あの日に飲んだクリームソーダのような何か
クリームソーダ祭り 参加作品です。
私の様な者が参加してよいか迷いましたが、思いきって書いてみました。お目汚しですが読んでいただけますと嬉しいです。
こんにちは、のどあめです。
子どもの時、大好きだったクリームソーダ。
思えば、父に近所の喫茶店に連れて行ってもらって飲んだのが初体験でしょうか。
緑色の綺麗なソーダに白いアイスクリーム。赤いサクランボ。
オレンジジュースやカルピスやサイダーとは違う独特のメロン風味の甘いシュワシュワしたソーダにアイスクリーム。
そこの喫茶店で食べるアイスクリームと同じ味だったから恐らくはレディボーデンのアイスクリーム。独特の濃厚な味わいが大好きでした。
いつも外ではお行儀よくしてないと父から軽蔑の眼差しで睨まれるし。ファミレスと違ってほぼ大人しかいない落ち着いた感じの喫茶店で父と二人きり。
向かいにいる父の視線を感じながら。子どもながらに、お行儀よく、ガチャンなんて音を立てないように。サクランボをアイスを崩さないように持ち上げて食べて。少しずつアイスクリームを崩して一口ずつ食べてはメロンソーダを飲んでいく。
そんなお洒落な飲み物というのが私の中のクリームソーダでした。
時は流れ。学生時代。
N県へ合宿へ行く事になり、お昼に小さな喫茶店にはいりました。
先輩がニヤニヤして言うんです。
「ここはカツ丼とクリームソーダがおすすめだよ」
素直な私はカツ丼とクリームソーダをたのみました。かなり待った挙げ句にでてきたカツ丼はソースで真っ黒。
御当地名物ソースカツ丼です。
ソースかけられすぎでカツやキャベツ、ご飯を通り抜け丼の底まで大量のソースが溜まってました。
ご飯食べてるのかソース食べているのか分からなくなるのははじめてだ〜。なかなかに強烈でした。
さらにさらに待たされて。
出てきたのがクリームソーダ。
て、これクリームソーダぁ?
お盆に乗った飲み物は不思議な色合いをしてました。
アイスクリームが上にのってる。
サクランボがのっている。
そこまでは良い。
しかし。しかし。
コップの上半分は透明に透き通っていて。コップの底、大体四分の一ほどの高さまで何か謎の濃い緑色の液体が沈殿してました。
これがクリームソーダらしい。
先輩達、爆笑。
で、飲んでみると。
というか、大盛りのアイスが邪魔してよくかき混ぜられないんです。当然、飲むのはメロンシロップの原液です。むちゃくちゃ衝撃的な甘さでした。
歯ぐきが痙攣するかと思った。
で、後輩達のリアクションを見て大爆笑する先輩達。
いや、これ店で出しちゃいかんだろ、という声の中で。必死になってアイスを食べて。なんとかかき混ぜられるようにしてから、ストローで沈殿するシロップをかき混ぜて。
シロップが濃すぎてなかなかソーダと混ざらない〜。まだ味が濃い、まだ甘すぎると騒いだ末にメロンソーダを飲む。
これ、私の知ってるクリームソーダじゃない! と思いながら、ゆったりとかお洒落からほど遠い形でいただきました。
その当時はひどい目にあった!と思いましたが。今になると不思議に懐かしいです。
あれからN県のソースカツ丼も食べたけど、美味しすぎてなんか物足りない。クリームソーダもあの原液を飲んだ体験が強烈すぎてあれ異様に甘かったな、とクリームソーダをみるたびに話をしたくなっちゃう。
カツ丼とクリームソーダを思い出すたびにあの日の強い日差しと熱気を思い出します。
あのお店、まだやっているだろうか。また、いつか行ってみたい。
お読み頂きありがとうございます。