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似た者同士の、わりと平和なやりとり

数日後。

考察厨が滞在している宿に、離宮から使いが来た。

元々、考察厨からセナとの遭遇や、その時のことに関して説明したい、と申し入れていたのだ。

しかし、考察厨の予想通りというか、特定班の予想通りというか。

当事者であるアルトは、しばらくニクスによって軟禁状態となってしまったのである。

とはいえ、これは彼のためでもあったことを考察厨は知っているので、長期滞在も覚悟してのんびりとこの数日を過ごしていたのだ。


「忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます」


離宮にある応接間にて、考察厨はニクスと対面していた。


「こちらこそ、アルトを助けてもらい感謝しています」


挨拶もそこそこに、まずニクスはアルトを助けて貰っことへの謝意としてお金を渡そうとする。

しかし、考察厨はこれを断った。

あくまで、成り行きで今回のことに関わっただけだ。

だから、金をもらうのは違うというのが考察厨の言い分だった。

しかしそれではニクスとしても、納得できない。

それを考察厨も理解していた。

そのため、考察厨は代案として自分の家族への土産に甘いものを購入したいことと、おすすめの店があったら教えてほしい、とたずねた。


「それならこちらで用意しますよ」


考察厨の家族の好みをたずね、すぐに店へ使いを出した。

雑談をし、程よく場が和んだところで、考察厨は本題に入った。

アルトは嫌がるだろうが、説明するには効率が良かったので先日の掲示板を表示しつつ説明する。

アルトの弟のこと、元護衛のこと。


「あくまで、アルト君の弟は兄を守るために動いていた、というのは頭に入れておいてください。

掲示板では好き勝手な憶測や推測をしました。

けれどけっして、彼は兄に対して邪な思いがあったわけではありません。

今でも、必死に兄に関する情報を操作し消していますから」


「……えぇ、わかりました」


アルトから弟にされたことは説明されている。

アルトのことを思ってやったことだと、アルト自身も理解してはいた。

けれど、それと不快に感じたのはやはり別の話である。


「懸念は、アルト君の元護衛の子です」


考察厨はずっと、アルトのこともだが元護衛に対してもかなり歳下のような言動をとっている。

外見こそニクスとそう歳が変わらなそうだが、もしかしたらずっと年上なのかもしれない。


「あの子は危うい。

とても、危うい……。

だから、気をつけてください」


とくに、愛に狂ってしまった者はやっかいだ。


セナは狂いつつある。

アルトへの愛に。


それがどんな末路を辿るのか、想像出来てしまうだけに、少し気の毒に思う。

出来れば、どこかで彼にも別の道が、小さな希望でも示されればいいが。


そうして、みんなが幸せになりました、めでたしめでたし、となればたぶん一番いいのだろうけど。

でも、それがきっと一番難しい。

現実は、そんな都合よく出来ていない。


考察厨の言葉を受けて、ニクスはしばらく考え込んでいた。

やがて、考察厨を見てダメ元で打診する。


「……アルトの護衛として、貴方を雇用したいと考えているのですが」


「すみません、それは出来ません」


キッパリと考察厨は断った。

普通なら出来ないことである。

けれど、考察厨は堂々と言葉を続けた。


「僕なんかより適任者がいますから。

その人物に頼むといいですよ。

魔眼保持者の彼です。

彼はとても優秀です。

たとえ、なにがあろうと、アルト君を守ってくれますよ。

ちょっと話しただけですが、彼、そういうトラブルが大好きで出歯亀するのが趣味なところがあるようでしたよ」


見る人が見れば、胡散臭そうな笑みとともに考察厨はそう提案した。

嘘ではない上に、なかなかどうしてタチが悪い。

そして、その提案をニクスは採用した。


※※※


1:魔眼保持者

くそがぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあァぁあぁぁぁあぁぁあぁっっっ!!!!


2:名無しの異種族

お、おう?


3:名無しの異種族

なんか、荒ぶっておられる??


4:魔眼保持者

出歯亀、現場凸は己の判断でやるから楽しいんだろうがぁぁあ!!


5:魔眼保持者

それをあのくそ考察厨野郎!!

( º言º)


6:名無しの異種族

……あ、もしかして、魔族の王子様が女の子と間違えて求婚したスレ主関連の魔眼保持者か??


7:魔眼保持者

そ、う、だ、よ!!

クソが!!


8:名無しの異種族

何があったんだよ?


9:弟の嫁

こっちのがわかりやすいから

コテハン、これにする

魔眼保持者、俺のお目付け役になった件

考察厨の口添えで


10:名無しの異種族

あ、あー( ̄▽ ̄;)


11:魔眼保持者

ぬぁにが、君なら大丈夫、だ!!

頑張れ、優秀な人材君、だ!!

次会ったら、あの考察厨、絶対泣かす!!


12:名無しの異種族

次会ったら?

もういないの??


13:弟の嫁

魔法を集める旅を続けなきゃいけないからって、旅立った


14:名無しの異種族

そっかー(´・ω・`)


15:名無しの異種族

まぁ、頑張れ魔眼保持者


16:魔眼保持者

弟の嫁のかつての護衛なんか、相手にできるか!!

こっちはふつうの一般人だぞ?!


17:名無しの異種族

魔眼持ちな時点で、普通ではないだろ

なにいってんだ??



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― 新着の感想 ―
やってくれたなぁ。やっぱりイイ性格してるよな考察厨。イケニエにどうしても逃れようの無いヤツを身代わりに指名してった…。 RIP……頑張れ〜魔眼保持者サマあなたの今後を楽しく想像させていただきます。今後…
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