びっくりしたー…
…
「ついてるよ。そりゃ、目と鼻と口と手と足な」
「いや、顔には手足ついてないだろ…まぁ幼稚園児が描く絵で、いきなり頬あたりから手が出てたりってあるよな」
「たしかに‼︎あれはオレ、好きだなー」
「な、ある意味天才だよな」
「な」
「えっ⁉︎」
⁉︎
いきなりドアの向こうからえっ⁉︎って聞こえてきた。
「小春ー…、盗み聞きとかよくないよー」
あー、小春ちゃんがいたのか。
「はーい」
と、兄に怒られて退散する小春ちゃん。
退散したかと思いきや、ドアの向こうから
「好きって聞こえたんですけど…好きって言いました?二人ってやっぱり……その好きって、わたしの初耳ですかね?」
と、話しかけてくる小春ちゃん。
初耳って…
空耳って言いたかったんかな。
「好きって言ったけど、オレら、そんなんじゃないし、そもそも小春のことでもないから気にすんなー」
って藤也がドアの向こうの小春ちゃんに伝えた。
すると…
「あー、ジュースとお菓子いらないんだー。それは残念だなー。わたし一人で三人分食べたり飲んだり天下りしなきゃだー」
って去っていこうとしてたっぽい。
「あ、それならそうと早く言ってよ。サンキュー」
って言いながら、藤也がドアをあけた。
天下り?
…
すると、そこにはやっぱりかわいい小春ちゃんがいたのでありました。
「あ、小春サンキューな。てか、なんでお菓子三人分なんだよ…一緒にゲームまじろうとしてない?」
「うん、してる」
「オレは全然三人でも問題ないよ?」
むしろ嬉しいって言いたかったけど、キモがられたら悲しいからそこまでは言わなかった。
「えっ?ほんとですか⁉︎お兄いいって!」
「海斗いいの?」
「うん。全然」
「なら、小春は少しだけね?」
「はーい」
小春ちゃんと、ゲームできることになった。
でも…
めっちゃオレの肩あたりをガン見してくる小春ちゃん。
?
なんだろうって思ってたら、小春ちゃんがいきなり
「ついてる」
って言いました。
えっ⁉︎
つ、憑いてる⁉︎
「オレになんか取り憑いてる?てか、小春ちゃんみえんの?」
「はい、白くて…かわいいのが」
「かわいい⁇」
「はい。飼ってます?」
「え?」
「ねこ」
「えっ?ねこ⁇飼ってるけど…」
「みたい‼︎」
「え…でも小春…おまえは…」
「いいじゃん!お兄は、黙ってて」
「ん?どうしたの?」
「いや、なんでもないんです!連絡先交換いいですか?」
「うん、いいけど…」
ってことで、連絡先交換したけど、なにやら藤也は、複雑な顔をしていた。
?
なんなんだ⁇
続く。